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2013年6月30日 (日)

神奈川フィルハーモニー第291回定期演奏会 金聖響指揮

Markis_2

新しいものができると、すぐにそのてっぺんに行ってみたくなるワタクシ。

予想通りに、すてきな眺望でしたよ。

みなとみらい地区に新しくできた商業施設、「マークイズみなとみらい」。

その内容は経緯には、今日は触れずにおきましょう。

屋上には、庭園があって、ご覧のとおり、果樹も実ってます。

この日は、あらたにお客さんオンリーワンの種植えをするところも見ることができました。

ただでさえ、ぎりぎりの横浜入り。

汗だくになりながら、お隣のかつて知ったる、みなとみらいホールへ急行です。

地下で、クィーンズモールと駅とともにつながっているから安心・・・・。

といいながら、ものすごい人出に圧倒されましたよ。

Kanaphill201306


   リゲティ        「アトモスフェール」

   ドヴォルザーク   チェロ協奏曲

       チェロ:ミハル・カニュカ

   バルトーク      管弦楽のための協奏曲

      金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

           (2013.6.29  横浜みなとみらいホール)



日差しは暑いけれど、爽やかな風も吹き、好天に恵まれた土曜日。

白昼堂々とリゲティ。この曲をライブで聴くのは、もちろん今回が初。

やはりCDなどで聴くのと全然違って、ホールの空気までもが共鳴し合い、夢想するようにして聴いて、あっという間の9分間。
冒頭こそ若干の濁りを感じましたが、その後の弦のみのトーン・クラスターの展開から、いつもの神奈川フィルの透明感ある響きを、自分でも掴めたような感じ。
ピッコロによる耳をつんざく超高音域から、一転、コントラバスの轟音。
ここの激しい落差感がこの曲は好きなのですが、今回はじっくりとオケの皆さんを俯瞰しながら聴くことができたし、事前に、IANISさんの時系列解説にも目を通していたものだから、ちょっとズレながら巻き起こる音の出し入れや、微細な色合いの変化、絡むようでいて、まったく絡んでこない楽器どうしの微妙なズレなどをよく認識することができました。
そして、面白かったのはやはりピアノ内部(いやピアノは見えなかったけど、あったのかしら?)のブラシごしごし擦り。
平尾さんと清水さんのふたり掛かりのこの奏法、音もほどよく、そして刺激的でもございまして、ばっちりキマリ!
FBで写真なども拝見してたし、今宵のアフターコンサートで、楽員さんから、理想のブラシ集めとその作成のお話などもお聴きして、手持ちの音源なども確認してみたけれど、昨日の神奈川フィルのブラシ音が一番!ナイスでした。

チェロの演奏台搬入のため、模様替え。
指揮台のスコアも、台からはみ出るほどの巨大なものから、いつもの、いや少し小さめのサイズのものに差し替えられるのほ眺めて過ごします。

プラハ出身の、カニュカさん。背は高く大柄ですが、優しそうな笑顔と、そのブロンドの髪の毛が印象的。その髪のもふもふ感は、わたくしには、猫の頭を思い起こさせて、なでなでしたくなっちゃいました。ないもののヒガミでしょうかねぇ(笑)

それはそうと、爽快・壮大にスタートしたドヴォコン。
いつも思う、この曲のシンフォニックな佇まい。
そして、木管、ホルンの活躍と、弦楽器のお休みの多さ。
生で聴くと、そのへんが丸わかり。
オケだけを見ていても、ドヴォコンは楽しいのだ。

長い序奏を、ときおり振りかえってオケを聴いていたカニュカさん。
出だしは、ブリリアントに、ごく普通に登場。決してバリバリ系の奏者じゃないです。
あの柔和な雰囲気そのものが、そのチェロの音になって表れてます。
ですから、オーケストラと対峙することはまったくなくって、どこかオケの一員のような感じで、みんなと溶け合いながら誠実・着実に演奏しているように聴こえました。
ですから、この曲特有のしみじみ感が気持ちもよくって、聴いていて心に爽やかな風が吹きぬけてゆくような気持ちでしたよ。
最高の聴きものだったのは、抒情派ドヴォルザークらしい、情緒あふれる第2楽章。
中間部の哀愁列車ドヴォルザーク号には泣かされました。
情をそんなに込めずに、淡々とした中に、聴かせてくれるドヴォルザークのノスタルジー。
あっさりとした演奏の中にも、日本の田舎の夕景にもにた懐かしさと優しさを感じたものです。
この楽章では、あでやかな石田コンマスのソロとカニュカさんの手作り風ともとれるチェロとの掛け合いもまた美しく、聴きものでありました。

オケの皆さんも、出番以外は、ほのぼのと耳を傾けてらっしゃるのが見てとれました。
苦手意識もありましたが、ほーんと、いい曲ですね。
演奏終了後、大きな喝采とブラボーが巻き起こったのはいうまでもありません。
なんども、拍手に応えてにこやかにされていたカニュカさん。。

後半は、バルトーク。
オケコンと呼んで久しいこの曲。
実は、1970年代半ばで、思考停止ならぬ視聴停止状態でして、ブーレーズとニューヨークフィルのレコード、それと同じブーレーズとBBCの来日放送から終了中というていたらく。
CDもいくつか持ってますが、ほぼ印象なしの状況で、神奈川フィルのライブに挑むの図。

今日の聖響さんは、その指揮ぶりが横揺れがなく、縦にキレのいい様子がうかがえ、リゲティからバルトークまで、なかなかの集中力がうかがえました。
この人は、古典やロマン派よりは、こうした後期ロマンから近世の音楽の方が向いているようです。

しかし、バルトークのオケコンゆえに、いつもこだわる対抗配置ではないため、オーケストラは全般に、よく鳴っていて、それがきっと楽員さん相互の信頼感と自発性によって、まさに「オーケストラのための協奏曲」というべき、よく聴きとりあってのコンチェルト・グロッソ的な佇まいに仕上がっていたと思います。

苦手意識を持つ曲ですから、どこがどうということは申せませんが、ソロの活躍する各所に、神奈川フィルの新しいメンバーの息吹と、ベテラン奏者の安定感とのコラボレーションがあって、どこをとっても新鮮で清冽な響きに溢れていたと思います。
存続なった神奈川フィルですが、オーケストラは生き物です。
こうして変化と受容を繰り返しながら、進化し続けていくんだと思います。
客演ですが、4月に続いて鮮烈だったティンパニ氏、オーボエの新しい女性、新たに加わったファゴット君、おなじみのホルン女子、弦の各処にもちらほら。
 おなじみの奏者の皆様も、ますます存在感が高まって聴こえたオケコン。
オケコンは、それこそ、オケの状態をレントゲンで見るがごとく、その状態の今を浮き彫りにうしてしまうような曲だと思います。
 そんな意味では、細部の掘りの深さをいまひとつ求めたいところですが、このあたりは、一途な方向性を出しきれていなかった指揮者の責任にもあろうかと思われます。
でも、いまの神奈川フィルの自主的な一体感が、まざまざとわかったのがこの曲のこの演奏。

この曲の白眉ともいうべき、「悲歌」の第3楽章の痛切な響きは、このオーケストラならでは透明感とデリケートな響きが緊張感とともに味わえました。
そして最後の華麗なる大爆発で、ホールは驚きの大ブラボーにつつまれたのでした。

いやはや、いつも熱くなりながらも冷静に聴いてるわたくしもびっくりブラボーは、この日ごく至近から発せられました。
斜め前と斜め後ろから来るブラボーは、前後サラウンド効果のように、しかもお互いに刺激しあっちゃって、どんどん高まる様相。片方は、ガッツポーズだし、ひゅーーっとか声出しちゃうし。(もしかして、洋装の若旦那??)
そんな興奮もわからなくもない、キリリとした素敵なバルトークだったのではないでしょうか。

Yokohama_beer

終演後は、土曜日のお約束、横浜地麦酒「驛の食卓」へ。

出来立て地ビールと、神奈川の地場産の食材がメインの食事。

横浜ヴァイツェンと、サカタのタネが開発したミニトマト「アイコ」ちゃん。
トマトとビールって、夏ならではで合うんです。

お疲れのところ、楽員さんの方々にもお越しいただき、そしていつもお世話になってます、勝手に応援メンバーに、遠来の神奈フィルファンのIANISさんも交えて、大いに飲み食べたアフターコンサートは、今回もとても楽しい会となりました。

定期は、9月までお休みです。
音楽堂がお休みしますが、佐村河内コンサートを聴く予定です。
オケの皆さんも暑い夏、熱い音楽を発してください!

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コメント

いつも勝手にお邪魔してすみませんでした。
でも楽しいアフターでした。あの後、ちゃんとお帰りされましたでしょうか?
それはともかく、リゲティの生演奏、本当に綺麗に聴こえました。ドヴォコンは美しすぎて、魂が浮遊してしまいましたが、オケコンも期待以上。また何とかブッキングして神奈川行きます。皆様によろしくお伝えください。

投稿: IANIS | 2013年7月 1日 (月) 00時38分

IANISさん、どうも今回は遠征お疲れ様でした。
そして遅くまで、引っ張り回してしまって申しわけありませんでした。
私の方は、無事におうちに帰りつきまして、帰ってまた一杯ひっかけました。
IANISさんに、神奈フィルをこうしてお聴きいただき、さらにお誉めもいただき、わがことのように嬉しいです。
また是非とも、お越しください。
みんなで、お待ちしております!

投稿: yokochan | 2013年7月 1日 (月) 01時28分

こんばんは。
昨夜、夜叉ヶ池 聴いてきました。
6列目なので悪い席と思って行きますと、最前列真ん中でした。
とても素敵な舞台装置、演出。オケも上手でした。中劇場はピットの壁が低く、演奏会形式のように良く聞こえました。幸子の声も良く、文句をつけてはいけないのでしょうが、音楽そのものがつまりませんでした。

投稿: | 2013年7月 1日 (月) 21時33分

こんばんは。
夜叉が池は、ソールドアウトだったようですね。
中劇場は、しばらく行ってませんが、いつもいい印象があります。
席によるムラはありませんね。
どのような音楽だったのか、想像するしかありせんが、NHKあたりで放映してくれるとありがたいところです。

投稿: yokochan | 2013年7月 3日 (水) 00時12分

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