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2014年8月24日 (日)

ダンディ フランスの山人の歌による交響曲 ミュンシュ指揮

Azumayama_201408_9

遠景に雲のかかった富士をいただき、手前には、早咲きのコスモス。

いつもはもっと咲いてるはずなのに、今年はちょっと少なめ。

菜の花に、コスモス、維持管理はたいへんでしょうが、がんばってくださいね、町の人。

昔から、富士山の頭に雲がかかると、風が強くなると言われていたけれど、朝に見たこの富士のとおり、この日は熱風のような風が吹きました。

Munch

  ダンディ 「フランスの山人の歌による交響曲」

       Pf:ニコレ・アンリオ=シュヴァイツァー

    シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団

                   (1958.3 @ボストン)


夏のリゾート系、さわやかミュージックシリーズ。

アルプス交響曲は、ロスフィル・シリーズで、とりあげたばっかりなので、山といえば、その双璧をなす、ダンディの桂作を。

ヴァンサン・ダンディ(1851~1931)は、生粋のパリっ子、フランスの作曲家です。

なかなかの多作家で、ウィキによれば、交響曲は5つ、オペラは6つのほか、すべてのジャンルにその作品を残しているんです。
しかし、そのほとんどが聴かれることなく、唯一、有名なのが、今日のこの不思議なタイトルを持つ交響曲と、管弦楽曲のいくつか。
 わたしのCD棚にも、この曲と、デルヴォーの指揮した2枚の管弦楽曲集のみ。
後輩のラヴェルにすべての点で後塵を拝することとなってしまってます。
 なんたって、前にも書いたけど、フルネームで検索かけなくては、オシャレな意味でのダンディと、芸人のダンディしか出てこないんだから。

音源も調べてみたら、室内作品と器楽があと出てるくらい。
気になるオペラに関しては、まったくない模様で、やはり、いまのところ、ダンディさんといえば、この素敵な交響曲を聴いて、ほかの作品への想像力をたくましくするしかないのです。

そんなわけで、ちょっと手抜きで、前に取り上げた、デュトワ盤の記事のコピペをいたします。

>ピアノソロを伴った交響曲はユニークで、協奏曲のようにピアノ主体でもなく、ピアノもオーケストラの一員でるかのような、ピアノ付きオーケストラのための交響曲といった感じだ。

ダンディもこの時代のフランス系の作曲家の例にもれず、フランク一派に属し、この交響曲も3楽章形式で、循環主題をもとにした構成となっている。

ダンディは子供時代から慣れ親しんできた、セヴェンヌの山々を思い、その麓のペリエに滞在しつつ、この作品を書いた。そこで知った牧歌がこの曲のイメージとなっており、この曲は「セヴェンヌ交響曲」とも呼ばれている。
ピレネー山脈の一角、ギザギザした高原のような高い山々が続く場所みたい。

冒頭、イングリュシュ・ホルンの懐かしい旋律が、弦楽のたおやかな背景の上に奏でられると、部屋の温度はもうマイナス3度はクールダウンする。
ともかくさわやかな第1楽章。山々の描写的な音楽であるとともに、とても感覚的な音楽でもある。
 柔らかで牧歌的な第2楽章は、木陰でのんびり昼寝をきめ込むのにうってつけの音楽。
そして、リズミカルな終楽章を聴いているとグリーグの協奏曲かと思うくらいに爽快な気分に満たされる。この楽章は、全曲の総括のようにあらゆる旋律が繰り出され完結感もばっちりだし、軽く炭酸の利いた清涼飲料水を飲んだかのような心地よさに満たされてしまう<

久しぶりに聴いたのだけれど、この印象のとおり。

イングリッシュ・ホルンの懐かしい旋律に、山々にこだまする牧童の笛の音を感じ、やがて、日が昇ってきて、湧き立つようなオーケストラにわくわくする。
この冒頭部分は、ほんとうに素晴らしい。
全編にわたって、でしゃばりすぎない流麗なピアノが清々しい。

これ1曲でダンディを語るのもなんですが、それでもいいかと思える良き作品です。

この曲を世に広めた録音が、ミュンシュのこの1枚。
録音年代から、ちょっと鄙びた感のある音が、また実にいい雰囲気を出してる。
音楽の線が、くっきり明快なのは、ミュンシュならでは。

気持ちのいい音楽で、今朝もすっきり爽快です。

Cevennes

広いものの画像ですが、フランス中南部の広大なセヴェンヌ山脈。

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コメント

このCDは凄いです。ミュンシュのショーソンと山人に加え、オイストラフを迎えた詩曲も付いて、定価でもわずか1,200円。しかも、1960年頃としては、録音も鮮明です。私の愛聴盤です。

投稿: faurebrahms | 2014年8月25日 (月) 22時45分

faurebrahmsさん、こんにちは。
そうなんですよね、このCDには、ショーソンの2曲が、もったいなくもメインで入ってますね。
レコード時代は、詩曲との組み合わせだったように記憶してます。
永遠の名盤ですね。

投稿: yokochan | 2014年8月28日 (木) 08時23分

ダンディはこの作品、デュカスは『魔法使いの弟子』のみが反射的に浮かぶ状態は、些か寂しく存じます。愚生が日頃聴いておりますのは、カサドジュスのソロ、オーマンディ&フィラデルフィアOのCBS原盤のディスクであります。タワレコ・スペシャル・セレクション・シリーズで出して下さった国内盤でありますが、ロベール氏の洒落て作品の妙味を掴んだ弾きっぷり、ユージンお爺様の雰囲気豊かなバック、満足です。

投稿: 覆面吾郎 | 2020年12月 6日 (日) 11時51分

カサドシュとオーマンディの演奏、ありましたね。
CBS時代のオーマンディ、まだまだ掘りこされてない音盤があります。
 ダンディのオペラを先だって聴きましたが、長大で濃厚、ワーグナーそのものではまりました!

投稿: yokochan | 2020年12月 9日 (水) 08時45分

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