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2012年10月13日 (土)

神奈川フィルハーモニー 第284回定期演奏会 イシイ=エトウ指揮

Minatomirai

いつもと違った場所からパシャリと1枚。

あの先で、これより神奈川フィルの10月定期公演ですよ。

Kanaphill_201210

      ブラームス   ヴァイオリン協奏曲

                「ヴェニスの謝肉祭」(アンコール)

           Vn:シン・ヒョンス

      ウェーベルン  小管弦楽のための交響曲

      J・シュトラウス 「皇帝円舞曲」

      ラヴェル     「ラ・ヴァルス」

   キンボー・イシイ=エトウ指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団


                 (2012.10.12 みなとみらいホール)

「マーラーとその時代、爛熟ウィーンへの旅」のお題に基づいた、不可思議兼よく考え抜かれたプログラム。
一昨年のちょうど10月、コープランドや新世界で神奈フィルとの相性ばっちりの素敵な演奏を聴かせてくれたナイスガイ、エトウさんイシイさんの指揮に期待が高まりました。

・・・ですが、終わってみると、あれ? こんなはずじゃ?

という印象が正直なところ。
どうしちゃったんだろ、調子が悪そうで、キレがなく、オケともしっくりこないままに、「ラ・ヴァルス」をむかえ、そして最後はさすがに勢いで華々しく終了されてしまった感じ。

ブラームスの協奏曲から、ヴァイオリンのシン・ヒョンス嬢に気圧されていた感あり。
若い彼女、チョン・キョンファやサラ・チャンらの先輩たちとも違った個性・・・・との触れ込みだったけれど、超絶技巧を駆使したアンコールも含め、どうしてどうして、自己主張たっぷりのかの国ならではのパッション系のヴァイオリンでありました。
繊細さ、力強さ、歌いぶり、いずれも強調され、これでもかというばかりに圧倒的。
スゴイなぁ、と感心しながら聴くことしばし。
でもチャイコフスキーならともかく、これはブラームスだよなぁ。
うむ、豊かな才能は、これから年月を経てどう音楽をとらえ、開花してゆくのでしょうか。
いまのところは、わたしの思うブラームスとは遠いところにあるブラームスでした。
でも、第2楽章のオーケストラはふくよかで美しかった。
 

コンマスの石田氏にピチカートを強要(?)し、それが弦楽アンサンブルに伝播しつつ、目もくらむ技巧でもって、ひょいひょいと弾いた「ヴェニスの謝肉祭」。
すっかり圧倒されましたよ。
これこそ、スゴイのひとこと。

20分の休憩をはさんで、後半に期待。

いきなりウェーベルンの不思議世界につれていかれてしまい、緻密な時間空間を10分間息を殺すようにして楽しみました。
ブーレーズの冷徹な演奏のCDに慣れてしまっていたものですから、ちょっと緩くは感じましたが、こうした曲を取り上げてくれたことは実にうれしい。
コンサートには、こうした刺激も必要ですからね。
 ただ、曲の配列からして、ちょっと異質すぎましたかね。
後半は、フルオケの曲ばかりにして、オーケストラの温度を高めていったほうがよかったかも。
同じウェーベルンなら「パッサカリア」とか、ベルクの「3つの小品」とか。

「皇帝円舞曲」は、異次元に持っていかれたこちらの耳を補正できぬまま、どこか余所行き風に聴こえてしまったのは、こちらのせいかしら?
いや、神奈川フィルならもっと美音の爆発があってもいいはず、と思いつつ終わってしまった10分間。

うーむ、ラヴェルに期待だな、とぎっしり勢ぞろいのフル神奈フィル。
でもラヴェルならではの精緻さ・精妙さがちょっと足りなくて、イシイさんとエトウさんの指揮姿とオーケストラの音に乖離が感じられる。やっぱり体調でも悪いのか、と思ってしまう。
でも、ラヴェルの巧みな音楽は、そんな思いを最後は見事に吹っ飛ばして、ゴージャスなエンディングを華麗に迎えてしまうのでした。
そして、ここに至って、さすがは神奈川フィル!と溜飲を下げるワタクシでした。

忙しすぎの神奈川フィルの皆さん、今回は文句言ってしまいすいません。
聴く側にも夏の疲れが出てますし、次回は満員御礼の「皇帝」と「ヘルデン・レーベン」をバッチリ聴かせていただきます。

演奏終了後、退職されるファゴットの境野さんへの花束贈呈セレモニーがありました。
石田コンマスは、こんな厳粛なムードでも笑いをとってしまうんですね(笑)。
境野さん、お疲れ様でした。

そして、アフターコンサートは、新メンバーも交えて、終電まで飲みまくり。
こちらもお疲れ様でした。

Minatomirai2

こちらは、日付が変わった桜木町駅前。

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コメント

「ピーター・グライムズ」が終わって、まだ感想をまとめないうちに、今日は東京交響楽団新潟定期であります。
シン・ヒョンスのブラームス、さぞかしバリバリ弾いたでしょうね。リサイタルを新潟で聴く機会があり、チョン姉やサラ・チャンと違った個性どころが、さすがにキムチの国の人だなぁと感心したのを思い出しました。「ヴェニスの謝肉祭」なんて、いかしてますね。
プログラム後半がヴェーベルンの交響曲と編曲した「皇帝円舞曲」に「ラ・ヴァルス」ではちょっとまとまりに欠けるプロだとは思ってましたが、・・・そうでしたか。でも、定期演奏会は全てが全て上手くいくというわけではなく、それに立ち会うのも定期会員の“醍醐味”だと思います。

投稿: IANIS | 2012年10月13日 (土) 12時09分

IANISさん、こんばんは。
あんまり直際的に書かなかったのですが、まさにキムチパワーでした。
韓国女性の飲み屋にいくと、次々と強引なまでに飲まされてしまう、あの強烈さに似てます(笑)。
「皇帝円舞曲」はオリジナルでしたが、もう一度聴いてみたいです。ウィンナ・ワルツは意外や難しいものなのだなぁと痛感いたしました。
早くも来シーズンが発表されましたが、定期演奏会は毎年、ひとつの物語を読み聴くような思いであります。

投稿: yokochan | 2012年10月13日 (土) 23時05分

どうも遅くまでありがとうございました。
それにしても、彼女は強烈でした。私のあの曲に対するイメージを鮮やかなまでに破壊してまたまたなぞを残してくれました。
なんとも言えないパンチの効いたブラームスでまいりました。知性とウィットの効いたプログラムでした。
こういう選曲の妙も、そしてそれを楽しむのも定期会員の楽しさですね。
また次回よろしくお願いいたします。

投稿: yurikamome122 | 2012年10月14日 (日) 08時06分

yurikamomeさん、おはようございます。
わたしもあんなブラームス、しいていえば攻撃的かつ果敢なブラームスを聴いたのは初めてです。
思えば、面白い経験をしたものです。
少し辛口になってしまいましたが、こんな思いも常に身近に親しく接することができる神奈フィルだからこそです。
これからの展開も大いに楽しみですね。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2012年10月14日 (日) 10時30分

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神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第284回定期演奏会 公演日:2012年10月12日(金) 開演:19:00 会場:横浜みなとみらいホール 指揮:キンボー・イシイ=エトウ ヴァイオリン:シン・ヒョンス ソロ・コンサートマスター:石田泰尚 ブラームス/    ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77 ヴァイオリン・アンコール  ヴェニスの謝肉祭 ~~休憩~~ ウェーベルン/交響曲作品21 J.シュトラウス2世/皇帝円舞曲作品437 ラヴェル/ラ・ヴァルス ... [続きを読む]

受信: 2012年10月14日 (日) 08時08分

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