ラフマニノフ 「美しき人、もう歌わないで」 プジャール
連日、蒸し暑く、曇り空と雨まじり。
鬱陶しい日が続きます。
こんな毎日だと、こちらの気分も下りどうし。
紫陽花のパステルも、どこか憂愁をしか感じさせません。
昨日は「悲愴」を聴いたけれど、今日も下がるテンションに鞭打つような哀愁曲を。
ラフマニノフ 6つのロマンス op4から 第4曲
「美しき人 もう歌わないで」
ソプラノ:アナ・プジャール
ピアノ:トーマス・ハンス
(1992.11@キュンツェルザウ)
ラフマニノフ(1873~1943)の歌曲は、だいたい、CD2枚分くらいあって、単品歌曲もそこそこあるが、20歳から40代半ばにかけて継続して書かれた「ロマンス」とよんだ歌曲集が7つあります。
そしてなにげに、このラフマニノフも微妙なアニヴァーサリー作曲家でして、生誕130年・没後70年なんですね。
チャイコフスキーのロマン主義の流れを汲むラフマニノフは、ロシアの憂愁をロマンティックに切々と歌い上げてやみません。
歌曲の分野でも同じこと。
交響管弦楽作品、オペラでは、宿命的な運命が時として立ちはだかる救いようもない暗さもありますが、数分のロマンスの諸曲には、そのような重苦しさはどちらかといえば少なめ。
もちろん、それこそ「運命」とか「お墓のそばに」なんていう救いようのない暗さに覆われたものもありますが・・・・。
名ピアニストでもあったラフマニノフは、これまた名バス歌手シャリアピンとも朋友関係にあったから、彼の伴奏でピアノを弾くことも多かった。
そんな経験も、歌曲の世界におけるピアノのあり方、歌手との兼ね合いなどを熟知させる方向に向かわせたのでありましょう。
若書きののものも素敵ですが、後年のものほど、そのほの暗いロマンティシズムが、ピアノ・歌声ともに渾然となって、ラフマニノフ好きなら酩酊感を催すほどの作品たちとなっております。
いずれ大系的に聴いて、また記事にしてみたいと思います。
今日のこの1曲は、20歳のときの作品。
プーシキンの詩に付けた曲で、その歌は歌わないで、悲しみと胸の痛みをわたしにもたらすのだから。。。、月夜のあの過ちを・・・・、な~んて感じで、連綿と歌うんですよ。
切ないったらありゃしない。
ピアノも切々としたもので、気持ちはどんどん内向きになってくる。
でも、これもまたラフマニノフ。大好きですよ。
スロヴァキア出身のソプラノ、プジャールさんは、とてもスッキリした歌声で、蠱惑的な部分を差し引きしたようなR・ポップにも通じる親しみやすさもありました。
オペラでの活動もさかんなようですが、その音源はあまりないところが残念なところ。
美人な、プジャールさんの画像を発見。
フレミングの歌は、ヴァイオリン・ソロ付き。
ちょっと濃厚すぎるし、言葉のキレがこの曲のイメージと違う。
ヴァイオリンもいらん。
けど、曲を知っていただきたいものですから。
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コメント
いやいや、さすがですね。ラフマニノフの歌曲とか。マイノリティーの高いところついてきます。私はゲッダが歌うLPを2枚?3枚?繰り返し聴いています。ワイセンベルグの伴奏もウレシイ演奏です。
それにしても!こちらのプジャール夫人の動画。さまよえる様はさすがにお目が高い。美人ちゃん^^うれしい、ウレシイね-!こういうご婦人にライブで歌っていただけたら、さぞかしドキドキしちゃうことでしょう。それに!なんです、このイケメンのバイオリン君。イケマセン。濃厚牛乳に練乳を入れたような演奏です。オジサンはこういう画像を見てると気が気でなく、プジャール夫人とバイオリン君が演奏会の前後にこー、、ね、こー、、ってドラマがあったりするのかなーとか、音楽以外のことに思いをはせてしまったりするんです。いかんいかん。。。
投稿: モナコ命 | 2013年6月20日 (木) 19時06分
モナコ命さん、こんばんは。
ゲッダ様のLPをお持ちとはさすがです。
ラフマニノフ歌曲は、テノールやバスで聴いても切々と聴けるものですからね。
ブジャール(プサール)、どうお読みしていいのかわかりませんが、ともかく美人でかつ美声でした。
ちなみに、動画は、ルネ・フレミングのものでして、美人じゃんのプジャール様ではあません(笑)。
フレミングの歌は、時に濃厚、時に歌詞不明、でもはまるととんでもなく没頭感のでるものですね。
彼女流のラフマニノフすぎますが、これはこれで、あれこれ想像たくましくして妄想させる歌唱ともいえましょう(笑)。
投稿: yokochan | 2013年6月20日 (木) 22時22分