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2013年11月 8日 (金)

ベルリオーズ 幻想交響曲 シモノフ指揮

Hamamatsucho201311

早や、11月も第1週が過ぎました。

このところ気ぜわしくて、音楽もろくろく聴けてません。

でも月が変わったら、これを登場させて、あれを聴かなくちゃ始まりません。

今月の小僧は、東京消防庁の機関員さん。
一番、第一線で活動される方々です。
都内にいると、駅や繁華街で事故があったときなどに、必ず見かける、頼もしき方々です。
わたしたちを守ってくれる皆さまに感謝です。

そういえば、大学の同期に東京消防庁に入庁した仲間がいました。
いま、どうしているでしょうね。

Berlioz_sym_phantastique_simonov_2

   ベルリオーズ  幻想交響曲

    ユーリ・シモノフ指揮 スロヴァニア・フィルハーモニー管弦楽団

                (1994.5.26 @リューブリヤナ、ガルス・ホール)


スロヴェニアは、ユーゴスラビア連邦共和国から分離独立した国で、1991年のこと。
もうその頃は社会人だったから、その後に起きた他のユーゴ諸国の独立にまつわる戦闘・紛争は、昨日のことのように思い起こされる。

わたしのような世代には、ユーゴは社会主義国歌として安定していて優等生みたいな国だと思っていたし、学校の世界史でもそんな風に学んだもんだ。

時の流れとともに、みんな変わってしまうし、いずれも歴史に流されてしまう。

そんなスロヴェニアの有力オーケストラのひとつが、こちらのフィルハーモニーで、体制時代は、わたしたちには、ロヴロ・フォン・マタチッチの指揮で記憶にとどめられる存在。

かつてFM放送を通じて聴いてきたけれど、その録音がもこもこ系でショボイ。
だから演奏も、マタチッチゆえの太さはあるけれど、どこか霞の向こうみたない印象があったオーケストラ。
のちに安売り駅ナカセールのリューヴリアナ放送だかも、そんな印象で、キレがなかった。

さてさて、ロシアからの爆演おじさんシモノフさんは、このオケと格別なタイトルはなかったけれど、何枚かの音源を残していて、この幻想はそれらのなかの1枚。
 ジャケットには、ベートーヴェンやラフマニノフの交響曲、白鳥の湖やロメオなどのバレエ曲らの音源も紹介されてますよ。

シモノフの爆演ぶりは、スタジオ録音では若干伝わりにくく、ライブでないと、その爆発ぶりは伝わりにくく、ひょうきんな動きを観察する楽しみも含めて絶対的に生演奏の人なのです。

きっとこの幻想も、手兵のモスクワフィルとの組み合わせでホールで聴いたら、重量感と超爆発ぶりに、風圧すら感じて、ぶっ飛ぶことでありましょう。

それがこのスロヴェニアでの録音は、ライブにもかかわらず、おとなしめで、オケの技量もあれれなとこもああって、微爆にとどまっているのです。
これはひとえに、録音のデッド感がまたもやもたらすモコモコ感にほかなりません。
音のレベルも低くて、ボリュームを目いっぱいにあげないとダメです。

シモノフの作りだすスケール感は広大で、テンポは悠揚せまらず、堂々たる歩みは機関車のごとく揺るぎなく、ベルリオーズの描いたキテレツ感と異常性をある意味引き出してます。
ヴァルプルギスのねちっこさは尋常じゃなく、最終の追い込みもインテンポで、まったく踏み外さず、ごんごん来ます。
最後の和音をこんなに伸ばす演奏は、何万と聴いてきた幻想で初めてですよ。

全曲通じて58分。
ほぼ最長の幻想。

1楽章の丹念さは、粘着にも通じるし、ワルツもタメが大きくておもろい。
すごいのは20分をかけた野の風景。
とまりそう。
ベルリオーズのすっきりした抒情が、ここでは濃厚な原風景になって迫ってくる。
これもまたおもしろい。こんなの聴いたことない。

オケの頑張りは讃えたいが、違ったオケで、また思いきり「幻想」しちゃってもらいたい、そんなシモノフさんでした。

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