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2013年9月11日 (水)

モーツァルト ピアノ協奏曲第1~4番 ロリオ&ブーレーズ

Nihonmaru

日本丸とランドマークを背景に。

わたしの後ろは、横浜港ですよ。

日に日に、夏が後退、秋前進。

季節の変わり目は美しい、それこそうるわしのニッポン。

オリンピック決まったけど、見こみで踏み込んじゃったけど、なんとかするのがニッポン。

わたしは、いまは肯定してます。

Mozart_loriod_boulez

  モーツァルト  ピアノ協奏曲第1~4番 
                   (K.37,K.39,K40,K.41)

     ピアノ:イヴォンヌ・ロリオ

 ピエール・ブーレーズ指揮 ドメーヌ・ミュジカル・アンサンブル

                    (1950年代)


今宵は珍しい音源を楽しみました。

ブーレーズのモーツァルトなんて、もしかしたらこれしかない?
と思ったらいや、セレナーデとか序曲とか非正規盤はあるし、正規に協奏曲やグランパルティータもある。

こんなにイメージがそぐわないブーレーズのモーツァルト。

絶対に、間違っても「フィガロの結婚」なんて指揮しそうにない。

後期ロマン派から21世紀の音楽が主体で、ベルリオーズぐらいが一番古典に近いのかな。
でも、BBCやニューヨークの指揮者をつとめていたくらいだから、その時の演奏記録をみると、バロックから古典・ロマン派も指揮してる。
わたしも来日演奏会で、メンデルスゾーンのイタリア交響曲聴いてる。

そう。だからブーレーズは完璧主義者だから、指揮者として本当にやりたいものと、そうではないものとを使い分けていたものと思われます。
何度も指揮して、録音しておきたいものだけが、ブーレーズの姿を真に映し出す演目。

そんなブーレーズが、指揮を始めた初期の頃の演奏が今日のモーツァルトのピアノ協奏曲。
しかも、ピアノが、これまたイメージがそぐわないメシアン夫人の、イヴォンヌ・ロリオ。
こんな、モーツァルトにとっての場違いな二人の共演盤。

興味深々で聴き始めた、モーツァルト最初期の協奏曲。
実は、初めて聴くこの4曲。
解説やwikiによれば、11~2歳の作品で、いずれもオリジナルの楽想ではなく、ホーナウアー、ラウバッハ、ショーベルト、エマヌエル・バッハらの器楽作品からの編曲ものであります。
バロック期からの過渡期も思わせるギャラントでかつリズミカルなスタイルながら、瑞々しくたおやかな雰囲気は、あきらかにモーツァルト。
ピアノ協奏曲全集を録音したピアニストでも、アンダやバレンボイム、ペライアは録音したけれど、ブレンデルやシフ、ゼルキンは取り上げなかった。
 この6年後のオリジナルの5番は、しかし比較にならないくらいにモーツァルトの個性があふれ出た名作なところがまたモーツァルトたるところでしょう。

そんな1~4番をあえて選んでいる、ロリオ&ブーレーズ。
さぞかし、ぶっきらぼうで、サバサバ系かと思うでしょ。

ところがこれが全然違うのでありますよ。

楽しそうに愉悦感あふれ、メリハリも豊かなものだからリズミカルで、情にも事欠かない。
試しに2番の第2楽章を聴いてみてください。
曲の素敵なこともありながら、宮廷に遊ぶかのような優美な雰囲気には参ります。
ロリオさんはともかくとして、ブーレーズのあのお顔からはまったく想像すらできない、この雰囲気。

オペラは死んだ、とこ、劇場を爆破せよ、みたいな発言をしていた笑いのまったくないブーレーズさまとは思えません。

自身が創設したドメーヌ・ミュジカルでは、現代音楽とともに、古典やバロックも演奏していたと言いますが、それにしても面白くも希少な1枚です!

先に書きましたが、私が聴いたメンデルゾーンでは、笑みさえ浮かべて指揮していたものだった。
長大な「リング」でも、ロマンティックな「ワルキューレ」では透明感あふれながらも、美しい抒情の彩を聞かせてました。

ロリオさんのピアノとともに、見通しよく、澄んだ響きもこのモーツァルトの特徴です。

モノラルの復刻盤ながら、音は実に明快で聴きやすいです。

復刻盤レーベルのEINSATZさんの、姉妹レーベルLEBHAFTからの1枚です。
ほかにも、触手そそる珍しの名盤が復刻されてます。

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コメント

確か諸井誠が書いた著書の一節だったと思いますが、ブーレーズの自宅の寝室の枕元に「ドン・ジョヴァンニ」の分厚いスコアが置いてあり、「毎晩少しずつ勉強している」と言っていたそうです。その記憶もあって決して場違いとは思いません。

投稿: ぬこ | 2013年9月12日 (木) 17時20分

ぬこさん、コメントどうもありがとうございました。
すいません、諸所ばたばたとしまして、お返しがこんなに遅くなってしましました、申し訳ありません。
故諸井先生のそちらの書は、すいません存じあげませんでした。
その場違いと思えない演奏がまた、この若き日のものでした。
すっきりと心地よいモーツァルトは楽しいひと時を与えてくれました。

諸井さんとブーレーズといえば、かつてレコ芸に連載された、「僕のBBB」という著書が大好きでした。
バーンスタイン、ブーレーズ、バレンボイムを愛する仲間の物語で、若い頃、大いに触発され、その3人をよく聴くようになったものでした。

ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2013年9月16日 (月) 22時13分

Very informative article post.Really looking forward to read more. Really Great.

投稿: maglie calcio valsport | 2013年9月29日 (日) 18時58分

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