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2012年3月 7日 (水)

神奈川フィルハーモニー定期演奏会 CDコンサート② サヴァリッシュ指揮

Noygakudou

ミニチュアじゃなくて、これ本物の能楽堂です。

横浜能楽堂を見学しましたもので。

西洋の音楽には、こんなにまでヲタクしてるのに、日本の伝統芸能にはからきし弱い。

高校生の時に、無理やり見せられたけど無反応。

同時上演の狂言はそりゃ誰しも大笑いでしたが。

ベートーヴェン 「コリオラン」序曲

            交響曲第8番

            交響曲第5番

    金 聖響 指揮  神奈川フィルハーモニー管弦楽団

        2012年3月10日 14:00 @みなとみらいホール


みなさん、土曜の午後だし、横浜へおいでなさいまし。

NHK交響楽団では、ノリントンがピリオドによるベートーヴェンシリーズを敢行中なれど、和製で対抗します。

CD1枚で収まっちゃうコンパクトな演奏会は、きっとローカロリー・低脂肪の演奏となりましょう。

Sawa_58_1

今日のCDコンサートは、奇遇にも、定期演目3曲が1枚に収まったサヴァリッシュ盤。

第5&第8が、サヴァリッシュNHK交響楽団

コリオラン序曲が、ライナーとシカゴ交響楽団。

快速で有無をいうこともできないライナーの冷徹ぶりが凄まじい「コリオラン」。

究極の指揮者とオケのかたちかも。

そして、1982年にサヴァリッシュがN響と行ったスタジオ録音は、生真面目な指揮者と精確無比の演奏を残そうとするオーケストラの勤勉なる共同作業の1枚。

Sawallish2

懐かしいメンバー。N響の先生方。

コンマスは徳永二男さん。

ネクタイ姿のサヴァリッシュに、サラリーマンの休日服のようなカジュアルじゃないオジサンルックの楽員さん。
こんな録音風景から察せられる、ちょっとお堅い雰囲気は、そんな演奏をずっと親しんできただけに、とても微笑ましく、そして普通で嬉しいのだ。

8番のメトロノーム的な音楽をリズム正しく正確に演奏するN響は、かつて海外では、日本の時計のようだと評されたが、こうしてCDで聴いてみると、まったくそのとおりで、サヴァリッシュ先生の刻む綿密なバトンと相まって精緻な美しささえ感じてしまう。
端正で美しい8番の演奏。

5番は、冒頭から整然と始まり、昨日のカルロスの切迫感が嘘みたいに聴こえる。
おとなしすぎと感じるも、キビキビとした棒の運びに難なくついてゆくN響のアンサンブルが美しい。
早めながら、インテンポで進むうちに、終楽章はむしろテンポを落として、堂々と輝かしい最期を迎えるあたり、壮年期のサヴァリッシュ先生を感じます。

徹頭徹尾、音楽的に、余計な解釈は阻害し、譜面にあることだけを正確に響かせるスタイルは、その譜面の良しあしは別にして、いまや貴重な演奏スタイルじゃないでしょうか。

Sawallish1

正統の、それもドイツの演奏に飢えていた私たち日本の聴衆の渇きを癒したに違いないサヴァリッシュや、N響の名誉指揮者たちの存在。
その彼らに、わたしのような世代は多くを学びました。
感謝したいですね。

音楽の受け止め方も多種多様となり、音源は手頃で、そこらじゅうに溢れまくっているいまですから、よけいにその思いは強いです。
普通がイチバン。そしてそれが難しい。

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コメント

そうなんですよね。さまよえる様の普通が一番という言葉は重いです。これほど多くの演奏会に足を運び、莫大な資料を熟読し、えせクラシックファンにはおよびもつかない程のCDを聴きまくって、そのあげ句の言葉が「普通が一番」!
重いですね。
そうなんですよ。結局そうなんです。大学生のころサバリッシュやスイトナーを聴いて「物足りない」「個性が感じられない」「ぐっとこない」とか言っていましたが、この年になってスイトナーのフィガロやベートーベンを聴くと、ものすごく「ぐっ!」とくるんです。
サバリッシュのワグナーも「え!こんなだった?」ってくらいいいんですよ。
魚釣りは「フナ釣りに始まりフナ釣りに終わる」と言われるそうです。
ラーメンも「あっさり醤油味に始まり、あっさり醤油味に終わる」とも言われます(言われないか)
ベートーベンの5番も8番も実際に自分でオケで弾きました。思い出たくさんの名曲です。

投稿: モナコ命 | 2012年3月 8日 (木) 14時35分

モナコ命さん、N響の世界にもようこそ。
日本のオケの普通の代名詞がN響でしょうか。
いまこそ、ノリントンが登場してますが、かつてはドイツ系のオペラ劇場叩きあげの指揮者ばかりのオーソドックスな演目に演奏ばかり。
いまや、懐かしい「普通さ」。
スウィトナーのサヴァリッシュも、シュタインもライトナーもワルベルクも、みーんなオペラに軸足ある普通の指揮者たち。
いま過去演を聴くと、やたらと素晴らしく感じちゃいます。
味噌やとんこつ、塩もいいけど、行き着く味は、澄んだスープのあっさり醤油味です。
大いに賛同ですね。
昔、秋田の川反で食べた醤油ラーメンが忘れられません。
サヴァリッシュみたいなラーメンでした!(?)。
ラーメンの思い出も、たくさんありです。

投稿: yokochan | 2012年3月 8日 (木) 21時15分

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