神奈川フィル定期 ワーグナー facebook記事
5月25日 神奈川フィルハーモニー定期演奏会 後半のプログラムの「ニーベルングの指環」から。
facebookの応援サークルの一員として書きましたものを一部再褐。
こちら→http://www.facebook.com/yurikamome122
取りあげられる予定曲目
①「ラインの黄金」より「ヴァルハラ城への神々の入場」
②「ワルキューレ」より「ワルキューレの騎行」
③ 〃 「魔の炎の音楽」
④「ジークフリート」より「森のささやき」
⑤「神々の黄昏」より「葬送行進曲」
⑥ 〃 「ブリュンヒルデの自己犠牲」
4部作「ニーベルングの指環」から、大河ドラマにも匹敵する長大な音楽物語(まさに楽劇)のエッセンスを失わずに、聴きどころをチョイスするとこうなります。
全部一気に通すと15時間もかかる、「ニーベルングの指環」=「リング」。
こんな風に、オーケストラが目覚ましく活躍するシーンを抽出すると、約40~50分。
CDもたくさん出てますが、「ヴァルハラ城への入場」がないかわりに、「神々の黄昏」から「ジークフリートのラインの旅」が入っていたりしますが、4つの楽劇からバランスよく、しかもストーリーを持たせるという意味では、今回の神奈川フィルハーモニーの選曲は、とてもよいものだと思います。
ちなみに、CDや音楽会では、このようなチョイスによるものと、オランダのヴリーガーによる1時間の編曲ものや、指揮者による編曲などもいくつか出ておりますのので、是非ともお聴きください。
ワーグナーは、物語の登場人物や物事、心象にいたるまで、それらをあらわす動機を作り上げていて、示導動機=ライトモティーフといいます。
ワーグナーの舞台作品のほとんどは、そうしたライトモティーフを基本として取り入れた音楽造りです。
ことに「リング」は、その技法が最高峰に達した作品で、作曲期間に間の開いた最後の「神々の黄昏」になるほど、そしてドラマが重層的・複雑になるほど、ライトモティーフは網の目のように張り巡らされ、人物は言葉で歌わずとも、オーケストラがライトモティーフで、その時の感情や状況を表現し尽くしてしまうという、極めて高度な音楽となっているのです。
性格もよろしくなく独善的ともされるワーグナーですが、作曲の技量と聴く人を虜にしてしまう魔力の前にはひれ伏すしかありません。
ライトモティーフを全部把握しながら聴くのは、なかなか至難の業です。まずは、音楽に慣れ、旋律を覚えてから、ライトモティーフの意味を知っても遅くはないと思います。
今回は、ライトモティーフを交えての聴きどころご案内は、最小限にとどめます。
それぞれの聴きどころをご案内する前に、これまでのお勉強で学んだこの大叙事詩の物語を、今回の曲目に応じて、超圧縮してご案内。
①巨人族が請け負った新築の城の普請代金を、アルベリヒから強奪した頭巾や錬金した財宝、おまけに欲しくてならなかった「指環」でまかなった神々の長ウォータンは、妻や他の神様たちを伴って新居に晴れて入場。
②巨人に渡した世界制覇が叶うラインの黄金から造った指環に未練たっぷりのウォータンは、指環争奪戦に備え、英雄たちを、自分の生んだ勇ましい戦乙女ワルキューレたちに命じて城に集めております。
③ウォータンが、これもまた指環奪還のため、人間界で生みだしたジークムントとジークリンデ兄妹。恐妻や世間の板挟みになり、彼らを守ることができなくなったが、彼の意思を一番知る賢い娘ブリュンヒルデが、父の命に背き兄妹を助けようとする。しかし命令は命令。厳しい父は、娘との永遠の別れを告げ、山頂に炎とともに封印する。
④ブリュンヒルデが救出したジークリンデが産んだジークフリートは、元気な青年に成長。母を思い、女性を恋しく思い、孤独を紛らわせるため森で小鳥や動物たちと戯れ憩います。
⑤森の小鳥の導きで、巨人から指環を得て、さらに山上から解放したブリュンヒルデと永遠の愛を誓い、武者修行に出た英雄ジークフリートは、これまた指環を狙う神々の宿敵アルベリヒの息子ハーゲンに、唯一の弱点の背中を射抜かれて倒れ、葬送行進曲で送られる。
⑥すべてを悟った賢女ブリュンヒルデは、指環の相続人として、指環をめぐって混沌としてしまった世界を救出するため、ラインのほとりに薪をくべ炎を起こして、ジークフリートとの愛の証だった指環とともに、愛馬と炎の中に飛び込みます。
指環はラインの乙女のもとに帰り、炎は、ヴァルハラの城をはじめ世界を焼き尽くし、元の世界へと戻るのでした。
こんなことを思いつつそれぞれの名品をお楽しみください。
厳しい局面にある神奈川フィルのことは、しいては日本のオーケストラ・クラシック音楽の問題にほかなりません。
是非ご理解と、ご支援を。
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