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2013年7月17日 (水)

ラター レクイエム クレオバリー指揮

Shibaura

芝浦運河の風景のひとつ。

この運河の上を添うようにして、モノレールが走っているし、オフィスビルや、マンションもたくさん林立している。

でも風の通り道みたいになっているので、暑い日でも涼しい風が吹き抜けて気持ちいい。

埋立地なことは、こうした風景からはよほど想像力をたくましくしないと感じられない。

わたしのお散歩コースのひとつ。

仕事に行き詰ったときや、外に出なかったときの夕方の散策に、このあたりや、足を延ばして竹芝桟橋やレインボーブリッジまで。

右手のクレーンは、田町の旧東京ガス研究所。区画整理に基づき大規模再開発中で、高層ビル2棟が立ち、病院や劇場も入るみたい。

田町の先、品川との間には、山手線の新駅と周辺大規模開発が進行中で、こちらは国際都市化するアリアといいます。

もういいよ。山手線の下半分ばかり、空間がどんどんなくなっていく・・・・。

Rutter_requiem_cleobury

  ジョン・ラター レクイエム

    ステファン・クレオバリー指揮 キングズ・カレッジ合唱団
                       シティ・オブ・ロンドンシンフォニア

                   (1997.7 @キングズ・カレッジ、ケンブリッジ)


ジョン・ラター(1945~)は、ロンドン生まれの合唱を中心とする作曲家・指揮者。

現代の作曲家であるにも関わらず、保守的かつ簡明な音楽を作曲し、クラシックのみならず、ポップス領域でも人気を博すラターさん。

ケンブリッジを卒業後、同大の音楽指導者となり、さらに卒業生を中心にケンブリッジ・シンガーズを結成して、自らの曲を広めるなどして、イギリスの合唱音楽界には欠かせない人。

1885年に作曲された「レクイエム」がもっとも有名な作品でしょう。

この曲、時代錯誤と言われるかもしれないけれど、ともかく美しい。

ディエス・イレを持たない、フォーレやデュルフレ、ロパルツなどと並ぶ、心優しい滋味あふれる癒しのレクイエム。
これまでの、フランス系統とは違って、イングランドから登場した静かなレクイエム。
 合唱の神様みたいなラターは、フォーレのレクイエムを心棒し、作者の思いをもとにした、よりオーケストラを小さくした編曲を行っている。
この自身のレクイエムも、オーケストラは伴ってはいるものの、規模はずっと小さく金管も少なめ。当然に、フォルテの部分は極めて少ないです。
そして、当然に少年合唱と男性合唱ですから、無垢でピュアな響きが清冽です。

作者自身の解説によれば、7つの部分は、アーチ状に構成され、最初と最後は、父なる神への祈りで、レクイエムとルクスエテルナのミサ典礼文から。
第2と第6曲は、詩篇130と23の英訳。
第3と第5曲は、これもミサ典礼文からで、ピエ・イエズスとアニュス・デイ。
イエスそのひとへの祈り。
そして、中心に位置するのが、サンクトゥス。アーチの礎のように、そして鏡のような存在。

ともかく、合唱の各声部の用いられ方の巧みさ、その響かせ方の美しさ。
聖堂の中でこそ活きる、声の多層的な重なり合いが、どこまでも透明感を持って、時に甘味なまでに聴き手に迫ってくる。
癒しであるとともに、耳と心の救済の快楽でもある。
日頃の殺伐とした虚しい毎日、夜ほっと一息、優しく微笑んでくるような音楽。

戦後ウィルコックス、レッジャー、クレオバリーと続いた名門キングズ・カレッジ・コーラスをラターも大いに評価していて、ライナーノーツでは、この演奏を自身絶賛しております。

現代の音楽じゃない、時代錯誤だなどと、おっしゃらずに、是非、無心に耳を傾けて欲しい美しい曲です。

Kings_colledge_2


   

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コメント

お晩です。
イギリス音楽に興味があって、フォーレやデュリフレのレクイエムのような音楽が好きになる人で、なおかつ英製ポップスが好きだったら、当然視界に入ってくるだろう音楽がラターですよね?
僕の場合、ヘンデルのある曲をカタログ入れるために購入したSIGNUMのCDがきっかけで、レクイエムはナクソスのものを3年前にナクソスで購入しました。ティモシー・ブラウン指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジ聖歌隊とシティ・オヴ・ロンドン・シンフォニアの演奏です。落ち着いて奥床しい演奏と聴きました。
でも、ラターはレクイエムのような“フォーマル”なものより、アンセムの5、6分の音楽の方にもっと旋律と響きに優しさが感じられて、心魅かれるものがあります。

投稿: IANIS | 2013年7月18日 (木) 21時37分

IANISさん、こんばんは。
英国音楽・仏レクイエム・和ポップス。
見事にハマるタイプのわたしでした。
たしか、以前にも、この曲の良さをそんな風に、しかもかなり酔っ払って聴いた覚えがあります(笑)

今回、HMVのサイトを見たら、結構出てるんですね。
T・ブラウンの演奏もかなり評判がいいようですが、むしろご指摘のレクイエム以外の余白の方に目がむきつつあります。
余談ながら、P・マッカートニーのクラシカルにチャレンジしようかとも思ってます。

投稿: yokochan | 2013年7月19日 (金) 00時51分

記事を読んで、絶対良さそうだったので、通販で入手しました、クレオバリーによるラター。予測どおりの美しさで、感激、ありがとうございました。

投稿: faurebrahms | 2013年8月 3日 (土) 14時54分

faurebrahmsさん、こんばんは。

お聴きになられましたか!
こちらこそ、ありがとうございます。
ご案内倒れにならなくてよかったです。

フォーレのように、どんなときでも美しく聴けます。

投稿: yokochan | 2013年8月 3日 (土) 23時07分

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