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2013年11月13日 (水)

モーツァルト セレナード第9番「ポスト・ホルン」 アバド指揮

Nihonbashi_2

今年も、ハロウィンのあとはクリスマスムードに。

節電のジレンマは、LEDのバリエーションが増えて解消したけれど、かつてのような華美に走ったイルミネーションはもうありません。

工夫を凝らした冬の美しさを、こうして街角に演出してくれれば言うことありません。

毎年同じでも全然いい。むしろその方がいいし、季節が巡ってきた喜びもあるというもの。

こちらは、日本橋の三越前です。

昨年は、この画像で、ベネデッティ嬢のコルンゴルトでした。

今年は、ギャラントに、モーツァルトのセレナードを聴きました。

Mozart_posthorn_abbado

  モーツァルト セレナード第9番「ポスト・ホルン」 K320

   クラウディオ・アバド指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

                            (1992.9 @ベルリン)


この大きめで、交響曲クラスのモーツァルト作品の、悲喜こもごも入り混じった愛らしさといあったらありません。

中学3年のクリスマスの頃に発売され、高校に入ってすぐに買い求めた「ポストホルン」のレコードは、ベームとベルリン・フィルのもの。
夜のブルーな色のヨーロッパの庭園、おそらくザルツブルクでしょうか、その幾何学的な美しさと青が、とてもクリスマスに似合っていた。
そのベーム盤は、いまもって、この曲の最高最大の演奏のひとつ。

カラヤンがけっして指揮することはなかった、モーツァルトの大きなセレナード作品。
「ハフナー」「ポストホルン」「グランパルティータ」の3曲。
ベームはオケとDGの求めに応じて、それ以外のセレナードも含めてしっかり録音を残してくれました。

アバドは、「グラン・パルティータ」は演奏することがなく、それは朋友メータがCBSに録音した。
ベルリン・フィルにとって、モーツァルトのセレナードは重要なレパートリーなのです。
ラトルもいずれ、一挙に取り上げる予感がします。

もちろん、モーツァルトですから、ウィーンフィルが積極的であって欲しい演目なのですが、何故かレヴァインぐらいしかありません。

郵便配達のポストホルンを全7楽章のうちの6番目のメヌエット楽章で、そのトリオにおいて可愛いピッコローネのあい方として活躍させた。
これゆえのタイトルですが、曲自体は、愉悦性と憂愁さとがまじりあった、シンプル兼ちょっと複雑なモーツァルトの素顔が垣間見れる内容です。

音楽旅行に明け暮れた若き日々。パリへの楽旅がお抱えにもなれず、なにひとつ変わらずに、心底嫌なコロレド司教のもと、ザルツブルクに帰還したモーツァルト。
その頃に生まれたこの「ポストホルン」。
憂鬱なほの暗さとともに、パリ風に木管が華やかに歌いまくるギャラントな中間部の前後にほの暗さもにじませ、トータルには明るく爆発的なセレナードとして整えたモーツァルトの才は、まさに天が付くものです。

3楽章と4楽章の、典雅で夢見るような音楽には、もう何年も、何年も、魅惑されっぱなし。
ウィーンの木管もいいけど、ベルリンの独特の透明感と鮮やかさは、ベーム盤も、こちらのアバド盤も同じです。
吹いてる管楽奏者も、柔らかな弦も、きっとにこやかに指揮している指揮者も、モーツァルトの音楽に心酔しきっているのが、音だけでわかります。
アバドにこうした曲を指揮させたら、もう最強です。
オーケストラと一緒に、歌いまくり、どんどん高めつつ、天上に昇り詰めていってしまいます。

ほかの楽章でも、リズミカルでよどみない進行は、アバドならではで、テンポ感がよろしい。
早めのテンポ設定ながら、それを感じさせないのは、歌心でしょう。

アバドは、このセレナードの前後に、この曲と関連性の強い行進曲を、それぞれ2つ配して録音してます。
当時の演奏会様式も考慮した、実にアバドらしい考察です。
そしてアバドは、演奏会では、このポストホルンから、4つの楽章を抜き出して、「ポスト・ホルン交響曲」としても、ウィーンとベルリンで演奏してました。

いま一度、大好きな3楽章と4楽章を聴いてます。

そして、今宵は、これでお休みといたします。

なんだかいい夢みれそうです。

ちなみに、ベーム盤のジャケ。

Posthorn_bohm

おやすみなさい。

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コメント

モーツァルト没後200年だった時、1991年。

サントリーホールでシャ-ンドル・ヴェーグ指揮カメラータ・ザルツブルグを聴いた覚えがあります。

プログラムが思い出せないです。

2つプログラムを用意してきて。交響曲40番は、あった気がしています。

ポストホルン、あったかな。。

シャーンドル・ヴェーグの指揮、このときが最後の来日だったはず。

まだ、大学生、思春期だったので、そのころの音楽の聴き方って、とても重要と思います。歳をとっても影響していきますから。

今の、モーツァルト、つまらないです。すぐ寝ちゃう。

投稿: 今日は普通人 | 2013年11月14日 (木) 08時49分

はじめまして。
サントリーホールに関わるカラヤン広場と申します。

クラヲタさんなら必ず喜んで頂ける情報かと思います。

まだ未発表なのかな(汗)…
来週の週刊ポストで公表されるとききました。


ウィーンフィルの第1コンサートマスター。もう説明はいらないでしょう。
マエストロ ライナー・キュッヒル氏が佐村河内守の音楽に惚れ込み、来年佐村河内守のソナチネを演奏することが決定しております。

クラ界をよく知る私は、この事実の凄まじさに脳天を直撃されています!
クラヲタさんもこの凄さが解るかと思います。


佐村河内守→ソナチネ→キュッヒル氏→ソナチネ→ウィーンフィル→HIROSHIMA………
こんな妄想をしてしまうのは私だけでしょうか?

投稿: カラヤン広場 | 2013年11月14日 (木) 20時32分

横から入り込んで失礼します!
まじか!カラヤン広場様!キュッヒル氏!えらいこっちゃ^^
佐村河内守→ソナチネ↑キュッヒル↓ソナチネ⇔ウィーンフィルとか!!!
(興奮のあまり矢印が!!)
そうなったら指揮者は小澤先生だったり?
たのむぞ!その演奏は是非とも聴きたい。田舎住みなので実演では聴けないかもだけどCDでもEFでもいいから聴きたい!
実現して欲しいと願いいます。

投稿: モナコ命 | 2013年11月14日 (木) 22時49分

今日は、普通に、いらっしゃいませ。
1991年のモーツァルトイヤー、わたしはヴェーグは聴きませんでしたが、プレヴィンのピアノによる、モーツァルトの四重奏曲をまったりと聴きました。

あのときの、サントリーホール主催のモーツァルト音楽祭は、わたしもモーツァルト好きの最大のイヴェントで、そのあとは、やはり新しいモーツァルトには着いていけないようになりました。

投稿: yokochan | 2013年11月15日 (金) 19時10分

カラヤン広場さん、こんにちは、コメントどうもありがとうございます。
そしてなんたる大きな情報。
奥様が日本人で、大いなる日本びいきであることは抜きにしても、天下のウィーンフィルの第1コンマスですから、その影響力は大でありますね。

あのソナチネの曲の夢中な美しさは、虚心に聴く人の心に響きますから。

その妄想も決して夢ではないかもです。
ベルリンとウィーンで、貼り合うということも、もしかしたらありかもです。

来週の報道も楽しみです。
ありがとうございました!

投稿: yokochan | 2013年11月15日 (金) 19時19分

モナコ命さん、こんにちは。
ほんと、驚きの情報ですね。

もしかしてムジークフェラインでしょうか、コンツェルトハウスでしょうか。
ベルリンにも増して、ウィーンフィルだったら、と思うだけで興奮しますね。

小澤先生だったら、ほんと素晴らしい。
けどちょっと無理かも、でも、ラトルでも、好きじゃないけどゲルギーでも。。。
夢は膨らみますね!

投稿: yokochan | 2013年11月15日 (金) 19時24分

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