スキタイ、シュールホフ、中国役人、馬鹿な男、ラ・ヴァルス ゲッツェル指揮
サラリーマンの聖地、新橋駅前のSL広場。
そのSLも、冬の装いを纏うようになりました。
毎年違います。
酔ったお父さんたちは、これを見てウキウキして、そして元気に電車に乗って、お家に着いたら小さくなっちゃうのでしたぁ。(By 自分)
でも、この機関車のように、元気に力強く、いつまでも突っ走りたいものです。
今日は、そんな気分まんまんにしてくれる、威勢のいい、そして派手な1枚を!
もう、もう、最高なんだ、これ!
指揮は、サッシャ・ゲッツェル。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者です。
プロコフィエフ 「スキタイ組曲」
シュールホフ バレエ音楽「オジェラーラ」より
バルトーク 組曲「中国の不思議な役人」
ホルスト 歌劇「パーフェクト・フール」からバレエ音楽
ラヴェル 「ラ・ヴァルス」
サッシャ・ゲッツェル指揮 ボルサン・イスタンブールフィルハーモニー管弦楽団
(2011.6 @イスティンエ、イスタンブール)
激しかったり、おもろかったり、血の気が多かったり、そして優美でお熱かったり。
このCDのコンセプトは、20世紀初頭の各国の舞踊音楽にあります。
彼らの1枚目のCDも、同じようでして、レスピーギに、F・シュミット、ヒンデミットです。
そちらは、また1月に入りましたら取り上げます。
まずは、このコンビのご紹介。
サッシャ・ゲッツェルは、1970年、ウィーンフィルの第1ヴァイオリン奏者を父として、ウィーンに生まれる。
そして、ウィーンならではの、自身も優れたヴァイオリン奏者としてのウィーンフィル入り。
われらが小澤さん、ムーティ、メータらのもとで、オペラやオーケストラコンサートで奏者としてしっかり活動。
そして、フィンランドの指揮者輩出の名指導者パヌラの教示も受け、指揮者としても活躍を始める。
ヨーロッパ・北米・日本とその指揮活動は、またたく間に広まり、現在、フィンランドのクオピオ交響楽団、トルコのボルサン・イスタンブールフィルの指揮者を務めるほか、フランスのブルターニュ・フィルハーモニクと神奈川フィルハーモニーにもポストを得ております。
オーケストラばかりでなく、オペラの力量も秀逸で、ゲルギエフのキーロフで「ドン・ジョヴァンニ」を指揮したり、ウィーンのフォルクスオーパーではウィーンフィル創設者の「ウィンザーの陽気な女房たち」を指揮し、さらに日本公演も行いました。
親の七光りを越えて、ゲッツェルさんは、指揮者として完全独立。
世界の楽壇が今後求める、有力な指揮者の仲間入りをしております。
神奈川フィルは、ほんとうにいい指揮者を見つけ、つかまえたものです。
初共演を聴くことは逃しましたが、そのあとのマーラーを振った定期を聴きました。
その時の、面白さは、のちのちでも自分の書いたブログを読んで、悦に入ったりしてしまうくらいのナイスなもので、あんな爽快かつ気分のいいコンサートはなかったな。
オケメンバーも大絶賛、このときがこのコンビを決定づけるきっかけとなりました。
ボルサン・イスタンブールフィルは、1999年スタートのまだ若いトルコの首都のオーケストラですが、最初は室内オーケストラから始まったようです。
東西の接点、アジア・ヨーロッパの融合するトルコのイスタンブールのオーケストラですよ。
オケ好きとしては、とても気になる存在だった。
欧米のオケは、メジャーは当然として、いまやいろんなマイナーレーベルから、各国のオケが、日本のオケもふくめて聴ける時代で、ほんとうに珍しいのは、東南アジアや南アジア、中近東、南米、アフリカのオーケストラ。
トルコは、それに比したらずっと先進的だし、ヨーロッパ。
イスラムの国でありながらのヨーロッパ国としてのオーケストラです。
それをウィーンの指揮者が指揮をする。
こんな面白いことはありません。
こんな激しさと特徴あふれるダンス音楽ばかり、気をてらったわけではないでしょう。
だけど、民族臭は少なめで、思ったよりスタイリッシュで、そのアンサンブルも緻密で完璧。
でもさすがに、フォルテの場面や、アレグロでは、元気がとてもよろしい。
ゲッツェルさんの、ジャンピングホップが目に見えるようだ。
でも、演奏に聴く、切れば血が吹き出るような鮮烈さはどうだろう。
プロコフィエフのまがまがしさと、モダーンなダンディズムにも妙にあってるし、シュールホフの世紀末退廃系のごちゃまぜ感も、なぜか納得の混在ぶりですよ。
ゲッツェルの指揮の鮮やかさは、この前半ふたつで持ってよくわかります。
キレがいいし、思いきりがいい。
マンダリン(中国役人)では、摩訶不思議な、怪しさが、思いのほかすっきり明快すぎるのだけれど、この軽快なまでの快走ぶりが実によろしい。
と思っていたら。
最後の追いつめ方は、だんだんと切羽つまってきて、もー、どーにでもしてくれ的に荒れてしまうのがイイ。
ホルストの「パーフェクト・フール」は、「どこまでも馬鹿な男」と訳されるけれど、皮肉たっぷりの含蓄に富んだオペラ。
ファルスタッフやパルシファルといった、最高のオペラ作曲家が行きついた先をもじったりしてる。その音楽もユーモアと哀調いりまじる、なかなかに含蓄ある曲。
これをゲッツェルさんは、構えることなく、英国音楽ならではの、しみじみ感を醸し出しつつで、聴きごたえある演奏を行ってる。
①序奏と地の精の踊り、②水の精の踊り、③火の精の踊り
最後は、歌い口も鮮やかな「ラ・ヴァルス」。
タメも充分、細かなところまで微細に心くだきながら、最後のフィナーレまで、生き生きと、ラヴェルの鮮烈な音楽を盛り上げていきます。
これを聴いたら、誰しも、イェーイ、ブラボォーーってなりますよ!
ともかく、ゲッツェルさん、生きがよくって、粋もいい。
しゃれじゃないけど。
その音楽は、いま生まれたばかりのような、鮮度の高さがあって、きっとその音楽性と指揮ぶり、人間性に、オーケストラという有機体が惚れ込んで、一体化して輝かしいものとなって生まれてくるんだと思う。
知られてないけど、こんな面白くていい指揮者は久しぶりだよ。
このCDでは、ゲッツェルの魅力は完全にわからない。
実演で、こんどは、思わず笑えるくらいの激しい指揮ぶりを体感していただきたい。
まだ、あの4点ジャンプは健在なのだろうか・・・・!
神奈川フィルへの1月の登場は、あと1ヶ月後。
ブラームス ヴァイオリンとチェロのための協奏曲
石田泰尚&山本裕康
ワーグナー タンホイザー序曲
R・シュトラウス ばらの騎士組曲
サッシャ・ゲッツェル指揮 神奈川フィルハーモニー
2014年1月26日 14:00 ミューザ川崎
ウィーン人が指揮する、素晴らしいプログラムでしょ。
ゲッツェル主席客演指揮者就任披露。
R・シュトラウス生誕150周年。
これから完全ブレイクする指揮者ゲッツェルさんの本格コンサート、是非立ちあってみませんか。
わたくしもまいりますよ!
過去記事
「ゲッツェル&神奈川フィル マーラー」
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コメント
サントリーホール前の反対側のバス停からは、渋谷発の新橋駅前行きのバスに乗って、なぜか新橋で飲んでましたね。
この選曲、大賛成。管楽器群に負担が少ないことに大賛成。
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ところで、イニシャル。。
’J’ohannes Brahms
’R’ichard Wagner
' R'ichard Staruss
'J''R''R'= JRR =ジャパンロードレース(全日本ロードレース選手権)11月3日の鈴鹿サーキット、行きたかったですね。。。。
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もう一つ、今度も バイク。
'B'rahms.
'W'agner.
'S'taruss
'B''W''S'= BW'S = ヤマハ の原付 バイク。
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姓名の頭文字、なぞらえて、バイク。
エンジンのかかりがよいことは重要。
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オーケストラ の エンジンのかかりが良いことも重要。
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バイクのエンジンは、整備が重要。
オーケストラのエンジンは、指揮者の段取りも大切だけど、お客さんの質も重要。
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この、言葉のひっかけ、判って頂けたら、幸いです。
投稿: JRR大好き人。 | 2013年12月 1日 (日) 11時47分
わかる人には、わかる、そんなタイトルの羅列による、この記事です。
イスタンブールのオケは、熱くて、技巧的にも問題もなく、突進力抜群。
こんな元気な曲ばかりの演目に最適のオーケストラでした。
アメリカではロスフィル、イギリスならBBC,パリならオペラ座管、ロシアなら旧国立管、日本なら日フィル。
このゲッッエルという、煽り系の名手には、ほどよく大人しい日本のオケはぴったりのばらんすです。
投稿: yokochan | 2013年12月 2日 (月) 22時15分