エルガー 交響曲第1番 ボールト指揮
テムズを行く五輪。
英国人は、やることがナイスですな。
でも、ちょっと大まかなんですよね。
林望さんの本かなにかで読んだことがあるんだけど、「英国はおいしい」だったか、英国料理はマズい、という定番の風評を肯定はしつつも、英国の歴史がそうさせてしまったというもの。
それは、Villege=村を基本単位とした英国各地には、祭りや村人同士の交流から、その地独自の食べ物や文化が育ち、進化していったが、やがて地主が生まれ、村を支配する仕組みができ、地方のくくりも大きくなり、支配階級が生まれ、村から搾取するようになり、個々の文化は停滞していった・・・・、このことから食文化も味気なくなっていった・・・。
とかいうものだったように思います。
日本も同じような流れですが、日本の場合は内側に固まる意識も強くて、密かに守り育てられる文化が、のちの鎖国も手伝って独自化していったのですが、英国は列強として外へ外へとそのパワーは向かい、内なる国内は支配階級の思うがままになっていったんだと思います。
英国の貴族階級は、いまも半端なく凄いものがありそうですが、それはかつての支配階級の流れの中にあります。
日本の武士=軍人が消え去ってしまったことと、ここでは大きな違いがありますね。
そして英国貴族は、かつての武力も有した支配階級ではありますが、ノーブルで嗜み豊かで、毅然としております。
ちなみに、わたくしの英国訪問は一度だけ。
忙しい出張でしたが、ギドニー・パイとかステーキ(固い)、サンドイッチなど、悪くはなかったと思ってますが。。。。
エルガー 交響曲第1番 変イ長調
サー・エードリアン・ボールト指揮ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
(1976.9,10 アビーロードスタジオ
&キングスウェイホール)
もうすっかり有名交響曲の一員となりました、エルガーの交響曲第1番。
日本のコンサートでも、いつもどこかで演奏されてます。
50分を越す大作だけど、各楽章が冒頭のモットーと何らかの関係で結ばれていて、最初のじわじわとした高揚感から、2楽章の行進曲風の勇壮さ、3楽章の陰りある儚い美しさ、苦しみの中から、最後は冒頭楽章が感動的に回帰する輝かしい終楽章と、一度ハマれば、聴きてを魅惑してやまない素晴らしい交響曲なのです。
もう何万回も聴き、何回も記事にしてきましたが、バルビローリと並んで、英国音楽・エルガーの音楽のご本尊さま的存在のボールト盤をこれまで一度も取り上げてきませんでした。
ボールトの1番で、もっとも一般的なのが、1976年のロンドン・フィル盤。
どういう塩梅か、終楽章だけ録音場所が異なり、微妙に雰囲気が異なりますが、この1枚は実に安心して身を委ねることができます。
おおらかで、小事には動じることのない真っ直ぐのブレのない解釈は、エルガーのノビルメンテの指示そのもを体現してます。
細部のきめ細やかさでは、昨今の精度高い演奏にひけをとりますが、一本筋の通った骨太な流れの中にエルガーの高貴なる眼差しと、自国への愛情を感じることができます。
惜しむらくはEMI録音の、一枚ヴェールのかかったような響き。
同時期、音楽監督だったハイティンクがロンドンフィルとはフィリップスに、重厚でウォームかつ克明な録音を残しているのと大違い。
エルガー 交響曲第1番 変イ長調
サー・エードリアン・ボールト指揮 BBC交響楽団
(1976.7.18 ロイヤルアルバートホール)
そして、ボールトのエルガー1番、もう1枚は、さきのEMI盤の2ヶ月前、プロムスにおけるライブ録音で、珍しくBBC交響楽団を指揮したもの。
こちらの放送録音の方が心地いいって、いったいEMIさんはどうなってるんだろ。
で、演奏はライブの感興そのもが反映された興奮と思い入れそそるもの。
思いの丈をしっかりと乗せて、じっくり聴かせてくれる3楽章もふくめて、テンポが実に早く、表情づけも早い分、若々しい。
でもさすがはボールトと、機敏なBBCだけあって、時にアクセルを緩めじっくり構える指揮にしっかり着いていって、硬軟取り混ぜた、実に鮮やかなエルガーに仕上がってます。
圧巻は、ライブだけあって、やはり最後の感動的な大エンディング。
いやはや、ものすごい歓声が巻き起こります。
参考タイム:
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ
BBC 17'22" 7'05" 9'04" 11'19"
LPO 18'39" 7'14" 10'53" 12'03"
エルガー 1番 過去記事
「バルビローリ/ハルレ管弦楽団 新旧」
「湯浅卓雄/神奈川フィルハーモニー」
「マリナー/アカデミー管弦楽団」
「尾高忠明/NHK交響楽団」
「バルビローリ/フィルハーモニア管」
「大友直人/京都市交響楽団 演奏会」
「尾高忠明/BBCウェールズ響」
「ノリントン/シュトットガルト放送響」
「プリッチャード/BBC交響楽団」
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