池辺、レーガー、ラフマニノフ 3月神奈川フィル定期
シロノワール。あったかいデニッシュのうえに、ソフトクリーム
名古屋地区発祥のコメダ珈琲店にて。
コメダは、私が名古屋赴任中は、それこそ、どこにでもあるもんだから、食事に休憩に、待ち合わせに、打ち合わせに、と何でも対応できる万能ロードサイド喫茶店として、実に重宝したものです。
いまや、関西、関東甲信越に広域展開する人気店になっちゃった。
実家に帰って墓参りしたときに行った湘南台店にて。
シロノワールは家人に任せて、大人のワタクシは、コーヒーに豆菓子。
この日は、座間まで足をのばし、「コストコ」へ。
いやはや、ものスゴイ渋滞で、信号待ちで1時間以上。
店内もカートの渋滞でまいりましたよ。
ほとんど、ネタに近い大量ぶり。
毎日パン食ってますぜ(笑)
さて、画像と関係なく、神奈川フィルハーモニー今シーズン定期を聴くシリーズ最終回。
池辺晋一郎 交響曲第8番 (神奈川フィル委嘱作 世界初演)
レーガー ヒラーの主題による変奏曲とフーガ
ラフマニノフ 交響曲第2番
金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
2013年3月2日 (土曜) 14:00 みなとみらいホール
今シーズン最後の定期は、渋い演目とロマンティックな演目の組み合わせ。
神奈フィルとも縁が深い池辺さんに交響曲が7曲もあるとは知らなかった。
合唱作品やオペラ、ドラマの音楽、そしてダジャレ(?)のイメージだったものですから。
委嘱作品の初演に立ち会えます。
2曲目は、ドイツの作曲家、マックス・レーガー(1873~1916)。
マーラーとほぼ同世代で、「モーツァルトの主題による変奏曲」(K331トルコ行進曲のソナタの1楽章)ばかりが有名で、あとは晦渋でとっつきにくいイメージしかない作曲家。
その顔写真をみても、苦虫かみつぶしたような、愛想ない顔。
でも、暴飲暴食・大酒飲みの巨漢だったということも知り、どこか憎めないオジサンなんですよ、これがまた。(わしがレーガーじゃ)
いまのところ、レーガーはわたしにとって、厳しい作曲家です。
同じように少し苦手意識をもっていて、とっつきがいまだにままならない作曲家として、時代は相前後しますが、プフィッツナー、ブゾーニ、ヒンデミットらのみなさんがおります。
今回、ライブでレーガー、しかも珍しい「ヒラー変奏曲」が聴けるとあって、苦手打破の絶好の機会かもしれません。
この作品の元主題の作曲家のヒラーさんは、二人いて、どちらもドイツ。
レーガーがその変奏に使ったのは、古い方のヨハン・アダム・ヒラー(1728~1804)で、この方は、ドイツ・ジングシュピールの祖とも言われております。
ちなみに、ジングシュピールとは、モーツァルトの「魔笛」に代表される、民衆にもわかりやすいドイツ語による音楽劇みたいなもの。当時イタリア語やフランス語によるオペラばっかりだったドイツの劇場に市民の目線を植えつけたんです。
そのヒラーのオペラ「Der Erntekranz」(花輪の収穫?)というオペラの旋律による、主題と11の変奏、そしてフーガを原作者の活躍した同じライプチヒで作曲したのがレーガー。
1907年の作で、曲は、しばしブラームスチックである。
そうまるで、ブラームスがハイドンに魅せられ書いたあの名作のように、レーガーはヒラーの親しみやすい旋律をもとに、ブラームスを心に思いながら書いたに違いありません。
まだまだ練習中のわたくし、CDはヤルヴィとコンセルトヘボウ盤しか持っておらず、ろくに聴きこんでもおりません。
でもきっと、これは聴きこむほどに、味わいの増す、そう、スルメ系の音楽なのかもしれませぬ。最後のフーガのそれこそバッハのオルガン曲を編曲したかのような壮大な盛り上がりは、かなりいいです!
こんな曲だから、モヤモヤしていたら、ますます混沌としてしまいます。
神奈川フィルの音色を活かして、聖響さんには明快な解釈を施してほしいと今から思いますね。
期待しております。
プログラム後半は、すっかりお馴染み、ラフマニノフの交響曲第2番。
神奈川フィルは、現田茂夫さんの指揮で、すっかり手の内に入った曲です。
わたしも過去聴いて、感涙の涙をちょちょぎらせておりますよ。
そしてラフマニノフ大好きオジサンのわたくし、この曲フェチ男なんですよ。
何度も書いてますが、いまを去ること数十年前の独身時代、新宿のぼろアパートの侘び住まい。冬のしばれる6畳一間で、ホットウィスキー片手に、毎日毎日聴いたのがこの曲。
ちなみに、マーラーとディーリアスとシベリウスにワーグナー、ヴェルディの日々。
わたしの若き日への、ノスタルジー掻き立てる曲のひとつ。
1時間の大曲の隅々に溢れかえる歌、そしてまた歌。
それは募る気持ち抑えがたい故郷への思いを、甘味なロマンティシズムにすっかり置き換えてしまった、やるせないほどに、美しくもドラマテックな音楽なのです。
いま、こうして少し響きの弱いデュトワ盤を聴きつつも、どこもかしこも慣れ親しんだこの曲に心奪われ、陶然としてしまっている自分を見出すんです。
この媚薬的効果をもった音楽の聴きどころは・・・・、そう、最初から最後まで、すべてです!
1楽章のワクワク感を伴ったもりあがりと感傷的な旋律の対比。
打楽器も活躍のリズミカルな2楽章は、中間部のこれまた甘い歌。
そして3楽章は、甘味料たっぷり。聴いた後には皆さま歯をしっかり磨きましょう。
その甘い旋律は、涙に濡れそぼっていて、その憂愁に負けてしまいそう。
クラリネット素晴らしすぎ。
終楽章は、思いきり高揚してもらって、ドキドキさせて、ブラボーと叫ばせて欲しい。
神奈川フィルのラフマニノフ節に超期待
この曲がバカみたいに好きなものだから。
過去記事たくさん。
「スラトキン&セントルイス交響楽団」
「サー・マリナー&シュトッゥトガルト放送響」
「現田茂夫&東京大学音楽部管弦楽団」
「プレヴィン&ロンドン響」
「ハンドレー&ロイヤル・フィル」
「現田&神奈川フィル」
「尾高&東京フィル」
「尾高&BBCウェールズ」
「プレヴィン指揮 NHK交響楽団」
「大友直人指揮 東京交響楽団」
「ロジェストヴェンスキー指揮 ロンドン交響楽団」
「ヤンソンス指揮 フィルハーモニア管弦楽団」
「ビシュコフ指揮 パリ管弦楽団」
ちなみに、この曲の最強演奏は、いまだにプレヴィン&ロンドン響のEMI盤でございます。
神奈川フィルの今シーズン・レビューはこれにて終了。
| 固定リンク
コメント
私にとって、レーガーと言えば、オルガン曲です。讃美歌の旋律を自由に展開した、いくつかのコラール幻想曲は、荘厳で迫力があります。パイプオルガンのコンサートでは、プログラムのメインの曲として取り上げられることも多いのではないでしょうか。
香川では、地元のオケがあるにはありますが、演奏会も少なく、他のオーケストラの演奏会も少ないです。ソロの演奏会も少ないですね。
妻の実家は京都なので、帰省ついでに、京響の演奏会に行きたいと思いつつ、スケジュールは中々合いませんね。神奈川フィルも意欲的にいろんな曲を取り上げているようで、いいですね。
投稿: udon | 2012年5月 9日 (水) 10時31分
udonさん、こんばんは、コメントどうもありがとうございます。
レーガーで、オルガン曲とくると、かなりのツウですね。
わたしは、これまでひとつも聴いたことがありませんでした。
これは一度あたってみなくてはなりません。
レーガーは、変奏曲とフーガの形式にかなりこだわりを持っているようなので、バッハへの思いも相当だったのでしょうね。
udonさんの、ハンドルネームを、わたくし、「ユードン」さんと思ってました。
申し訳ありません。うどん県の香川県でわかりました、すいません。
高松には、かつてよく出張しておりまして、それこそうどん三昧でしたし、市電駅のそばのバーを馴染みにしておりました。
各地に赴くおりは、音楽会があるかどうか必ず調べますが、平日にあることはまずありませんね。
とても残念ですが、東京が異常なのでしょう。
身近に、このように応援しがいのあるオケがあることは、望外の喜びです。
投稿: yokochan | 2012年5月10日 (木) 00時13分
はい、うどん県のudonです。
キリスト教の教会の牧師という少しかわった仕事をしていますので、東京の神学校で学んでいた頃、チャペルにパイプオルガンがあって、生演奏も何回も聞く機会がありました。
私の知る限り、バッハ以降で、大規模なオルガン曲を多数作曲している人はあまりいなくて、レーガーはその中の一人だと思います。お察しのとおり、バッハへのオマージュが感じられる作風のようです。
主題を対位法を駆使してしつこいくらい繰り返して、最後は、主題をオルガンの全管を使って鳴らし切るというパターンが多いのですが、実演で聞くと、鳥肌が立ちます。
バッハ風の構築に、後期ロマン派的な香りがするという感じです。
生演奏からはかなり遠ざかっていて、オケの情報にも疎いのですが、金聖響さんは、大阪から神奈川に活動の場を移されたのでしょうか?
投稿: udon | 2012年5月10日 (木) 07時59分
udonさん、こんばんは。
ご丁寧にどうもありがとうございます。
わたくしの卒業した大学にもチャペルがありまして、毎年メサイアを演奏する環境にありましたが、当時はまったく触れることなく、怠惰な日々とともに卒業してしまいました。
いまでこそ、教会を見かけるとおじゃまして、オルガンの練習などにありつけないかと思ったりもしてます。
動機が不純なのでございますが、オルガンは教会で聴くのが一番にいまさらながら思ってます。
そして、レーガーのオルガン作品。
コメント拝読して、ますます確認してみたいと思います。
晦渋と思いがちなレーガーの音楽の源流は、ご指摘いただいたバッハの音楽にあるのかもしれません。
聖響さんは、おっしゃるとおり、メインの活動を神奈川に、そして従来の金沢と、いまはフランダースにと、広げております。
まだまだ若いですから、次々に活動の場を広げていって欲しいと思います。
投稿: yokochan | 2012年5月10日 (木) 23時59分