神奈川フィルハーモニー5月定期演奏会 CDコンサート②
「馬に乗らないで下さい!」
あ、はい。
今にも飛び出しそうな駿馬。
確かに、乗りたくなりますな。
大岡山でひと仕事のあと、洗足池まで足をのばしてみましたよ。
お馬さんには、観光的に乗った経験があるのみですが、ブリュンヒルデとジークフリートに愛された愛馬「グラーネ」は、きっと忠実で飼い主の気持ちがわかる可愛いお馬さんだったのでしょうねぇ。
でも、グラーネは、ご主人ジークフリートが騙されて忘れ薬を飲まされるときには、干し草でもついばんでいただけ。
「それ、いけない」ぐらい言ってくれよ。
「リング」の物語で、もうひとひねり欲しかったぞ、グラーネの扱い。
神奈川フィルハーモニー第281回定期演奏会
リスト 交響詩「レ・プレリュード」
ピアノ協奏曲第1番
Pf:後藤 正孝(2011 リスト・コンクール1位)
ワーグナー 「ニーベルングの指環」抜粋
指揮:現田 茂夫
2012年5月25日(金) 19:00 みなとみらいホール
いよいよ明日の晩に迫った、神奈川フィルのリストとワーグナーの定期。
いかに、仕事を煙にまいて駆け付けるか。
あれこれ想像して、緊張して肩がこるし、眠れない予感が。
だから、飲みながら記事をしたためてます。
リハーサルも順調に運んでいるようです。
http://p.twipple.jp/user/kanagawaphil
リストの「レ・プレリュード」と2曲のピアノ協奏曲が1枚で聴ける徳用盤。
このあるようでない1枚は、コンサートホール原盤の懐かしの音盤。
ただし、広くお薦めはできません。
何故って、録音がショボすぎるもんでさ。
かさかさの潤いのない録音は、もこもこしてて、オケはきっとちゃんとしてるのに、ど田舎のローカルむき出しの雰囲気。
でも、昔からそうと知ってると、これがいいんだな。
ことに、若い頃ばかりに聴いて、いまはろくに聴かなくなってしまった、こちらのリスト2曲などは、遠い昔のノスタルジーをひも解くような雰囲気に満ちてるんだ。
「レ・プレリュード」
ポール・パレー指揮 モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団
デトロイト響での活躍が印象的なフランス人指揮者パレーは、わたしには、ミュンシュにも似た竹を割ったかのような剛毅なイメージがあります。
モンテカルロのオケから、荒々しいサウンドと抒情に溢れたサウンドを導きだしております。性急さもおもしろい。
ピアノ協奏曲第1番
Pf:ニキタ・マガロフ
セルジュ・ボド指揮 チューリヒ放送管弦楽団
グルジア出身の往年のヴィルトゥォーソピアニスト、ニキタ・マガロフのお得意のリスト。
マガロフは、リスト、ショパン、チャイコフスキーを得意にしていて、フィリップスからいくつも素晴らしい録音が出ておりました。
スイスで活躍したこともあり、スイス録音の多かったコンサートホールレーベルにもいくつも録音がありまして、こちらや、チャイコの協奏曲などは、懐かしくも鋭敏な演奏としてわたしの脳裏に刻まれてます。
オケがボドの指揮っていうところも渋いでしょ。
プレートルの陰に完全に隠れてしまった、フランス指揮者のボドは、ほんとはもっと評価されていいと思います。
「おやっさんのワーグナー」
「神々の黄昏」~ラインの旅、葬送行進曲、自己犠牲
ブリュンヒルデ:曽我栄子
朝比奈 隆 指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
(1983.10.4@大阪)
ぐいっとひと振り、掴みは大きく、要所は外さず、構えも巨大。
でもあっさり浪速のカツオ出汁は、さっぱりとしていながら味わい深し。
おやっさん、朝比奈先生のワーグナーでした。
え?もう終わり?
じゃぁ、ちょっと追加。
曽我栄子さんの懐かしい歌声。
60~80年代を代表するドラマティックソプラノの曽我さん。
N響の第9、二期会のワーグナーものなどに曽我さんは絶対的な存在だった。
飯守泰次郎先生が、バイロイトで活躍し、二期会に彗星のごとく「ワルキューレ」で登場したときのブリュンヒルデだった。
83年のこちらの録音でも、そのお声は健在。
すっきりと、日本人ならではの透明感あるドラマティコで、立派すぎるブリュンヒルデに飽きたときに、耳に優しく、母の歌声のように聴こえる曽我さんのブリュンヒルデなのでした。
朝比奈さんの指揮は、87年の「神々の黄昏」全曲演奏の前段階のような感じで、掘り下げはそちらにかなり譲る。
でも、意外なくらいに、和風テイストのおいしいワーグナーだったりしまして、いい味してまんな、と声を掛けたくなる。
1983~87年にわたって、新日本フィル定期で、朝比奈リングが演奏会形式で全曲演奏された。
ワタクシは、その間、会員となってすべてを聴きました。
記事はこちら→朝比奈隆と新日本フィルの「リング」
あの時の、「神々の黄昏」の、葬送行進曲以降の素晴らしさは、いまでも忘れられない。
腰をかけて、譜面とにらめっこしながら指揮をしていた朝比奈先生は、ここからずっと立ちあがり、それこそ夢中の指揮ぶりで、歌手もオケも4部作最後の大団円に向かって感動を高めながら演奏していった。
リング全部を演奏することの感動の頂点は、このラストにきっとあると思うし、聴くわたしたちも、この最後があるから気持ちが高ぶるのでありましょう。
何回ともなく、そうした経験をしてきたワタクシ、明日の神奈川フィルでは、平常心ではいられなくなってしまいそう。
嗚咽の涙を流してるヤツがいたら、みなさん、それはワタシだよ
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