ディーリアス 「ブリッグの定期市」 ビーチャム指揮
群馬の榛名山再び。
1週間前だから、いまはもっと鮮やかに染まっていることでしょう。
榛名湖の水面(みなも)すれすれまで降りれたので、たっぷりとした湖の雰囲気が撮れました。
こちらは、湖まで降りる前。
この道路は、路面に細工が施してありまして、ここを通過すると道路が歌うんです。
「静かな湖畔の森の影から~」と聞こえるんですよ。
渋滞したらアウトですが、これは嬉しいですよ。
高速道路でも、カーブや、単調な場所に、ドライバーに刺激を与えるために、音のでる舗装をしてますね。
ディーリアス
1.「夜明け前の歌」
2.「ノルウェーの7つの歌」~「帰郷」、「夕べの声」
3.「ハッサン」 間奏とセレナーデ
4.「ダンス・ラプソディ」第1番
5.「ダンス・ラプソディ」第2番
6.イングリッシュ・ラプソディ「ブリッグ・フェア」(ブリッグの定期市)
7.「春初めてのかっこうを聞いて」
8.「川の上の夏の夜」
9.「デンマークの2つの歌」~「秋」、「すみれ」
10.「イルメリン」 前奏曲
S:エルシー・サダヴィ A:マージョリー・トマス
サー・トーマス・ビーチャム指揮 ロイヤル・フィルハモニー管弦楽団
(1946~52 ロンドン)
ディーリアス(1862~1934)とビーチャム(1879~1961)。
ディーリアスの音楽がいまあるのは、ひとえに、指揮者ビーチャムと献身的な弟子、エリック・フェンビー(1906~97)のおかげ。
フェンビーは晩年のディーリアスの音楽的な手となり足となって、全霊を込めて師を支えた。自身が補筆、編曲したものも少なくなく、指揮者・ピアニストとしても、数々の音源を残しております。
そして、ディーリアスの音楽そのものを、英国楽壇に、世界に知らしめ広めたのは、ビーチャムをおいてほかにないでしょう。
バルビローリ(1899~1970)もまた、そのひとりと強く思いますが、作曲者に会い、おおいなる影響と、その人物そのものに傾倒したという点で、ビーチャムにまさる指揮者はいないのでしょう。
EMIへのステレオ初期録音が、あまりにも有名で、かつ素晴らしいのですが、今日はそれらより10年前の、同じ手兵ロイヤル・フィル(RPO)を指揮したモノラル録音を聴いてます。
いずれも、ディーリアスの幽玄なる音楽を世に広めようという意識が先立つ演奏、というよりは、一音一音、自分がともかく好きなんです、ともいわんばかりの愛情たっぷりの演奏ぶりで、その暖かな共感ぶりに感じ入ってしまうピュアな演奏です。
モノラルの音は、ディーリアスに不思議とマッチするものですが、ここでも雰囲気たっぷりで、へたな最新デジタル録音よりは、音楽性が極めて豊かに感じます。
いま、こんなふうに慈しみと大いなる共感をもってディーリアスを演奏する人はいなくなってしまった。
のちのステレオ録音でも、断トツに素晴らしかったのは「ブリッグの定期市」。
そもそも、わたくしがディーリアスが好きになったルーツのレコードがEMIのステレオ盤で、もう40年くらい前のこと。
過去記事→「望郷のディーリアス」
オーストラリアから来たグレンジャー(この人ナイスなのよ)が採取したイングランド東部の民謡をもとにしたラプソディーで、初夏をイメージした音楽ですが、こうして秋に聴いてもしんみりと、そこはかとなく、楚々と心に耳に染み入ってくる音楽です。
ダンス・ラプソディのふたつなど、ビーチャムとのちにフェンビーが得意にした音楽は、キビキビとした中に、シニカルさとユーモアもたたえた演奏に思いましたね。
うつろいゆく時間を、ただただディーリアスの音楽に、そしてモノラル録音の人肌のビーチャムの演奏で身をゆだねていると、今日も明日もなくなってしまって、昨日や懐かしい過去にいつのまにか囲まれている自分を見出すこととなります・・・・・。
音楽にもこんな側面があっていいのだと思います。
きまって、ゆったりと眠れますし、また次の日の活力にもなりますからね。
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コメント
どうもご無沙汰しております、群馬へようこそ!
素敵なお写真ですね、そろそろこちらは紅葉も見頃になってきました(^^
ところで、ディーリアスの春初めてのかっこうを聞いては、身を任せていると風景が見えてくるようで好きな曲です。持ってるのはバルビローリです。
投稿: stonez | 2012年11月 3日 (土) 14時13分
stonezさん、こんばんは。
どうもこちらこそご無沙汰してしまって。
藤岡に親類がおりまして、法事を兼ねてうかがいました。
この一週間で、かなり冷え込んできましたね。
紅葉真っ盛りかと想像してまして、いまでも飛んでいきたいです。
こうした自然の中で、ディーリアスを聴けたら、ホント最高だと思います。
バルビローリのディーリアスは、わたしも愛聴してますよ。
熱いくらいに音楽にのめり込んでます。
投稿: yokochan | 2012年11月 3日 (土) 20時52分