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2014年2月 1日 (土)

シューベルト 交響曲第3番 アバド指揮

Coe_abbado

若い演奏家との共演を楽しんだアバド。

早くから、ECユース・オーケストラの創設に関わり、そちらのオーケストラとはザルツブルクでの78年ライブもCD化されてます。
 さらに遡ること73年の、英国だけの全英ユースオケを指揮したFM放送音源をわたくしは持っております。
このアバドの取り組みは、亡くなるまでずっとかわらなかった。

まさに、新時代のマエストロといっていいかもしれません。

そのECユースオケの出身者を中心に81年に、アバドによって結成されたのが、ヨーロッパ室内管弦楽団です。
 ロンドン響を卒業し、ウィーンとミラノを活動の中心に据えたアバドが、古典や現代ものを心置きなく指揮できたのが、この若くて機能的な室内オーケストラだったのです。

Chamber Orchestra of Europe(COE)のホームページには、アバドを偲んで、設立時の全体写真が掲載されてました。
いかにも、80年代風の雰囲気ですが、アバドの若々しいこと!

アバドとCOEには、素晴らしい録音がたくさん。
ハイドン、シューベルトの交響曲、ロザムンデ、ロッシーニの序曲や「ランス」「セビリア」、モーツァルトの協奏曲に「ドン・ジョヴァンニ」、シューベルト「フィエラブラス」、ウィーンモデルンでの現代もの、シェーンベルク・・・・充実した音源ばかりです。

そんな中から、やはりこのコンビはシューベルトでしょう。

Abbado_schubert

  シューベルト 交響曲第3番 ニ長調

   クラウディオ・アバド指揮 ヨーロッパ室内管弦楽団

           (1987.8 @ワトフォードタウンホール、ロンドン)


交響曲全集として、一気に発売されたこの一組。

番号付きの作品に加えて、ヨアヒムの編曲したピアノデュオ曲をも取り上げ、さらに、オーボエ奏者で、研究家でもあったD・ボイドの校訂を経た、シューベルト自筆草稿の再現という意味でも話題を呼んだ全集だった。

全曲ともども、清々しい、若葉のような演奏ですが、なかでも曲のイメージとぴったりなのが、1~3番の、ちょっと地味で大人しい交響曲。
 アバドは、ほかのオーケストラでも若い頃から、この初期の交響曲をよく取り上げておりました。
高校・大学と、エアチェックマニアだったので、毎度古い音源ですが、ウィーンフィルとの1番は、いまでも大好きな演奏のひとつです。

シューベルトの3番といえば、カルロス・クライバーの「未完成」のB面なのですが、実は「未完成」より、その3番の方が、鮮やかなな身のこなしの痛快演奏でした。

アバドは、カルロスよりは、落ち着きがありますが、明るく駿馬のように駆け抜ける爽快感に溢れてます。
リズムは軽やかで、柔和なムードに満ちていて、溢れる歌心は、聴く人の心を解放し気持ちよくしてしまいます。
早過ぎるクライバーの2楽章に比べて、アバドのそれは、にこやかで、ほのぼのしてます。

 アバドの、あの人懐こい笑顔が偲ばれる、心やさしいシューベルトです。

Coe_abbado_japan


アバドとCOEは、日本には2度やってきました。

そのうちの1991年の公演のひとつを聴くことができました。

ペライアを独奏に迎えて、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲と、シューベルトの交響曲全曲を組み合わせたチクルス公演。
ちょうど、サントリーホール5周年にもあたってました。

わたくしが聴いたのは、ベートーヴェンの2番と、シューベルトの9番。

前から2列目、アバドを見上げるような位置で、その息遣いすら感じる席で。

ともかく、イキがよくって、ブラスが加わっても、全体の見通しがよくて、透明感あふれる小気味のいいシューベルト。
記憶は不確かですが、CDでは、2楽章のオーボエのフレーズがまったく聴きなれない風になっていましたが、この演奏会では通常のものだったような記憶があります。

そして、いまでも覚えてる終楽章の高揚感。
さらに、ベートーヴェンの2楽章における、ペライアの透明なタッチ。
ホール全体が、息を詰めて、そのピアノに集中しましたし、アバドが巧みにつけているのが、その指揮姿をみていて丸わかりのすごさでした。

粋なコンサートでした。

COEからは、アバドはベルリンの仕事が始まってから遠ざかり、変わりに、マーラー・ユーゲントを育て、マーラー・チェンバーへと注力していくこととなります。
COEは、変わって、アーノンクールや、クリヴィン、ハイティンクが主力として引き継いでいくようになりました。

Abbado_perahia

ふたりとも凛々しいです。

もう聴くことはできないコンビ。

アバドの本領は、室内オケとの、こんなコンサートにもあるのでした。

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コメント

 アバドのコンサートの軌跡を取り上げていただき、ありがとうございます。この1991年の来日の時に、初めてアバドの指揮にふれました。確か3月29日の未完成と、この3番で、間にペライアによるベートーベンの3番のピアノ協奏曲が演奏されたと思います。初めてのアバド体験にわくわくしました。ただし、私はシューベルトの交響曲のいい聞き手ではないようでした、未完成も3番も素敵だけだけどよくわからなかったのです。今から考えればもったいないことです。(ちなみにシューベルトのピアノソナタは大好きです。)マライヤとの3番の協奏曲は、彼のピアノの音色にほれぼれ、アバドの伴奏のしっとりした感じに感嘆しました。これからアバドのシューベルトを聞き直してみたいと思いいます。
 それからヨーロッパ室内管弦楽団とのロッシーニ序曲集は爽快な名演だと思います。朝、通勤の車の中でウイリアム・テルの序曲など聴くと一日、興奮して大変なことになってしまいます。
 今度、アバドのロッシーニのオペラも取り上げてくださいませ。

投稿: 新潟のbeaver | 2014年2月 2日 (日) 18時24分

新潟のbeaverさん、こんにちは。

COEとのシューベルトチクルス、今思えば、素晴らしい企画でしたね。
アバドのシューベルトは、その歌心ある資質から相性はばっちりです。

昨夏の、ルツェルンとの未完成を、今回の逝去に伴い、BBCのネット放送で聴きました。
30分あまりを要する、充実の演奏で、しかもさらりとした淡麗なシューベルトでした。
 そのときのメインのブルックナーの9番とともに、きっと映像・音源化されると思います。

COEとのロッシーニは、確かにいいですね。
ロンドン響のものとともに、脂肪分ゼロのすっきりしたロッシーニです。
 「チェネレントラ」しかまだ取り上げてませんので、「セヴィリア」「アルジェ」、「ランス」、これらをあらためて楽しんで、記事にできれば、また幸いです。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2014年2月 3日 (月) 00時11分

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