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2014年5月13日 (火)

Boz Scaggs 「We’re All Alone」 

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毎度の、海岸の風景。

もう少し西の方の、海沿いで生まれ、少し東へ引っ越して、小学生まで、波の音が聞こえるこの場所で育ち、そのあとは、線路の反対側へ引っ越して、暮らしました。

そこから、海を背景にした中学へ通い、高校は西の城下町へ。

ずっと、海のそばで、海とともにしてきました。

社会人になって、結婚して、子もなして、海と離れても、いつも帰るのが、ここ。

山も親しい存在ですが、やっぱり海が好き。

カセットのウォークマンに、ドビュッシーの海や、ディーリアス、シベリウス、ボズ・スキャッグス、ジャクソン・ブラウン、シーウィンド、ブレバタなどを満載して、海を見に始終通ってました。
サーフィンはやりませんでしたね。

歳を経って、家庭を築くと、そんな悠長なことをやってる暇はないけれど、いま、そこそこにオヤジになって、誰もかまってくれなくなってみると、かつての行動をなぞるような、そんな余裕が生まれます。

Bozz


   「 WE’RE ALL ALONE」  Boz Scaggs

今日は、ちょいと、クラシカルから踏み出して、アメリカンなポップソングを。

連休に実家にあったCDを持って帰ってきました。

ポップといいましても、当時は、アダルト・オリエント・ロックな領域として、AORというジャンルが創出されまして、その代表格が、ボズ・スキャグスなのでありました。

アメリカから祖父母の故郷スウェーデンにわたり、そこで学生兼ミュージシャンとしてスタート。
以降、各地を駆け巡り、帰国後は、サンフランシスコに住みつき、活動開始。

そして、大ヒットを飛ばしたのが、今宵のレコード「SILK DEGREES」(シルク・ディグリース)で、1976年のこと。

わたくしは、大学生になったばかり。

クラシックばかりでなく、旺盛な音楽への好奇心でもって、また、友人たちにも影響されたりして、毎週日曜の夕方のNHKFMの全米ヒット曲を録音しては、好きな曲をどんどん増やしていったものです。
懐かしいな。

まだ、若い、ジャケットのボズ。

海を前にしたベンチに、避けるような横顔、そして赤いマニュキュアの指先。
裏ジャケは、ボズはいなくなって、ベンチにはマニキュアのお手々のみ。
これを別れと見るか、あらたな旅立ちとみるか・・・。
いろんな思いの去来する、ナイスなジャケットに思いますよ。

全部で10曲、曲の配置もよくって、レコードでいえば、A面とB面がきれいに按配されてる。
ファンキーなナンバーから、カントリーっぽい曲、ロックな曲と続いて、面の最後はスロー・バラード。
すなわち、5曲目と10曲目がスロー・ナンバー。

クラシカルなわたくしには、そのふたつが、たまらなく魅力でした。
それこそ、海を見ながら、波音を聴きつつ、潮風を感じるようなナンバーだったから、いつも海への散歩のお伴には、この2曲。

「Harbor Light」 と 「We're all Alone」。

前者は、クラシカルなわたくしから言わせていただくと、その詩の内容は、まるで、シューベルトの「美しき水車屋の娘」。
放浪する男が、港を舞台にひとりの女性を恋し、寂しくも焦がれる。
それが女々しいドラマじゃなくって、スマートで、男の哀愁ただよう後ろ姿みたいに渋いんですよ。
この曲、若い日々に、何度聴いたかわからない。
どんなシテュエーションだったかは、それは思いだせないけど、いろんな想いが走馬灯のようにめぐります。

そして、最後の「We're all Alone」。
単純に訳すと、「みんな、ひとりぼっち」ということになりますが、多々書かれているとおり、allをaloneの強調語としてとらえると、そういうことになります。
 ですが、本来は、「ふたりきり」というのが真意。
歌詞の内容も、そんな風になっていて、ちょっと甘々のラブソングになってるんです。

加えて、これもネットを叩けばたくさん書いてありますが、この曲をカヴァーした、リタ・クーリッジは、歌詞の内容を少し変えて、「みんな、ひとりぼっち」ということで歌いました。
ちなみに、リタ・クーリッジといえば、この曲というより、わたくしは、「Higher and higher」が大好きでしたね。

 言葉の雰囲気と曲とが、完璧に符合していて、哀しいけれど、優しい気持ちにさせてくれます。

ほんとうに、久しぶりに聴いたボズのアルバム。
バックも素晴らしくって、彼らが、のちに「TOTO」になっていくんですね。

70~80年代感満載ですが、わたくしには、かけがえのない思い出のたくさん詰まった時代と、その音楽たちなのでした。

また、実家の海に帰りたくなった。

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コメント

yokochanさん

 これ、私も個人的な思い出の為大好きで、今も時々、特に夜寝る前に聴いています。私はこの分野は全く知らないので、このボズ・スキャッグスという人、今どうしているのか知りませんが。まあ、実はこの人の名前を知ったのが、お恥ずかしい話ですが「空耳アワー」でだったもので。
「我々は皆ひとりぼっち」という訳なら良いのかな?

投稿: 安倍禮爾 | 2014年5月14日 (水) 12時12分

ブリティッシュ・ロックばかりと思っておりましたが、いやぁ奇遇です。僕も大好き。
何といってもメロディがいいし、詞の内容も。ピアノ・アレンジを時折弾いてます。
今のボズ、すっかりおじいちゃんにななってしまってますが、R&Bやジャズを歌ってますね。

投稿: IANIS | 2014年5月14日 (水) 14時04分

 お久しぶりです。 アバド・ファンの新潟のbeaverです。
 私も海が大好きで、国内・国外とお気に入りの海岸を探し、旅しています。(そんなにしばしばではありませんが。)そしてボズ・スキャグスも昔からのファンでDown Two By the Leftの頃は高校生でしたが、LPを買い、よく聞きました。hard timesが名曲です。Silk Degreesも、記事の通りの名盤・名曲ですがLow DownとIt's overもお薦めです。
 確か1年半前にスティーリー・ダンやマイケル・マクドナルド(ex.Doobie Brothers)との来日公演を武道館で聞きました。まだまだ現役でボズは活躍中です。ボズのWe are all alone.などのバラードを聞いて夜の時間を過ごすのもまたとてもくつろぎます。
 ところでアバドももちろん聞いています。ロンドン交響楽団とのビゼーの「アルルの女」の光のようなまぶしい音も私にはこの上もない贅沢です。
 ボズと聞いて、すぐに反応してこんなに書かせていただきました。しかし、本当にブログ主さんの音楽のカバー範囲は広いですね。感嘆!

投稿: 新潟のbeaver | 2014年5月14日 (水) 20時56分

安倍禮爾さん、こんにちは。
この曲には、ファンが多いですね。
びっくりでした。
それだけ、ジャンルを問わない名曲といえるのでしょうね。
ほかの皆さまのお話のとおり、ボズは、いまだ現役で、新譜もまだ出しているようです。

「我々は皆ひとりぼっち」というタイトルの方が、ほんとは相応しいように思いますが、詞の内容はそうではありませんところが、ちょっとまたいいところですね。

投稿: yokochan | 2014年5月14日 (水) 22時19分

IANISさん、こんばんは。
IANIS兄の守備範囲の広さもすごいもんですね。

アメリカは、とくにウェストコースト系は大好きですよ。
こうして久しぶりに聴くと、ボズの歌声は、実に素晴らしいし、歌唱力も幅広く豊かです。
いつまでも元気に歌っていて欲しいボズですね。

投稿: yokochan | 2014年5月14日 (水) 22時25分

新潟のbeaverさん、こんにちは。
こちらにもまた、海好き、そしてボズ好きがいらっしゃいました!

なんだか、たくさんコメントいただいてうれしいです。

このレコードに入ってる「ロウ・ダウン」は、一番先に好きになった曲です。
全体の選曲とバランスが、名盤と呼ぶに相応しい存在の1枚ですね。
ハードタイムズも単品ですが聴いてましたね。
あと、少しあとですが、Heart of meinです。

スティーリー・ダンに、マイケル・マクドナルドですか。
これはまた懐かしい名前だし、この方々での来日公演を聴かれたのですか!
いやはや、いいですね。
さすがに、この歳になると、クラシック以外のコンサートには、ちょっと躊躇してしまいますが、懐かしい声を聴けるのなら、と思ったりもします。

アバドのビゼー、しかもLSOとのあの1枚は、アバドの輝かしい頃の最高の演奏ですね。
ゴッホの絵のジャケットも忘れがたいです。

投稿: yokochan | 2014年5月14日 (水) 22時38分

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