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2014年4月 3日 (木)

ベルリオーズ 幻想交響曲 ロジェストヴェンスキー指揮

Hamamastucho_201404_a

ここ、関東では、季節は、桜の時期となりました。

桜前線北上中。

そして、元気な新入生も日本中で、新たな一歩を踏み出しました。

別れと、出会いの季節の春です。

つらい別れをこの晩冬は味わいました。

Hamamastucho_201404_b

この可愛い背中に癒されます。

いろいろあるけど、前向いていきましょう。

久しぶりの、月イチ幻想交響曲。

ずっと継続したこの企画、チャイ5も加えて後の、久しぶりの「幻想」なんです。

Berlioz_fanta_rozhdestven

  ベルリオーズ   幻想交響曲

     ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト国立文化省管弦楽団

                        (1988.1 @モスクワ)



今月の「幻想」は、連邦国家体制崩壊前のモスクワからお届けします。 

この、いかにも風の名前のオーケストラは、50年代から存在したオーケストラを、連邦当局が、その名も、かくもいかつくして、国の威信をかけてリニューアルさせたものでした。

それというのも、BBCやウィーン響の指揮者に指名され、西側での活動の目立つようになったロジェストヴェンスキーを国に縛り付けておこうという作戦の一環にございました。

多くの音楽家が、次々に西側に亡命していた時分でしたから。

国の体制や、存亡を、残された音源を聴きながら、振り返ってみるのも、クラシック音楽を聴く楽しみでもありますね。
いま、このオーケストラは、シャンドスやナクソスのレーベルで、数多くの録音を残しつつある、くそウマイ団体に進化してます。

 さて、芸達者なロジェヴェンさんは、「幻想」を得意にしていて、いくつも録音があります。

弊特集でも、モスクワ放送響との67年の演奏をすでに取り上げました。

元気にぱんぱかぱ~ん、的な演奏だった前回から20年後のロジェヴェンも50歳台。

テンポはインテンポを保ちつつ、効果をねらったような揺らしはありませんが・・・。

そして、表情は克明で、旋律もリズムもしっかり。
精度は抜群で、鉄壁のアンサンブルは、さすがにソ連邦。
録音のバランスからか、木管がときに飛び出て聴こえて、フルート協奏曲のようにも感じる場面諸所あり。
 これが実は面白い。
こんな風に、オケに埋もれたいろんな楽器が、浮き彫りに聴こえるのって他にありません。
時に、ぎくしゃくして、いびつなまでに聴こえるから、ベルリオーズの破天荒ぶりが妙に引き立つというものです。

1楽章のねちっこいロマンに、思いのほかギャラントでゴージャスなワルツ。
そして、驚きのロシアの大地を思わせる、これまた濃厚ロマンティックな「野の情景」。
17分44秒をかけた、大演奏です。

意外と普通で大真面目の「断頭台」。
しかし、音塊のパワーは凄まじくて、ファンファーレは粘着的。
ロジェヴェンさんの、うにゃーーっていう声も聴かれます(笑)

ヴァルプルギスは、ぶかぶか鳴る金管が、お笑い系です。
太鼓もずしずしと、キツイ。
音の威力でガンガン進めつつ、小細工せずに堂々たる山上の祭りを描き尽す名人芸。
しかし、最後の和音とティンパニの劇打のおもろさは、痛快。
生で聴いたら、ブラボー必須。

ってなわけで、ロジェヴェンさんの幻想は、大真面目の大演奏なのでしたが、それもまた愉快なのでした。

84歳になるロジェヴェンおじさん、いつまでも元気でいて欲しいです。
ずっと昔から、あの頭だし、70年代から変わらぬ活動を貫いている名匠のひとりです。

Hamamastucho_21403_a Hamamastucho_21403_b

掲載しなかった3月の小便小僧。

アバドの追悼の2ヶ月間でしたから。

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