エルガー「コケイン」&アイアランド「ロンドン序曲」 バルビローリ指揮
千鳥が淵、一番町にある英国大使館。
20日から、日暮れとともにライトアップ・カウントダウンが行われておりまして、27日の開会のその瞬間が最終日です。
数年前、英国音楽ばかり記事にしていたものですから、英国文化を紹介する日本ブロガーとして、英国大使館の関係からイヴェントメールをいただくようになりました。
いろんな講演会や、大使館での催しのご案内を希に戴いておりましたが、勿体ないことに参加経験ゼロ。
今回のライトアップは情報いただき、そそくさといってまいりましたよ。
ご覧のとおり、建物をラッピングするみたいなユニオン・ジャックに開会式までの残り時間。
日本時間、7月26日19時20分くらいだったでしょうか。
今日は、ロンドンをテーマにした英国作曲家のふたつの序曲をバルビローリの指揮で。
エルガー 序曲「コケイン」
サー・ジョン・バルビローリ指揮フィルハーモニア管弦楽団
コケインは、広範には生粋のロンドンっ子という意味で、コックニー、狭義には、すなわち、ロンドン・シティーのエリアの人々のことを言いました。
ロンドン気質みたいな感じでしょうか。
エルガーの作品には、それはお高い雰囲気はなくって、労働者の市井の営みを感じさせるフレンドリーな街といった雰囲気で、それがそっくり音楽になっているんです。
後年のふたつの交響曲+1に聴かれるような、英国の夕暮れを思わせるような憂愁はここでは聴かれません。
快活で、のびのびと明るい、ナイスなロンドンであります。
アイアランド 「ロンドン序曲」
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ロンドン交響楽団
こちらは、エルガーの作品から35年後、マンチェスター生まれのジョン・アイアランドは、その名も「ロンドン」の序曲を書きました。
もとは吹奏楽のための「コメディ」序曲という作品を書いていたアイアランドに、エイドリアン・ボールトがオーケストラ化を勧め、「ロンドン序曲」としてリニューアルしたもの。
こちらも、ナイスで明るい雰囲気で、盛り上げにも事欠きません。
ですが、エルガーのロンドンと少し違って、都会の矛盾をそこはかとなく捉えていて、中間部では哀愁溢れる旋律を伴って、頬杖をつきたくなるようなアンニュイムードになるのです。
エルガーとの世代の距離を感じるとともに、戦争の影も認めざるをえません。
でも、それはいっときのはなし。
曲はすぐに、快活なムードに戻り、元気にエンディングを迎えます。
どちらの曲にも感じる、イギリス気質。
この2曲に、V・ウィリアムズのロンドン・シンフォニー、コーツの楽しいロンドン組曲などとともに、ロンドンを描いた音楽は、どちらも個性的。
サー・ジョンの慈しみと歌心あふれる演奏は素晴らしいです。
いかにも英国。
そして、普段は、こんなふうに絶対撮れない大使館の門扉。
オリンピックそのものは、どこの国でもあんまり盛り上がってないんじゃないかしら。
世界はいまそんな風潮になりつつあるような気がします。
でも、英国好きとしては、国とロンドンそのものから常に目が離せません。
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