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2012年12月16日 (日)

神奈川フィルハーモニー第9演奏会 金聖響指揮

Odawara_castle

小田原城。

雨だし、ライトアップもなかったので、実は、少し前の画像です。

本日は、神奈川フィルハーモニーの年末第9、小田原公演でした。

行ってきましたよ、小田原。

というか、帰ったという感じ。

Kanaphill_sym9_2012

   ベートーヴェン 交響曲第9番 ニ短調

       S:高橋 薫子    Ms:鳥木 弥生
       T:中鉢  聡     Br:堀内 康雄

    金 聖響指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
              神奈川フィルハーモニー合唱団
              合唱音楽監督:近藤 政伸
              合唱音楽監督代行:大久保 光哉

                 (2012.12.15 小田原市民会館)


少し出遅れてしまい、小田原に着いて、ビールを飲んで食事して、あわてて市民会館に。
あいにくの雨ですが、少し変わってしまった城下町の風情は悪くない。

楽員さんたちは、併設の会館が控室。
歩いて数歩のホールは、猫の額のようなロビー。
トイレに行って、お勝手応援なかまのスリーパーさんとご挨拶して、即ホール。

何十年ぶりで見るホール。
よく見たら、NHKホールをミニチュアにしたみたい。
本拠地と同じく、拍手に迎えられて楽員の皆さん入場。

ほどなく始まった第1楽章。
慎重な手さぐり的な出だしは、この曲の実演特有ですが、とりわけ感じるこの日。
やはり、デッドな、そしてコンパクトな響きは、いわゆる市民会館ならでは。

でもさすがは神奈川フィル。すぐに、音楽は立ち上がり、第9の1楽章ならではの緊迫感を立ち上げておりました。
テンポはゆったりめ。
大きな歩みを根ざしているような演奏の雰囲気。

うむ。
これまで、このコンビの第9は、最初の2009、2010と聴き、2011は聴かず今年。
全部が全部違うじゃないか。
無味乾燥、疾走しながら失速するという味気ない2009。
少しばかり、オケの個性が垣間見えてきた2010。
1年のブランクを置いて今年。

テンポにおいては、これまでで一番緩やか。
もちろん、それは普通という意味で。

いつにも増して石田コンマスのリードする神奈川フィルの美点は随所に際立ちました。
2楽章スケルツォでは、各セクションのソロが冴えまくり、オーボエ氏、ホルン氏・ホルン女子、ティンパニ氏の活躍が目立ちました。

わたしの近時好きな第3楽章では、神奈川フィルの弦の魅力が全開になるかと思ったら、以外にかつての乾燥ぎみの音に聴こえてしまったのはホールのせいでしょうか。
それとも・・・・・、(あとで書きます~汗)

そして、終楽章。
結構、まともにオーソドックスに進みます。
チェロとコンバスによる、最初の歓喜の歌は、驚くほど音を抑えて演奏しました。
そこから楽器を増して、クレッシェンドしてゆくさまの効果を劇的に狙ったのでしょうか。
しかし、わたくしは・・・・・汗
堀内さんは、ワーグナーでもおなじみのバリトン。
すばらしくはりとコクのある第一声をとどろかせてました。
ソロと合唱が入ると、やはりホールは鳴り始めます。
圧巻でした。そして、刈り込んだ合唱の数もほど良かったです。
ソロでは、あと私の好きな高橋さん。リリコとしてオペラに欠かせない存在となりました。

後半は、大見さんのピッコロ、最後まで大活躍。
しかし、わたしは・・・・・。
で、いよいよの大団円は、これまで、じっくりとした第9を創出してきた聖響が、猛然たるアッチェランドとトランペットの強奏、強音の鮮やかなエンディング。
さすがのツライわたしも、びっくりこいた。
終ったら、市民会館の観客も拍手できず、しばしの間が、なんと第9で起きてしまった。

聖響さん、くねくねから転じて、最後はバシバシ音を切るような指揮ぶりでしたな。

あんまり驚かさないでよ。

漏らしちゃうじゃないか!

え?

ということで、遅いお昼に飲んだビールと、お茶が完全に災いして、2楽章の終わりごろから、もよおしてきてしまったワタクシなんです。
やばいなぁ、と思いつつ、そのやばいは、よりによってゆったりとした3楽章で、マズイになり、終楽章は、なんだよ、もっと早くやってよ、よりによって、いつもの聖響と違うじゃねーか、とか、心の中でブツクサいいながら何とか最後まで耐え抜いたのでございます。

石田コンマスの終わりの相図と挨拶に、大いなる拍手をお送りして、即時、席をたち、あわてて駆け込むわたくし。
出たら、楽団専務理事が、ありがとうございました・・・とご丁寧にご挨拶いただきましたが、こちとらそろでころじゃありませんで、すんません。
はぁ。。。。。

ということで、気が気じゃない第9になっちまいました。

あと、びっくりしたのは、合唱指揮者の登場。
近藤さんのお休みを守る監督代行さんですが、カーテンコールで出てきたときは驚き。
うしろの席の方が、「あれ、ダレ?」と思わず言ってました。
やたらとポップないでたちの方でした。
でも、二期会会員、北欧系に強い、本格歌手の方のようです。失礼しました。

オケとソロ、合唱には大拍手ですよ。
今日のわたしはともかく、どんなシチュエーションでも、いつもの神奈川フィルの音色を聴かせてくれます。
今年1年、本当に楽しませていただきました。感謝します!


Odawara_st_2

城下町、小田原は、わたくしが高校時代を過ごした街。

その駅も、いまのように高架化されてなくて、地下通路を通って東西に分かれてました。

もともと男子校だった城山にある学校。わたしの当時では、女子も入学しはじめて、男子のみのクラスと女子がいるクラスが混在したりもしましたが、いまでは市内の有名女子高と合併してしまい、完全共学に。

市内に2か所あった、わたしのレコード購入場所。
いずれもなくなってしまった。
とりわけ、本通にあった「名曲堂」はどうしただろう。
ベームやアバド、ビートルズのレコードは、みんなそこで買いました。

でも、変わらずに、でもレトロ感とともにあるのが、「小田原市民会館」です。
小田原では、あらたな総合劇場の計画もあり、懐かしい市民会館がいかなることとなるか、気になるところです。
相当の歴史がありますから、構造的にも不安のあるところですが、ミニNHKホール的な造りは、いつまでも記憶にとどめておきたいものです。

高校時代は、高校のオケの楽員としてこの舞台にものりました。
譜面をバラバラと巻物のように落とす失態をおかしたこともありますし、小田原フィルのエキストラで打楽器を担当し、途中見失って感だけで叩くという不遜なことも、このホールでやりました。
そんな市民会館で、神奈川フィルを聴けるということは感慨無量でした。

Odawara_1

すっきりしたあとは、地魚で一杯。

スリーパーさんと、地元ミニ忘年会でした。

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コメント

小田原に行けず残念でした。聴きたかった、そしてなにより忘年会。
毎年違う聖響さんの第9、その表情も興味津々でしたが、レポートを読んで聴いた気になります。
代わりに一人寂しくヘッドホンで聴いたガーディナーのCDは個人的には不発でした。

投稿: yurikamome122 | 2012年12月16日 (日) 04時28分

yurikamomeさん、こんにちは。
行ってまいりました。
今年の聖響第9は、また違いました。
少し予想はしていた姿ですが、違うホールで、体調万全で聴くとまた違うかもしれません。
ガーディナーの全集は全部を聴いたことがありませんが、あの指揮者もわが音楽監督と同じく不思議系ですね。

地のお魚は、とても美味しゅうございました。
うらやましがらせてしまい、あいすいません。

投稿: yokochan | 2012年12月16日 (日) 13時21分

年末のお約束の第9、こちらはアマチュア・オケで毎年やってます。プロのオーケストラによる第9を、年末にりゅーとぴあで聴きたい!
やる方々の熱意は認めつつ、東京のアマチュアと比べると、どうもねぇ・・・(この「・・・」の意味、分かりますよね)。そういう訳ですから、年末に第9を聴く機会、習慣はこの年にして全くなし。仕事が仕事だし。ところで、金さん、マーラーを振ってから変わったみたいですね。講談社新書で毎回買ってますが、微妙に音楽観が変化してきてるみたいで、それが今回の演奏にも反映されているのかなぁ。響きが少ないホールでは総じてテンポが速めになりますから、みなとみらいでは、また違った結果となるのでしょう。
ちなみに、所沢で聴いたダン君のは、CDのオーチャードよりゆったり目でした。ホールと演奏の関係も侮れないと思った次第です。

投稿: IANIS | 2012年12月16日 (日) 19時36分

どうも、当日はお世話になりました。
急遽、参加いたしました応援する会西部担当(笑)
のスリーパーです。

いやぁ、しかし本当にミニNHKホールですよね。
小田原市民会館って。
そして、ある意味で予想通りにガツンッとやられた、
そんな演奏会でしたね。
・・・ガツンッ?・・・ガツンなのか?(笑)
でも、たまに神奈川西部で演ってもらえると
西湘方面住民はたすかります。

そして、2人だけの忘年会ではお付き合いいただき、
ありがとうございます。愉しい時間を過せました。

さて、今度は元々の予定通りの県民ホール。
今回の演奏が偶々の1回なのか今年の方向性か
生意気ながら、確認してきたいと思います。

投稿: スリーパー | 2012年12月16日 (日) 22時29分

IANISさん、こんばんは。
でも、昨今のアマチュアオケの技量はすごいものがありますね。
確かに、東京には星の数ほど有力アマオケがあって、週末には数多くの演奏会もありますから。

わたしも第9を年末に聴く習慣はまったくなくって、神奈川フィルゆえに聴いてるところがあります。
それ以外のオケなら聴かないでしょうね。

しかし、いまある指揮者がどうも。
変貌ぶりの一端を是非、次回のマーラーでご確認ください。
そして、ホールとの関係性は大きいですね。

投稿: yokochan | 2012年12月17日 (月) 01時07分

スリーパーさん、こんばんは。
土曜日はこちらこそ、お世話になりました。

西湘地区応援団でしたね。
NHKホール似のあのホールが最後はとてつもなく鳴ってました。
そしてそう、大爆発に、わたくしの失禁。。。。
完全にネタになってしまいました。
おいしい魚をネタに話した数々の笑い話と計画、実現するとマジでよいですねぇ(笑)

県民ホールでの本番の様子、また聴かせてください。
変化があるんでしょうかね。

投稿: yokochan | 2012年12月17日 (月) 01時15分

今週末、関東出張なので県民ホールのチケット買ってます。
思ったよりは良さそうですね。
私も2009,2010と聴いて2011は聴かずの今年なので、どう違うのかを楽しみにしています。

投稿: syllable | 2012年12月17日 (月) 20時35分

syllableさん、こんばんは。
県民ホール行かれるのですね。
売れ行きよろしく、そちらのチケットは入手できないままでした。
自分の不徳から、そわそわ聴きでしたが、これまでで一番遅かったです。
そして・・・中身は是非耳でご確認ください。
さすがは神奈川フィルですから。

投稿: yokochan | 2012年12月17日 (月) 22時21分

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