« ショパン 「舟歌」 ツィメルマン | トップページ | R・シュトラウス 「ばらの騎士」 クライバー指揮 »

2014年1月17日 (金)

ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲 カーゾン&ウィーン

Yasukuni_1

去年、暮れの画像ですが、奇跡的に誰もいない靖国神社を背景に、九段下方面、大鳥居。

大村益二郎さんも立ってます。

なにかと喧しい、靖国神社ですが、都心ど真ん中に、こんな広いスペースがあって、日本庭園もあるし、わたくしのような人間でも、普通に憩える場所なのです。

前にも書きましたが、社会人になったとき、会社が九段下にあったので、ここから数分の場所でした。
よく散歩に来たし、7月には御霊祭(みたまさい)が華々しく行われて、若い同僚と来たものです。
夜店に、お化け屋敷に、数々の出し物。

いまや世界に名をとどろかす靖国ではなく、普通に、日本の市井にある神社のひとつの感覚でした。
あの頃はよかった。
バブルのずっと前。
力と発言力を増す隣国たちも、遠くにある存在だったし。

境内には、展示館があって、そこには戦闘機が置いてあったり、ショップもあって、かの国の方々が見たら卒倒しそうな品々も売られてますよ。
日本土産に、COOL!なんていって、喜んで買い求めるガイジンさんもいますしね。

わたしにとっては、若いサラリーマン時代の懐かしい場所だし、いまでは、近くに行ったときに立ち寄る緑多き憩いの場所なのです。

Dvorakfranck_klavierquintette

  ドヴォルザーク  ピアノ五重奏曲 イ長調

          Pf:クリフォード・カーゾン

     ウィーン・フィルハーモニー五重奏団

     Vn:ウィリー・ボスコフスキー、オットー・シュトラッサー
     Vla:ルドルフ・シュトレン   Vc:ロベルト・シャイヴァイン

       プロデューサー:ジョン・カールショウ
       エンジニア:ゴードン・パリー

                  (1962.12@ゾフィエンザール、ウィーン)


今年は、ドヴォルザーク没後110年だった。
もちろん、110という数字だし、特筆すべき記念年でもないけど。

ドヴォルザーク(1841~1904)は、天賦のメロディ・メーカーであります。

初期の地味な交響曲や、未知なるオペラ作品においても、どこか微笑みもたらす素敵な旋律が埋め込まれておりますし、後年の作品になれば、それはもうメロディ満載ということになります。

オールジャンルの豊富なドヴォルザーク作品の中にあって、室内楽部門は大きな比率を占めますが、タイトル付きの有名な弦楽四重奏曲とともに、今宵聴くピアノ五重奏曲は、曲の充実度もあって、もっとも知られた作品であります。

ピアノ五重奏は、2曲あって、ひとつは、1872年31歳の作品で、こちらは実は聴いたことがありません。
交響曲3番の頃なので、きっと、その民族的な要素も含めて、まだ個性が開花していない時分。

そしてイ長調の方は、1887年、46歳の充実期のもので、これも交響曲でいえば、第8番の頃。
それだけでも、いかに素敵であるか、わかりますよね。

4つの楽章のカッチリとした編成ですが、ドヴォルザークに特有の民族的要素がここでは、しっかりと据えられていて、第2楽章には「ドゥムカ」、第3楽章には「フリアント」と題された舞踊的なリズムが取り入れられてます。

ブラームスを思わせる、大らかで深呼吸をしたくなるような第1楽章。
ちょっと悲しげな旋律をロンド形式のように各楽器で展開するドゥムカ。
弾むリズムが楽しいスケルツォ楽章たるフリアント。
この楽章は、だいぶ前に、中村紘子が出たカレーのCMに使われてました。
そして、終楽章としてのしみじみした完結感と、たくみな堂々とした構成を見せる最後。
全曲に、たっぷりとした歌が満載ですよ。
いい曲です。

レコード時代は、スティーヴン・ビショップ・コワセヴィチとベルリンフィルの面々の演奏を愛聴しておりましたが、そちらのCDはまだ買い直すことができません。
そのかわり、CD時代初期に、カーゾンとウィーンフィルメンバーとのものを入手、これが実に優しくて、懐かしい演奏なのです。
往年のウィーンの雰囲気がそのままに、そしてクリアで、抒情的なタッチにカーゾンのピアノが、ドヴォルザークにぴったり。
この面々の名前と顔を思いだしつつ、聴いたりすることも楽しいです。

そして、ゾフィエンザールとカルーショウ、パリーですよ。

そうくれば、録音当時、進行中だった、デッカのリングの最強メンバーです。
芯があって、くっきりはっきり、暖かな音色が、スピーカーから流れてきます。

名曲・名演・名録音なり。

|

« ショパン 「舟歌」 ツィメルマン | トップページ | R・シュトラウス 「ばらの騎士」 クライバー指揮 »

コメント

yokochanさん

 Vn:ウィリー・ボスコフスキー、オットー・シュトラッサー、 Vla:ルドルフ・シュトレン、 Vc:ロベルト・シャイヴァイン

 何という豪華メンバー!、オットー・シュトラッサーって楽団長だった人ですよね。ロベルト・シャイヴァインはバックハウス・ベーム・ウィーンフィルのブラームス・ピアノ協奏曲第2番の第3楽章で、素晴らしいチェロソロを弾いていた人だ!
 こういうメンバーを見るとカーゾンが霞んでしまいますし、また逆に、まさにそれで「5人の五重奏」になっているのかもしれませんね。

投稿: 安倍禮爾 | 2014年1月18日 (土) 01時01分

懐かしく美しい名曲ですよね。たまたま、記事のカーゾン・ウィーン盤と、コワセヴィチ・ベルリン盤ともCDを持っておりまして、記事に触発され聴き直しましたが、ウィーン盤はしっとり歌わせ、ベルリン盤は繊細に美しい、という感じで、それぞれに名演と思いました。

投稿: faurebrahms | 2014年1月18日 (土) 10時24分

安倍禮爾さん、こんにちは。
そうなんです、この豪華メンバー。
いまのウィーフィルは、顔とお名前が一致しない人ばかり。
でもかつては、こんな人ばかり!
シュトラッサー教授は、N響にもしばらく客演してましたね。
それとシャイワインは、同じブラームスですが、ムーティとの来日で、ドッペルコンチェルトを聴きました。

ピアノはグルダだったら面白すぎだったでしょうか!

投稿: yokochan | 2014年1月18日 (土) 10時26分

faurebrahmsさん、こんにちは。
コワセヴィチ盤をいつか再入手しようと思ってて、数年が経ちました。
当時の彼のピアノは繊細でしたし、ベルリンの面々はスリムで名手揃いでした。
そちらも懐かしいですし、このウィーン盤の見事さには昨夜、感嘆しました。

投稿: yokochan | 2014年1月18日 (土) 10時30分

yokochan様
この曲、渋く何か鬱屈した曲想ながら、魅力に開眼すると、離れられなくなる所が御座います。私めの所持盤は、リヒテル&ボリショイ劇場SQ(ビクター、MK-1045)に、ベルナトーヴァ&ヤナーチェクSQ(コロムビア、OS-2826)と、やはりかなり以前(前者はMono)の物で、しかもLPなのです。またタワレコやAmazonへの検索で、活きの良い現役組のメッセージにも接しなくては‥と、思って居るのですけれども。

投稿: 覆面吾郎 | 2022年8月17日 (水) 13時28分

yokochan様
汗顔の至りの大チョンボ犯しました。アップなさっているブックレットに、Franckとあった為にこの作曲家の『ピアノ五重奏曲ヘ短調』をお扱いと早とちり、上記の的外れなコメント送信を仕出かして仕舞いました。深く御詫び申し上げます。

投稿: 覆面吾郎 | 2022年8月17日 (水) 13時38分

安倍禮爾様

ロベルト・シャイヴァインはバックハウス・ベーム・ウィーンフィルのブラームス・ピアノ協奏曲第2番の第3楽章で、素晴らしいチェロソロを弾いていた人だ!
とありあすが、あのソロは当時の主席のブラベッツです。
友人がブラベッツ本人から聞いたそうです。
ちなみにブラベッツとボスコフスキーは同い年です。

このドヴォルザークとフランクは一番のお気に入りです。

投稿: おかぽん | 2023年6月17日 (土) 15時33分

おかぽんさん、こんにちは、コメントありがとうございます。
シャイヴァイン氏は、75年のウィーンフィル来日時に、ベームのチケットが抽選ではずれ、ムーティの演奏会に行ったときに聴きました。
まだまだ毛のあったキュッヘルさんとの、ブラームスのドッペルコンチェルトです。
おっしゃるとおり、この組み合わせの1枚はありがたい存在です!

投稿: yokochan | 2023年7月 2日 (日) 10時05分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲 カーゾン&ウィーン:

« ショパン 「舟歌」 ツィメルマン | トップページ | R・シュトラウス 「ばらの騎士」 クライバー指揮 »