ドビュッシー フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
毎度恐縮ですが、相模湾をコスモスとともに望む図です。
お正月に菜の花を咲かせるためか、このコスモスたちも早咲きで、もうすぐ刈り取ってしまうそうです。
温暖の地ですからできることですが、秋桜にしては暑すぎの毎日ですね。
しかし、この素晴らしい景色にマイナス要素は、そう、あのマンションです。
反対運動はかなりのものだったが、反対に法的な根拠もなく、建ってしまった。
こうして見ると、いかに景観をぶち壊しているか、無粋な建築物かがわかるというもの。
湘南・西湘エリアは人気の居住エリアですから、こうした開発は、いろんな規制がありながらも、いまも各所で続いております。
複雑な心境であります。
ドビュッシー フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
Fl:ジャン・ピエール・ランパル
Vla:ピエール・パスキエ
Hp:リリー・ラスキーヌ
(1962.4)
今日は、ドビュッシー(1862〜1918)が、150年前に、パリ北部、サン=ジェルマン=アン=レーで生まれた日です(8月22日)。
150年ですよ。
思えば、1970年、わたしがクラシックに目覚めた頃、日本は大阪万博に湧いていたけれど、音楽界では、幾多の来日演奏家に加え、ベートーヴェンの生誕200年で大爆発だった。
わたしの記憶は古いほど鮮明なので、つい先日のこととのように覚えてます。
だからゆえ、ドビュッシーの生誕150年というと、ベートーヴェンとそんなに近かったの?
と勝手に思ってしまう次第。
でも計算すれば90年近く違うわけで、50年の差プラス分、自分がそれだけ歳を経てしまったことに愕然としてしまうのですよ・・・・・。
来年は、ワーグナーとヴェルデイの200年だし、自分に残された年月をも意識せざるを得なくなってくるんです。
変な思いに沈んでしまったのは、ドビュッシーの残したソナタ3つを聴いて、ホワーンとした気分になり妄想してしまったからかも。。。。
今日は、その3つのソナタの中から、一番不思議な楽器の取り合わせの曲を。
交響曲は書かなかったし、協奏曲もなし。
ドイツ的な形式主義を一切拒んだドビュッシーは、もっともフランス的でありなんとする思いから、フランスらしい、そしてフランスのバロック的な自由な形式で、ソナタを6つセットで残そうと考えた。
それが、「チェロとピアノのためのソナタ」と「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」「チェロとピアノのためのソナタ」の3つ。
あとの3曲は、ドビュッシーの死によって結実することがなかった。
自身のメモでは、次は「オーボエ、ホルン、クラブサンのためのソナタ」と記されているそうな。
ユニークな楽器の組み合わせによる、ドビュッシーらしい印象派としての作品が、あと3つあったとしたら、それぞれの楽器奏者にとっても天啓ともいうべき作品が残されたことでありましょう。
1915〜1917年にかけて作曲された3つのソナタ。
ソナタといいながらも、3つの楽章を持ちながらも、それぞれ、「パストラーレ」「間奏曲」「終曲」と、まるで組曲のような名前と配置を持ちます。
パストラーレは、「亜麻色の髪の乙女」の旋律を思わせる美しくたおやかなもの。
この3つの楽器の透明感とクールな優しさが溢れます。
2楽章では、スケルツォ的な場面と、明るく水しぶきをあげるような涼しげなムードが漂う。
フルートとハープの透き通ったこの世ならぬ響きに、ヴィオラが下支えしつつ、どこかアンニュイなムードを添えます。
とらえどころがなかなか難しい曲ですが、雰囲気的・感覚的な模糊とした音楽は妙に魅力的。
終曲へ行くと、こちらも慣れてきて、これらの楽器が醸し出す独特の響きと、捉え難く変転してやまない楽想を、耳が感覚として受け止めるようになってくる・・・気がする。
3つのソナタの中では、一番不可思議だけれど、独特の雰囲気を持つ曲です。
フランス人たち、3人の、ゆかしき演奏。
鼻から空気が抜けていきそうな感じで、いまにも、わたくしフランス語を話せそうな気になりましてよ。
この同じ編成の音楽、あと、バックスと武満徹を持ってます。
いずれとりあげたいと思ってます。
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コメント
こんばんは!こちらの方では少しご無沙汰しておりますm(_ _)m
危なかった、私もこの曲にしようか、「版画」にしようか
迷いに迷った挙句、結局アバドの「海」で落ち着いた次第、
あやうくドン被りするところでした!(笑)。
この不思議な編成で不思議な音響の曲、とても魅力的ですよね。
「アンニュイ」な感じがとても好きです。
部屋を暗くして、シングル・モルトをまあるい氷にくぐらせながら
目を閉じて聴きたい、そんな瞑想的な音楽。
アンサンブル・ウィーン-ベルリンのCDをよく聴きます。
バックスもこの編成で書いた曲があるのですね?
知らなかったです・・・(武満さんはなんとなく分かるような気がする)
ぜひ聴いてみたいです!
投稿: minamina | 2012年8月23日 (木) 00時48分
ドビュッシーの誕生日ですか・・・。意識しなかったなぁ。毎日の暑さ-ではなく酷暑で。
ドビュッシーといったら「ペレアスとメリザンド」ですね。管弦楽なら「遊戯」、ピアノ曲は練習曲、室内楽ではチェロ・ソナタ。こうして並べてみたら、へそ曲がりの選曲になってしまった。でも、へそ曲がりな人だったから、こんなへそ曲がりも許してくれるでしょう。
けど、ドビュッシーのほとんど全曲を揃えても、まだ「リング」と楽劇半分で収まるのです。ドビュッシーって優しい・・・。
年を食ってますます好きになる、不思議な作曲家ですね。
投稿: | 2012年8月23日 (木) 23時56分
minamina さん、こんにちは、暑いですね。あっちで、日々、いいね合戦をしてますから、つい本丸をご無沙汰しちゃいましね。
まあ、無理なくまいりましょう。
わたしも、海も考えましたが、始終取り上げてますし、短いのがよくてこちらでした。
不可思議で、いまもってよわからない曲ですが、ポワンとしたいときに最高です。
ウイスキーもいいですなぁ。で、夏なら、わたしは、超ドライなレモンサワーなども。
この不思議編成の作品、また取り上げます。
投稿: yokochan | 2012年8月24日 (金) 22時48分
IANISさん、毎度です。
クソ暑いときのドビュッシーは、いまひとつピンとこないのですいが、誕生日だからしょうがないです。
あげた曲は、ペレアスを除いて、なかなかのヘソまがりぶりですねぇ。
長大な曲がないのも、いざというときに嬉しいのは同感です。
でも、わたしには、まだまだ未知数の多いドビュッシー。
涼しくなったら歌曲でもいきますから。
投稿: yokochan | 2012年8月25日 (土) 00時23分