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2012年3月11日 (日)

神奈川フィルハーモニー 第279回定期演奏会 金聖響指揮

Sakuragicho

3月10日土曜日の横浜。

たくさん降った雨はあがったものの、真冬の寒さ。

Landmark_2

長い歩道を肩をすくめて歩いた先には、こんな春先取りのクリスタル桜がありましたよ。

そして気になるコンサート、どんなベートーヴェンを聴かせてくれるでしょうか。

Kanaphill_201203

    ベートーヴェン 「コリオラン」序曲

              交響曲第8番

              交響曲第5番

    バッハ      管弦楽組曲第3番~「アリア」

     金 聖響 指揮  神奈川フィルハーモニー管弦楽団

        (2012年3月10日 @みなとみらいホール)

これはニュー聖響なのか?
聖響さんは、ピリオドやめちまったのか?

まだ暖めきらない「コリオラン」の第一音一発目からそう思った。

こうあることへの戸惑いを感じてしまった。

1週間前の音楽堂でのモーツァルトで、少し変化を感じたものの、そこには渇きぎみの皮相な演奏スタイルがまだあった。

たっぷりと鳴って聴こえた第8交響曲の爽快な出だしに、聖響さん就任まえの神奈川フィルの音を聴いてとりました。
奏法へのこだわりを捨てたようにも思ったのは、常に強調されてきた古典での金管・ティンパニの強調がさほどでなかったことや、極端な忙しいテンポ設定がなかったこと。
リズムと明朗さが支配するこの8番、わたくしには、とても心地よい演奏に感じました。
ランドマークタワー入口にあった桜の春の訪れが、音楽でも実感できたのがうれしい。
軽快さは後退したが、明るさと清涼感、そして神奈川フィルというオケの美しさを楽しめました。
余計なことをしなかった(指揮者が?)からよかったのか。
 曲を閉じた瞬間、立ち上がりながら、これでヨシ的に頷いていた石田コンマス。
主席チェロの山本さんを何故か拍手に応えるべく立たせた指揮者。

休憩後の第5交響曲も概ね同じ基調。
曲の深刻さはあんまり感じない。重厚さも当然になし。スピード感もなし。
でも少し軽めのこんなベートーヴェンは好きだな。
小難しい顔した偏屈ベートーヴェンは、それこそ昔のイメージです。
運命の動機を延ばさず切るところは、ベーレンライター版であることを感じさせるも、ここでもこの指揮者が古典・初期ロマン派の音楽でこだわってきたやり方はなし。(に思う)

聖響さんが、「やりたかったことが出来なかった第5」。
でも、美しい私たちが応援しているオーケストラはしっかり鳴ってます。
深淵な第2楽章には柔和さがあり、そのきれいな響きがこれも美しいみなとみらいホールにこだまするのがよくわかる。
明晰なる低弦の魅力を味わう第3楽章から、歓喜の終楽章。
熱を帯びて熱くなってゆくオーケストラ、夢中の楽員さん、聴くわたしたち、ホール全体が一体になった感ありです。

ブラボーも飛び交う大拍手のあとは、マイクをもった聖響さん。
1年前のこと、そして1日後に演奏した壮絶極まりないマーラー6番のことを語り、そしてバッハを演奏しました。

心に沁みるこのバッハの音楽をこの1年何度聴いたことでしょう。

そして今回、ひたひたと私たちの心に沁み込んできて、そして優しく包みこんでくれました。本当に感動しました。
そして美しすぎる神奈川フィルの弦。
そのあと、長い黙祷を捧げました。

頭の中に、いまのバッハの音楽が鳴り、涙が出てきました。
被災された皆さまのこと、1年前のこと、そして避難を呼びかけ帰らぬ人となった女性職員の声が何故か私の脳裏にこだましておりました。

そのあと、静かにホールを去る私たちの目には涙と、心には暖かいものが去来していたのでございます。

そんな思いの中に、今回は静やかにアフターコンサートの集いです。

Seiryumon1

台湾中華料理のお店にて。

震災のこと、原発のこと、みなさんそれぞれの1年前のこと、などが話題の中心で、音楽のことはちょっと少なめ。

Seiryumon2

このお店には驚きのアトラクションが。

店の奥が開き、そこから膨大なお水がジャージャーと客席の間の通路を流れるのでした。

あの滝に打たれて修行せよ、という発言がありましたことを、ここに申し添えておきます。
誰が・・・というのは申しませぬが。

Pio_goldenmotsu1

さらに飲み・語り足りない男子数名。

レトロな駅ビル桜木町ぴおシティーにある「ゴールデンもつ」というお店で。

ホッピーちゃんに焼き鳥。

Pio_goldenmotsu2

安くてウマい。

またいい店見つけてしまった。

さらに、今回は写真多めで。

Kadan

コンサート前、軽い食事は、さきの「ぴおシティー」にある喫茶「花壇」にて。

コーヒー@200円、ピザトースト@250円。

懐かしさただよう大衆喫茶って感じで、隣ではスポーツ新聞に赤鉛筆オジサンでした。

Arukuma

ランドマークで行われていた観光復興キャンペーンにて登場のご当地ゆるキャラ。

こちらは信州長野からやってきた「アルクマ」さんです。

ポーズとってくれましたよ。

ほのぼの・・・・・。

変化の兆しの聖響&神奈川フィルの今年度定期はこれでオシマイ。

来年度のテーマは、「マーラーとその時代~爛熟のウィーンへの旅」ということで、世紀末です。

横浜はこんな感じで、楽しく美味しいです。

皆さま是非、神奈川フィルを聴きにきてください。

ホームページでは、映像でマーラーとモーツァルトが少し聴けます。

こちら→http://www.kanaphil.com/  

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コメント

おひさしぶりです。
時間的には都合が付くのですが、金銭的になかなか厳しい日々を過ごしていて、神奈川フィルの演奏会へ行けないことがもどかしいです。名古屋フィルも全然行ってませんし。もう少し働けると良いのですが。。

それはともかく、神奈川フィルは今回もよい演奏をしたようで何よりです。
今年はなんとかお金をひねり出して横浜へ行きたいですね。

投稿: ピースうさぎ改めjun1969 | 2012年3月11日 (日) 15時21分

どうも先日は遅くまでお引き留めしてすいません。
横浜は楽しく美味いですね。
でもそれもこれもご一緒して下さる皆様のおかげと感謝をしております。
コンサート後にコンサートの感慨やその他色々語れることの楽しさは格別ですから。
なので、夏のコンサート数ヶ月ない時は禁断症状が出ます。
ところで「聖響さんのしたいことができなかった運命」はまぁ8番もそう感じたのですがあの不徹底な緩さはそれはそれで気になりました。速いテンポでたたみ込めば何とはなしにカッコついたのでしょうがどうものれんに腕押し、気のない返事を上の空でされているような歯がゆさとでも申しましょうか、あの音の伸ばし方優美な旋律は今までの聖響さんではあり得なかったような気がするのです。
今までのあれをやられては文句を言いたくなるし、少し緩めばそれはそれで何か言いたくなるし、つくづく私は勝手だと思います。
でもまぁその分オケの美しさを堪能できて素敵でしたが。シュナ爺の面影を感じました。
あのオケはそう言うオケでしたよね。
来月はいよいよ「大地の歌」。どうなのでしょう。
楽しみと今までと違った不安と、ドラマですね。

投稿: yurikamome122 | 2012年3月12日 (月) 06時28分

ピースうさぎさん、あらため、jun1969さん、こちらこそお久しぶりです。
私も名古屋はすっかりご無沙汰してまして、懐かしさすら覚えます。
何事もたいへんですが、音楽に癒されてます。
神奈フィルのみがいま行くコンサートとなってます。
是非とも、お待ちしておりますね!

投稿: yokochan | 2012年3月12日 (月) 21時11分

yurikamomeさん、こんばんは。
先日はどうもお世話になりました。
またしても楽しいアフターコンサートとなりまして、コンサートの一環のような、いまではなくてはならぬものになっております。
こちらこそありがとうございます。

そして、わたしも勝手な聴き手でして、いつものアレを半ば期待して裏切られたもどかしさもございます。
もっと、スコンスコンやパンパカが聴きたかった、なんて実は思ってるのですから。。。

爺の面影を見るのは懐かしく、あの本来の姿に他ならないのですね。
このままいったら「大地の歌」は、ほんと、どうなるんでしょう。
その前に、音楽堂モーツァルトもありますし・・・・。
まったくそのとおりですねぇ。

投稿: yokochan | 2012年3月12日 (月) 21時33分

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神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第279回定期演奏会 公演日:2012年03月10日(土) 開演:14:00 開場:13:20 会場;横浜みなとみらいホール    指揮:金聖響  ソロ・コンサートマスター:石田泰尚 ベートーヴェン/   序曲「コリオラン」作品62   交響曲第8番ヘ長調作品93 ~~休憩~~ ベートーヴェン/   交響曲第5番ハ短調作品67「運命」  震災被災者への追悼  J・S・バッハ/アリア  黙祷  オーケストラはCDで聴い... [続きを読む]

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