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2013年11月23日 (土)

神奈川フィルハーモニー第294回定期演奏会 垣内悠木希 指揮

Landmark

ランドマークプラザの恒例のツリー、今年はディズニーキャラクター。

Landmark_3

ちょっとボケてしまいましたので、再チャレンジしなくちゃ、です。

これを見て、いくつかのまだあるスポットで写真をパシャパシャしながら、みなとみらいホールへ着いたら、あら残念、ロビーコンサート逃しました。
コンマス就任予定の崎谷さんを中心とするドヴォルザークの三重奏だったそうな・・・。

出足に失敗。ドヴォルザークで耳慣らしして、ブラームス。
素敵な流れだったのにね。

Kanaphill201311

  ブラームス   交響曲第3番 ヘ長調

  ラフマニノフ  ピアノ協奏曲第3番 ニ短調

            ヴォカリーズ~アンコール

         ピアノ:清水 和音

    垣内 悠希 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

          (2013.11.22@みなとみらいホール)

ロマンティックな旋律をふんだんに含んだ3番を並べたコンサート。
実によく考えられたプログラムでした。

当初、ソリスト予定の田村響クンが、体調不良で降板し、急遽ベテランの清水和音さんが代役に。それはかえってナイスな結果を生むこととなりましたが、そこはまた後に。

指揮する垣内氏は、35歳。
早くから指揮の勉強を始め、芸大・ウィーン国立音大を経て、2011年にはブザンソン・コンクールで優勝。2年先に優勝していた、山田和樹とともに、神奈川出身、ウィーン在住の注目株・・・・プロフィールより。

ブラームスの冒頭から、左右の動きが激しく、オケへの指示も忙しい。
この人、ブラームスには合ってない。
それが、今風の音楽の風潮なのだろうか。
スマートな外観を整え、響きは過剰でなくスリムでコンパクトに押さえ、脂肪分ゼロ、ノンカロリーなさらさら系の音楽。
強弱の対比に細心の注意を払い、ハッとさせる美しい弱音にこだわる場面もあり、手振りでオケを抑えるところも何度もあった。

一方、われわれ聴き手(少なくともワタクシのような世代)が、ブラームスの音楽に求めるのは、大らかな歌いまわしと、音楽と一緒に呼吸したくなるような安堵感。
そしてブラームスの遅れてきた男のロマン。

そうしたものと離れたところにあった、いやあろうとした垣内氏のブラームス。
フレーズの橋渡しは、みんなつながって聴こえたし、間がまったく感じられず、音楽に浸るいとまを与えてくれず・・・でした。
このへんで、不平不満はやめときましょう。
だから、終楽章のアレグロは、エンディングを除けば、そんな不満は少なめ。
それでも、神奈川フィルはしっかり鳴るから、オケに助けられてるともいえるかも。
コンマス就任予定の崎谷さんが座ったヴァイオリンは、ちょっと薄目な感じだったかな。
それは、ラフマニノフにも感じた。
中低音は、万全。木管の音色もいつもの神奈川フィルで、2楽章は音色を堪能。

辛口に書いてしまいましたが、5年前のシュナイト&神奈川フィルの演奏のような本物には、めったに出会えないのだと痛感。

休憩ロビーでは、降り番の石田コンマスの、いつものファッションの後ろ姿を発見。
ヴァイオリン持ってなくても存在感が違う。

後半は、清水和音さんがメインだし、ラフマニノフはピアノが引っ張れば、オーケストラがよく鳴るから安心だ。
でもちょっとこもり気味のピアノの音に聴こえたけれど、どうだったのだろうか。

アンコールのヴォカリーズでは、絶美のラフマニノフ節を堪能させてくれた清水さん。
協奏曲では、淡々と、この手の内に入った曲を弾かれてまして、技巧をひけらかすとか、大仰に構えたりすることもない大人の演奏ぶり。
指揮者との格の違いを見せつけたワケですが、とくに前半が、もうひとつしっくりこなかった、というのがわたくしの印象。
やはり急場だったことが影響したのでしょうか。
カデンツァと、アンコールが素晴らしかったという不思議な印象。
そして、オケにピアノの響きが消されるところもありました。
いつも同じ席で聴いてて、こんなことないのですが、まして大ピアニスト・ラフマニノフが書いたスコアだから、そんなことは決してないとは思うのですが・・・。

そこをもっと泣かせて欲しい、オケとともに、ここでは泣き崩れるようにして欲しい・・・と、思う自分ではありましたが、淡々とした中にも、清水さんのピアノには、ラフマニノフの音楽に惚れこみ、その音符ひとつひとつを信じた無為の行為としての演奏の素晴らしさがあったように思います。

信ずれば通ず、よけいなことはせずとも、音楽は素晴らしいのですから。
わたくしと同世代、若い頃からやんちゃで眩しい本格派だった清水さんが、到達しつつある境地なのかもしれません。

終楽章のコーダの感動の高まりは、ライブならではで、どきどきの大盛り上がりに、お約束の「ジャンジャカジャン」ディ・エンド。
ブラボーたっぷり飛んでました。

しっとりと、心に沁みるヴォカリーズを聴かせていただき、月の輝く横浜の街へ消えてゆくのでした。オシマイ。

恒例の、「We love 神奈川フィル」のメンバーで、みなとみらいの夜景を肴に一献傾け、楽しく談じたのはいうまでもありません。

Welove

ブルーダル君も、今夜も黙ってキリンビール

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コメント

お早うございます。遅まきながら演奏会観劇お疲れ様でした。ブラームスの交響曲はノンカロリーなサラサラ系演奏だったのですね。ブログ主様の嗜好には合わなかったかもしれませんね。私は、ノリントンやベルグルンド&ヨーロッパ室内管のようなブラームス演奏も好きなので多分今回の演奏会のようなブラームス演奏にもついていけるだろうと思います。ヨーロッパ室内管はアバドが手塩にかけて育てた楽団だけに、どんな指揮者のどんな解釈にも対応できる柔軟性がありますね。でも確かにベームやザンデルリンクなどの演奏が好きな方は戸惑うでしょうね。
  ベルマンとアバドがラフマニノフの3番を録音していたのですね。知りませんでした。
  今は一時帰宅しております。大分具合がよくなりました。病院の4人部屋には、ポータブルDVDプレーヤーを持ちこみ、オペラと坂の上の雲とガンダムのDVDを観放題です。もちろん他の患者さんの迷惑にならないようにヘッドホンをかぶっています。
 例の心理の先生が講師をしている臨床心理学の講義(患者さんを対象にした)にも出ました。あの先生も私のような手のかかるわがままな患者に翌10年も付き合ってくれたものです。それに対する感謝の気持ちが好意に変わっていったのでしょうね。

投稿: 越後のオックス | 2013年11月25日 (月) 06時13分

越後のオックスさん、こんにちは。
さらさら系はそんなに嫌いではありません。
しかし、今回の指揮者の音楽造りには、まったく賛同できず、腹立たしい場面もありましたので。
ですが、ブラームスは、サラリ系よりは、ぐっと来る系の方がいいですね。
サラ系のマリナーですら、近時の録音ということもありますが、しっとり・どっしりとやってます。

病院での音楽やDVD三昧。
いいことですね。
命と気持ちの洗濯です、ゆったりと養生ください。

投稿: yokochan | 2013年11月27日 (水) 08時32分

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