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2013年1月23日 (水)

新ウィーン楽派による「J・シュトラウス」

Akabane1

ちょっと華やか、でもこの駅前を発し、ちょっと行くと、そこそこの場末感としみじみとした庶民感覚がしっかりと味わえる、ここは北区赤羽。

最近、お気に入りの街です。

広くはないけど、ぜんぶあり、ぜんぶ心地よく人懐こい。

Akabane2

よく見れば、AKABANE、軽くうかがえばAKB。

ナイスじゃございませぬか。

今日は、シェーンベルクを中心とする新ウィーン楽派の面々による、ウィーンの彼らのちょっと前のトレンド、先達のJ・シュトラウスのワルツの編曲バージョン作品を。

神奈川フィルの定期公演の演目のお勉強の流れで。

  ニコライ  「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲

  ハイドン   トランペット協奏曲

           Tr:三澤 徹

  ブラームス=シェーンベルク編 ピアノ四重奏曲第1番

    下野 竜也 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

 2013年1月25日 (金) 19:00 みなとみらいホール

Strauss_schoenberg

  J・シュトラウス 「皇帝円舞曲」 シェーンベルク編曲

            「南国のばら」  シェーンベルク編曲

            「酒、女、歌」   アルバン・ベルク編曲

            「宝石のワルツ」 ウェーベルン編曲

      ボストン交響楽団 室内アンサンブル

                      (1978 ボストン)


あまりに有名な喜遊感たっぷりのウィンナ・ワルツの名曲の数々は、わたしたち日本人には、NHKが放送してくれるきらびやかな黄金のムジークフェラインでの映像とともに、甘く切ない休日音楽としてすりこまれ、認識されているかと思います。

そのワルツを、約40年ほど活躍期があとのウィーンの次ぎの世代がサロン風な親密な音楽にしたてあげたのがこれらの編曲バージョン。

シェーンベルクはアマチュアから発し、ツェムリンスキーの強力な後押しを経て、「浄夜」や「グレの歌」で成功を勝ち得たものの、ウィーンではなにかとユダヤの出自が足を引っ張るものとなった。
真正ユダヤ教も隠し、プロテスタントしてふるまいつつも、かくなる不遇。

一方で、ベルリンではキャバレー・ソングで小金を稼ぐこともしたが、でもやがてRシュトラウスに認められたりして、音楽界の中央に出るようになり、私的な音楽レッスンで知り合ったウェーベルンとベルクとは完全に意気投合し師弟の間柄となる。
1904年のことだが、彼らの連動作業は、1920年代、J・シュトラウスのワルツの室内楽化で三者三様の成果をもたらすこととなりました。

さらにそれぞれ、弟子は先生の作品を、先生はバッハやブラームスといった偉大なドイツの先達を、ウェーベルンはさらにバッハを極め、ベルクは同時代のシュレーカーを、といった具合に各自が驚きの編曲の成果を出しているところが、この新ウィーン楽派の類い稀な存在であります。

上記のように、この音盤に収められたそれぞれは、J・シュトラウスの原曲が1880~90年代ということで、彼らの編曲バージョンとは30~40年ほど経た頃あいのもの。
第一次大戦後、次の戦争前のある意味怪しい爛熟期にあり、マーラー後、シェーンベルクと一派たちは無調から12音へと変転の頃。
日本は、大正時代の上向き文化吸収時代でありました。

3人の個性は、さほど明確ではありませんが、ピアノやアルモニウム、打楽器の多用が目立ち、妙に不安感をつのるのがシェーンベルク編。
優しくマイルドで、原作に響きが忠実、かつロマンティックなベルク版。
室内楽的で精緻な細やかさを持ち繊細かつ透明感あふれるウェーベルン。

当時のコンマス。シルヴァーシュタインが中心のベラボーにうまいボストン響のアンサンブルのこの演奏は、まったく素晴らしくって、味わいと機能性とにかけてません。
DGの名作のひとつです。

あとアルバン・ベルクSQがこれらに自在な演奏を残してますが、それはまた別の機会に。

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コメント

懐かしい音盤を紹介されていて筆をとりました。レコードを手放し再びCDで買い求めました。何をしているのでしょうね。ちょうど小澤征爾がボストンの音楽監督になりDGに録音し始めた時期の音盤ですね。フルオーケストラのシュトラウスもいいですが、こういう小編成のアンサンブルも素敵なことに気づかされた音盤でした。シュランメルにはまるきっかけをつくってくれた1枚でもありました。私の日本版CDでは77年4月録音となっていました。LPでもありましたが、このボストンシンフォニーのドビュッシーの室内ソナタ集もいいですよ。牧神の午後への前奏曲の室内版も聴けますよ。

投稿: ornellaia | 2013年1月25日 (金) 12時50分

ornellaiaさん、こんにちは。
実は、わたしも懐かしい1枚でして、DGがボストン響の録音を始めたアバドのときから、DGのボストン系はずっと聴いてきたその1枚です。
CDでは、その素敵なジャケットが斜め半分になってしまい残念ですが、音は素晴らしさを増しておりました。

小編成のJシュトラウスは、その後、ウィーンフィルの面々のもので実演も含め何度も聴きまして、心から楽しみました。
最近この手は聴いてなかったのですが、神奈川フィルのコンサートを契機に、この懐かしの1枚をはじめ数々聴いておりました。

ドビュッシーもありましたね。
そちらは聴いたことがありませんので、ショップで探してみようと思います。
どうもありがとうございました。

投稿: yokochan | 2013年1月26日 (土) 22時14分

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