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2012年11月15日 (木)

ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 ジュリーニ指揮

Nakai_fuji_1

神奈川県中井町から望んだ富士山。

もう真っ白の雪がおおってます。

急に冷えてきました。

やっぱり、ニッポンの富士山は、頭に雪をかぶってないと。

Beethoven_sym6_giulini

  ベートーヴェン 交響曲第6番 「田園」

  カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団

                     (1979 ロサンゼルス)


わたしがベートーヴェンのこんな名曲を取り上げるのって珍しい。

と言ってみる。

が、しかし、「田園」は結構聴いてるし、ブログにも取り上げている。
両端の5番と7番よりは、はるかに聴いてるし好きだ。

でも。カラヤンを唯一の例外として、キビキビ系でなく、おっとり系の「田園」じゃないといけない。
せかせか散歩したんじゃ、せっかくの安らぎに満ちた風景が台無しだから。

そんな中のひとつがジュリーニのDG時代の「田園」。

ジュリーニは、ばらばらながらベートーヴェンの全曲録音がありますが、録音回数では「田園」が一番多くて、4回あります。
その全部を聴いておりませぬが、わたしは、このロスフィル盤が一番好きであります。
それは、DG時代のジュリーニが一番高貴で輝きと気力にあふれていたと思うから。

シカゴの主席客演を務めるかたわら、ウィーン響を辞めて、ロスフィルに就任したときは驚いたものだったが、メータのあと、明るいカリフォルニアサウンドに、深みと慎重さを加えて、ロスフィル新時代を築いたジュリーニ。
多くはないけれど、その録音はシカゴのものとともに、わたしの学生~社会人へと歩む時期の貴重な思い出のものばかりです。

録音のせいもあるが、少しゴツゴツした感じの第1楽章は、ゆったりとしながら、かつ克明でどこまでも光があたっているかのようなユニークなもの。いいです。
そして、真骨長は、第2楽章のほんとうに自愛にあふれたような歌、そして、また歌。
明るくのんびりした農民の集いから、一転、ロスフィルの輝かしい威力が炸裂する嵐の場面。厳しい表現であります!
でも来ますよ、心底から感じる祈りに満ちた平和な光景。
本当に、心から、あぁ~・・・・、いいなぁ~、これだよ~、となります。
最後の場面など、シュナイト、ワルター、ベームの演奏と並んで、感涙ものであります。
唯一の贅沢すぎる難点は、立派すぎるというところで、そうそうに気安く聴けない側面もあるんです。

ジュリーニが指揮棒を握りしめて長い手で、緩やかに指揮をしている姿が思い浮かびます。歌心にあふれた素晴らしい「田園」でした。

前にも書きましたが、ジュリーニとロスフィルの来日公演は聴き逃しましたが、その前のウィーン響とのものを聴くことができました。
ウェーベルン「パッサカリア」、モーツァルト40番、ブラームス1番という魅惑のプログラムで、なかでもブラームスは終生忘れえぬ深い感銘を受けました。
アンコールには「青きドナウ」。ジュリーニのウィンナ・ワルツでしたよ。

Nakai

みかん、甘くなって熟成中

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コメント

ジュリーニは、フィルハーモニアからスカラ座までのどの時期もそれぞれ味があって良いと思いますが、このロスフィル時代が力強さと歌のバランスが一番良いと気に入っています。ブラームスの2番や、シューマンの3番が特に好きです。

投稿: | 2012年11月16日 (金) 06時26分

ジュリーニの田園、まだ聴いていません。さまよえる様のご紹介の演奏は努めて聴くようにしております。不真面目なクラシック愛好家の私には最適の指南書となっています。ジュリーニはパリの旅行中に聴くチャンスがあったのですが、突然の訃報に接し、別の指揮者による演奏となりました。曲目はブルックナーの7番。ショックでした。一言説明の後にジュリーニへの黙祷を指揮者とパリ管のメンバーが始めたところ、ブーイングされていました。「俺たちは黙祷じゃなくコンサートに来たんだ」という意味合いです。日本ではありえない光景に私たち夫婦はすっかり戸惑ってしまいました^^;
田園!今度聴いてみます。いつもトスカニーニのSPレコードで聴いているので、たまにはステレオのLPレコードで聴きます。

投稿: モナコ命 | 2012年11月16日 (金) 10時59分

読み人知らずさま、そうですね、ジュリーニは、フィルハーモニア時代もいいですね。EMI からちゃんと復刻して欲しい音源がたくさんあります。
そして、ロスとの、ブラ2、シューマン、加えてファルスタッフが最高でした。

投稿: yokochan | 2012年11月16日 (金) 19時29分

モナコ命さま、こんばんは。
悪の指南書となりませぬよう精進いたします。
ジュリーニの、パリでの逸話、以前もお聞かせいただきましたが、とても残念でしたね。そして、それより、パリの聴衆のハッキリした態度、我々日本人には、理解の及ばぬ出来事です。
SPでの、田園は、想像するだけで、のんびり、ゆったりします。
トスカニ―ニは、ベートーヴェンは、全曲聴いてますが、田園は、印象薄でした。
こんど、確認しなくては。

投稿: yokochan | 2012年11月16日 (金) 19時40分

その演奏会って、1975年10月の東京文化会館の演奏会ですよね。
私はその後の普門館でジュピター聴きました。
演奏は悪くなかったですが、会場が広すぎて、ブラ1聴いた人がうらやましかったです。
いや~、懐かしいですね。

投稿: コバブー | 2012年11月16日 (金) 22時24分

コバブーさん、こんばんは!
そうです、75年秋の文化会館。
大阪フェスティバルと連動していたように記憶します。
あの頃は一時、普門館が来日公演でよくつかわれてまして、今思うとイカン時期でしたね。
ともかくブラ1の決然とした素晴らしさと、ジュリーニの多面性をいま思えば感じた演奏会でした。
マーラーの1番や、ワルベルクのウィンナワルツもこの年のウィーン響の演目でしたねぇ!

投稿: yokochan | 2012年11月17日 (土) 00時21分

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