エルガー 「南国にて」 マリナー指揮
房総の海辺に咲く、海洋植
スカシユリでした。
花の部分は、その毒々しさそのままに、丘のユリと同じくする姿ですが、こちらの葉は、ごらんのとおり、ワイルドなとげとげしさを持ってまして、浜近くの砂上にも耐えうるようなたくましさを感じました。
千葉のこのあたりでは、絶滅が危ぶまれている種ですが、わたしが見たここでは、廃墟があったり、道が変に封鎖されていたりで、この種のものに、あまり予算が配慮されていない様相でした。
でも、訪れる人が少ないので、またその自然の在り方がおのずと再現されつつあるようにも感じました。
なんともいえませんね。
エルガー コンサート序曲「南国にて」
サー・ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
(1990.11@ヘンリー・ウッド・ホール、ロンドン)
1903年にエルガーが訪れた南フランスから、イタリアにかけての地、アラッシオ。
ここは、フランスとの国境も近い、サヴォーナ県に属する広域では地中海、リグリア海に面する美しい街。
かねての昔より、イタリアは、そこを訪れる芸術家たちを魅了し、北からやってきた作曲家にも、陽光あふれる、のびのびとした作品を書かせる地でありました。
英国紳士、エルガーもその例外でなく、解放的で、響きが豊かな明るい作品を書くことになりました。
20分の交響詩的な序曲ですが、全編大きく捉えると、急緩急の大枠に分けられますが、前後の華やかともとれる、ダイナミックで鮮やかなオーケストレーションの妙は、エルガーの有名曲からはあまり感じ取ることができませんが、その交響曲や大規模な声楽曲などを聴き進めていくと、オペラこそ書かなかったものの、エルガーの劇的な音楽の素晴らしさがわかると思います。
そして、この曲のなによりも素敵なところは、中間部で、全体が優しいピアノに落ち着いたところで、ヴィオラソロが、甘く美しく、奏でるセレナードのメロディ。
ホルン、そして弦が後を引き継ぎ、ハープの伴奏も夢のようです。
そのあと、再度、華麗で、眩しい日差しが戻ってきて、高貴なるエルガー・テイストもしっかり維持しながら、音楽は終ります。
おそろく、こんな風光明媚な景色も眼にしたのでしょう、エルガーさん。
その音楽も、この景色も素敵にすぎます!
かつて2度聴いた大友さんのコンサートは、とても素晴らしいものでした。
そして、音源でも、いまは交響曲の余白に入ったりしているので、結構持ってます。
そんな中で、ノーブルで過剰な演出も少なめのマリナー盤が好き。
きっと、リゾートの典型のような街かもしれないけれど、行ってみたいなアラッシオ。
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