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2013年6月 5日 (水)

ブリテン 弦楽四重奏曲第2番 ブリテン四重奏団

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雨でしっとり、というわけにはいかない。今年の紫陽花。

今日も暑かった。

パステル調の色の変化も美しい紫陽花です。

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 ブリテン 弦楽四重奏曲第2番 ハ長調

    ザ・ブリテン・カルテット

          (1989.10 @スネイプ、モールティングス)


生誕100年のベンジャミン・ブリテン(1913~1976)ですが、ワーグナー、ヴェルディらの巨星にくらべると同じアニヴァーサリーでもちょっと地味。
小さなものしか、シンフォニーを残さなかったこと、青少年があまりに有名すぎること、そしてその主力が16のオペラ作品や声楽作品にあること、などが日本などではブレイクしにくいところなのでしょうか。

弊ブログでは、英国音楽の一環としてもブリテンを積極的に聴いておりますが、オペラ好きとして外せない作曲家としてのブリテンにも注力しております。
あと5つになったブリテンのオペラシリーズは、今年なんとか完結したいと思っておりますが、もう半分も1年が過ぎてしまった。
まだ10作も残ってるヴェルディ制覇とともに、ちょっと焦ってきた。

一方で、ブリテンにはまだまだ未聴の作品が多数。
今日は、室内楽の分野から弦楽四重奏曲第2番を。

ブリテンは、番号付きの弦楽四重奏曲を3つ、そして、未公表の18歳のときの習作四重奏がひとつ、さらにまだ12歳のころの四重奏のための6つの未公表小品があります。

第1番は、ブリテンのアメリカ在住時代1941年の作。
その後の2番は、1945年。
さらに間が空いて1975年、死の前年に3番ということになります。

今日はまず中間の2番を。

パートナーのピアーズが声楽家として、ヘンリー・パーセルに取り組んでおり、その結実は、「青少年のための音楽入門(パーセルの主題による変奏曲とフーガ)」(1945)なのでありますが、もうひとつブリテンは、パーセルにちなんでこの弦楽四重奏曲を書きました。
1945年は、パーセル没後450年にあたっていたことも、そうしたきっかけです。

3つの楽章からなる30分ぐらいの曲ですが、その半分以上を占める終楽章がパーセルを讃える部分です。
原曲は、パーセルの「シャコンヌ」。
この美しく静謐な曲を、ブリテンは別途1965年に、弦楽四重奏バージョンに編曲してます。
その20年前のこちらの四重奏曲では、形のうえではシャコンヌもしくは、パッサカリアで書かれておりまして、低音部に、ずっとパーセルのシャコンヌのモティーフが何度も姿を変えつつ現れております。
少し、とっつきは悪いかもしれませぬが、ブリテンらしいクールで、かつ熱い情熱も秘めたなかなかの傑作だと思います。
聴いていくうちに、4つの楽器の絡み合いがひとつひとつほぐれて、それぞれの楽器が奏でる断片のようなフレーズがつながってゆくのがわかるような気がしてきました。
この楽章のエンディングは、実にカッコいい!

不思議に暖かく、歌謡性もある1楽章に、急速ヴィヴァーチェの第2楽章も、いかにもブリテンしております。

今度は、いっちゃってる感じの彼岸の3番を聴きましょう。

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6月5日、NHKの「おはよう日本」~首都圏で、「神奈川フィル」が取り上げられました。

ネットストリーミングでご覧になれますので、神奈川フィルの先日のヴェルディの演奏や、日頃の熱い活動や市民とのふれあいなどが描かれておりますので是非!

http://www.nhk.or.jp/shutoken/ohayo/report/20130605.html

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コメント

おはようございます。yokochan様の結びの言葉…“彼岸の三番”なる表現に、寧ろ三番を聴いてみたい気持ちに駆られました!

それにしても、三曲という少なさと、各々の創作時期の隔たりは、シェーンベルクやバルトークと同様に、この分野へのブリテン自身の慎重な態度と、それゆえ一作毎への、一方ならぬ集中力を、却って感じさせてしまいます。

ン~、“彼岸の三番”恥ずかしながら未聴ですので、かなり気になりました!

投稿: Booty☆KETSU oh! ダンス | 2013年6月 7日 (金) 06時56分

Booty☆KETSU oh! ダンスさん、こんにちは。
ブリテンは、特定の奏者を前提にして作品を残すことが多かったですが、四重奏のような団体系にはそうした関係も生まれなかったのでしょうね。
それとシンフォニストでなかったところが、ショスタコのようなあり方と違うところでしょうか。

ともあれ、2番はなかなかに聴きどころのある作品。
そして3番。いいですよ。近々公開予定(笑)

投稿: yokochan | 2013年6月 8日 (土) 13時11分

初めまして。グロリアーナで検索して来ました。私は30年来のブリテンファンです。新国のピーターグライムズは3回、パゴダの王子は2回観ました。明日の大野/都響の戦争レクイエムに続き、20日からは初めてオールドバラ音楽祭に行きます(会社を3日休みます)。ROHでグロリアーナ(初)を観てから、翌日にオールドバラに行き、海辺のピーターグライムズを観ます。ブリテン&ピアーズの墓参りもして来ようと思います。

投稿: Kinchan | 2013年6月18日 (火) 02時56分

Kinchan さん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
30年来のファンでらっしゃるとのこと、素晴らしい大先輩です!
わたしは、まだここ15年くらいでしょうか。
日本ではなかなか、同じ曲目しか味わえないですね。

数年前にマッケラスの「グロリアーナ」を入手し、いつか記事にと思ってますが、年内にはなんとか・・です。
その「グロリアーナ」を始めとする英国楽旅。
まして、オールドバラですもの、羨ましすぎて今夜は夢見そうです。

ブリテンの音楽の魅力は、なかなか言葉にしずらいですが、オペラは格別ですね。
是非また、英国での観劇のご感想などをお聞かせいただければ幸いです。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2013年6月18日 (火) 23時09分

屡々立ち寄らせて貰っております中古店に、ブリテンの弦楽四重奏曲全集のCDが、かなりの間動かず在ります。レーベルはEMIですが、肝心の演奏者が思い浮かばず、何とも間の抜けた話ですね。いくら何でもマニア的で、きちんと聴き通せるかな‥と言う懸念が在り、購入の決断が付きかねて居る為なのです。チリンギアンSQでしょうか?

投稿: 覆面吾郎 | 2020年10月10日 (土) 14時02分

ブリテンの四重奏曲は全集としては、実は持ってませんで、ばらばらで集めました。
よけいに3曲が時代が違うので印象がまちまちですので、ひとつの全集で聴いてみるのもいいかもしれませんね。

投稿: yokochan | 2020年10月12日 (月) 08時44分

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