モーツァルト ピアノ協奏曲第17番 ピリス&アバド

黄花コスモス。
こちらは暑いさなかから咲きますね。
緑とオレンジ系の色合いは、とても美しく暖かい取り合わせです。
思えばまさに、東海道線の色合いじゃありませんか。
この型式の電車には、ほんとうにお世話になりました。
子供の頃の、近くの大きな街のデパートへの買い物と、そちらの大食堂でのお子様ランチを楽しみに。
東京の親戚のお家へ行く、都会へ連れていってくれる夢の電車。
当時は、まだ床が木で、油の匂いもしました。
高校時代は、西方面への相模湾を見ながらの通学に。
大学時代は、日々の上浜と上京に。
そして川崎時代の大洋ホエールズカラーだったことを忘れちゃいけません。
いまのスマートな、マリンブルーなどは薬にもしかくないほどの、どん臭さ。
このいまのように広域でない緑とオレンジは、わたしにとってノスタルジーでもあるんです。
そして、モーツァルトをノスタルジーとしちゃいけませんね。
モーツァルトは常に、身近に感じていたいし、変わらぬ存在であるべきです。
聴き尽したと思ったら大間違い。
このところ、大きな曲や、アニバーサリー作曲家ばかりの毎日。
でも、モーツァルトを忘れちゃいけませんね。
モーツァルト ピアノ協奏曲第17番 ト長調
ピアノ:マリア・ジョアオ・ピリス
クラウディオ・アバド指揮 ヨーロッパ室内管弦楽団
(1993.6 @フェララーラ、イタリア)
モーツァルトのピアノ協奏曲の中でも、この17番はとりわけ大好きです。
モーツァルト18歳の屈託ないト長の調性は、明るい色調の中にも、2楽章では、ある意味お約束どおり途中は哀しみの短調三昧。
モーツァルトのこの二面性も、わたくしたちにとっては、もうマーラーと同じように、日常茶飯事の心象として普通に受け止められるもの。
かつての昔のように、その対比を深刻に演奏するものもないし、それをシリアスに襟を正して受け入れる聴き方も、もしかしたらないのかもしれない・・・・そんな現代。
感情の機微が大きくぶれ、豊かな感情表現のあり方は、技巧的に、戯画的になってしまいつつあるような気がします。
これもまたネット社会の編み出したデジタルな感情表出ありきなのでしょうか。
人と人、アナログ的な交わりが生み出す喜怒哀楽。
本来の感情表現が、いまは懐かしく、いにしえのものになりつつあるような気がしますが、如何に・・・・・・。
ピリスとアバド、純なる音楽表現を根差す演奏家たちが導くモーツァルトには、心洗われる無為なる世界がありました。
ブッファ的な3楽章には、「フィガロの結婚」の天真爛漫とも呼べる感情の麗しい機微を強く感じます。
素敵な曲に、微笑みと優しさあふれる演奏。
気持ちいい水曜日の晩でした。
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コメント
こんにちは
先般は大変お世話になりました。
この場をお借りして改めてお礼申し上げます
さて、曲の内容では20番台かもしれませんが、楽しさ、愉悦感では10番台に分があるように思います。
ご紹介の17番は私もお気に入りの1曲です
なかでも浮き浮きするような終楽章が大好きで携帯の着メロに使っております(^_^)v
投稿: パスピエ | 2013年8月22日 (木) 17時23分
パスピエさん、こんにちは。
ご丁寧にありがとうございます。
こちらこそありがとうございました。
モーツァルトのピアノ協奏曲には、ブレンデルとそれこそマリナーの指揮による全集があって、そちらもよく聴くのですが、どうしてもピリスとアバドというお気に入りの音盤に傾いてしまいます。
おっしゃる通り、愉悦感あふれる10番台。
どの曲も明るく透明感もありますね。
そして着メロとはまた!
終楽章は、それほどに素敵な内容ですね。
わたしは、バーンスタインの弾き振りをFMで聴いて以来のこの曲のファンです。
投稿: yokochan | 2013年8月22日 (木) 23時37分
今晩は、よこちゃん様。 東海道線そして大洋ホエールズ色…オレンジ&グリーン。
私の6歳年下の上司が横浜ファンだった(悲しいかな今は野球よりサッカーに入れ込んでいて、過去形だそうですよ)との由。 彼のプチ情報によりますれば大洋のチームカラーがオレンジ&グリーンだったのは、静岡県の名産 ミカンとお茶の色を取ったと言うんですわ。 嘘か本当か!さぁ、書きなさい(クイズ面白ゼミナールが最近復活してたんですね。鈴木健二さんを真似て…)
いやいや失礼しました。どうぞ教えてください、よこちゃん様。
モーツァルトへのコメントなし。すんません。。。
投稿: ONE ON ONE | 2013年8月23日 (金) 18時25分
ONE ON ONEさん、こんにちは。
本日は、オレンジ色の虚軍に、最高の形で勝ちました。
心の底から気分がええです。
そして、びびりながらもお答えいたします。
ファイナルヨコチャンです。
たしかに、あの配色は、大洋漁業というマルハ会社が、清水にも拠点があって、草薙球場は川崎と並ぶ拠点でありましたゆえに、かの地の蜜柑と緑をイメージしておりますこと、認めるにやぶさかではありません。
日本の世界に冠たる遠洋漁業の中心会社でありました、マルハ大洋漁業は、明石から下関をかつての本拠としました、まさに海の男たちの漁業会社。
いまでも、山口には林兼とか有力会社がありますし、横浜・川崎にも、有力一族会社が残っております。
ほんとうに、歴史ある海をバックボーンにした会社なんですね!
ながながとすいません。
でも神奈川の湘南から西部は、その海沿いがミカンの産地。電車から見るみかん畑は、緑とオレンジなんです。
湘南電車説も、正解ではあります!
野球のオーナー会社というのは、経済界と世相の縮図かもしれませんね。
投稿: yokochan | 2013年8月24日 (土) 00時05分
yokochan様
野球のオーナー会社は、経済界と世相の縮図…まさにおっしゃる通りで、ございますね。
映画隆盛の頃は、大映のオリオンズに東映のプライヤーズ、電鉄会社が羽振りの良い頃は、パ・リーグの在阪チームの、阪急ブレーブス、近鉄バファローズ、南海ホークス。
現在は、IT企業の福岡ソフトバンクホークス、ネット通販の、東北楽天ゴールデンイーグルス、リース業務から多角経営の、オリックス・バファローズ、モバイル・ゲームのDeNA横浜ベイスターズ。
Jリーグで9年ぶりVの鹿島アントラーズも、現在の経営権は、アプリでのフリーマーケット事業を展開のMercariに在るらしいですし、何とも厳しい状況下に、プロスポーツ経営も晒されているようです。
話は戻り、私がこの曲が『ニ短調K・466』に勝るとも劣らない魅力作と聴きましたのは、FMラジオのCD番組で、ブレンデルのソロ、アンゲラー指揮ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団の演奏を、お聴かせ戴いてからであります。演奏者から察して、Philipsと契約する前のアメリカVoxへの録音で、ありましょうか。
あまり騒がれないレコードでも、後年の大家扱いにされる以前のキャリアに於いて、素晴らしい出来映えの演奏が在るものだなぁ…と、感じさせて貰いました。
現在の愛聴盤は、ペライアの弾き振りにECOが付き合った、SONY原盤のマスターワークス・ポートレイト・シリーズなる直輸入盤の全集からのものです。演奏家によっては、ある種の灰汁の強さや押し付けがましい個性が漂いかねないところを、力まずムキにならず、聴かせていただける好ましい演奏と、受け取っております。
投稿: 覆面吾郎 | 2026年1月 6日 (火) 04時45分
この協奏曲は、バーンスタインが弾き語りをしたザルツブルクライブがありますが、正規音源化はしてないかと思います。
75年だったかと思いますが、FM放送を録音したものを大切にしてましたが消失してしまいました。
ブレンデルの旧盤は、コロンビアの1000円廉価盤で出ていたものかと思いますが聴いたことがありません。
ベートーヴェンの全集と同じご指摘のVOX録音かと思いますが、あの頃のブレンデルもいいですね。
あとは、プレヴィンの2度にわたる録音も素晴らしいです。
投稿: yokochan | 2026年1月16日 (金) 10時46分