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2014年9月19日 (金)

ガーシュイン&バーンスタイン 神奈川フィル定期前夜祭

Kanapfill201409

  ガーシュイン    「キューバ序曲」

              「パリのアメリカ人」

  バーンスタイン   交響曲第2番「不安の時代」

          Pf:三舩 優子

    キンボー・イシイ 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

      2014年9月20日 土曜日 14:00 みなとみらいホール


先月のグラズノフ&チャイコフスキーのロシアン・プログラムに続いて、今月は、うってかわって、アメリカン・プログラム。
いい演目でしょ。

イシイさんは、これで定期3度目の登場。
いよいよ本領発揮の曲目たち。
日本、ウィーン、アメリカで学び、米楽壇を中心に活躍する一方、日本各地のオケに客演、そして、ドイツの名門マグデブルグ劇場の指揮者もつとめるオペラ指揮者でもあります。
これまで、のびのびと、大らかな音楽を作りつつも、知的なサウンドも聴かせてくれました。
 そして、イシイさんと同じく、ジュリアードで学んだ三舩さんのピアノ。
複雑な表情を見せるバーンスタインのピアノ協奏曲のような第2交響曲。
ピアニストにとっても難曲だと思います。
三舩さんの、幅広い表現が聴けることでしょうね、楽しみ。

ということで、これらの曲を、手持ち音源で。

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  ガーシュイン 「キューバ序曲」&「パリのアメリカ人」

   ロリン・マゼール指揮 クリーヴランド管弦楽団


これらの曲の初レコードがこれでした。
「ラプソディ・イン・ブルー」も含めた1枚は、高校~大学時代、すり減るほどに聴いたものです。

録音から誉めるのもなんですが、ともかく、デッカの優秀録音で、音が極めてよかった。
どんな安い装置でも、肉厚に、輝かしく、ゴージャスに鳴りました。
そう、演奏もまさにそうで、セルのクリーヴランドが、マゼールのノリのいい指揮によって、アメリカのバリバリのオーケストラであることを強く認識させてくれました。
 でも、決して崩すことなく、正統クラシックとしての格調をすら感じさせる生真面目ぶりもあるんです。

亡きマゼール、面白い指揮者でした。
「ポーギーとベス」は、まだ未聴ながら、これらガーシュインの演奏は、マゼールの最大の遺産のひとつではないかと思ってます。

これらの曲、もちろん、バーンスタイン、プレヴィンも素晴らしいですな!

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  バーンスタイン 交響曲第2番「不安の時代」

       Pf:ジェームズ・トッコ

    レナート・スラトキン指揮 BBC交響楽団


シリアス・バーンスタインの顔がしっかりうかがわれる3つの交響曲。

「エレミア」に「カディッシュ」いずれもほかのふたつは、ユダヤ色が濃厚で、その内容も同様に濃くて、重い。

これまた中学生のころ、テレビで、バーンスタインのニューヨーク時代の連続テレビ番組を、毎土曜日だったか、見ておりました。
DVDにもなってますが、モノクロの映像で、MCとしてのバーンスタインの才能が炸裂してて、作曲家・指揮者・ピアニストにプラスMC、いや、教育者と呼ぶべきか、そんな風に思える番組でした。

そこでの縦横無尽の明るい指揮ぶりは、お馴染みのジャンプもまじえて、こちらには、楽天的なアメリカーーンとしての、レニーの印象を刻みつけるものばかりでした。

しかし、彼の残した音楽はどうでしょう。

表面的には、「キャンディード」は明るく華美で、「ウェストサイド」はメロディ満載でロマンティック。
でも、「キャンディード」のドラマは荒唐無稽だけど壮大で、感動的な人間ドラマです。
そして、「ウェストサイド」は、現代のロメジュリで、悲劇とそれがもたらす和解と平和。

そんな風に、バーンスタインの音楽には、大きな人間愛に満ち溢れているのです。
それを表出するために、宗教観や、シリアスな世界観を経ることになるのだと思います。

晩年に、その指揮する音楽は、とかく粘着的になり、テンポも遅くなっていったバーンスタインですが、自身が思うところの「愛」を必死に模索していたのではないかと。

曲の内容につきましては、神奈川フィルの応援フェイスブックに書きましたので、そちらのリンクを貼って、この場はしのぎたいと思います。
記事の一番下に貼っておきます。

バーンスタインの自作は、かつては、それこそ自演のものしか聴くことができなかった。
それが、いまや、そのシリアスな作品たちが、大いに評価されるようになり、「バーンスタイン指揮」というカテゴリーを離れて、客観的な解釈による他の指揮者によるものが、聴かれるようになりました。
このようにして、レニーの作品は、広く認知されていくのでしょうね。
 同時代人、ベンジャミン・ブリテンの音楽にも、まったく同じことが言えます。
そういえば、ブリテンも、作曲家・指揮者・ピアニストでした。
おまけに、○モという共通項も。
もちろん、レニーは、両刀使いでしたが・・・・・・。

最後に、格調が低くなりました。

スラトキンとBBCの演奏は、ほどよく熱くて、ほどよく冷静なところが実にいいです。
ふたつある自演盤も、もちろん聴いてますが、ちょっと疲れちゃうかも。

https://www.facebook.com/notes/we-love-%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB/%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB-%E7%AC%AC302%E5%9B%9E%E5%AE%9A%E6%9C%9F%E3%81%AB%E5%90%91%E3%81%91%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%81%8A%E5%8B%89%E5%BC%B7-%EF%BC%93%E6%99%82%E9%99%90%E7%9B%AE-%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC%EF%BC%92%E7%95%AA%E4%B8%8D%E5%AE%89%E3%81%AE%E6%99%82%E4%BB%A3/746982172004946



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コメント

今日は。演奏会観劇お疲れ様でした。前回のグラズノフ&チャイコと言い今回のガーシュウィン&バンスタと言い、越の国という日本海側のそれも吸収合併を繰り返して大きくなった長岡市の辺境なぞに住んでいる小生から見るとよだれが出るような万華鏡のみたいに多彩で楽しそうな演目の演奏会ばかりですね、神奈川フィルは。羨ましい限りです。私が持っているパリのアメリカ人は、レニーとメータ、キューバ序曲はメータのみです。どちらも非常に楽しい曲ですが、ラプソディ・イン・ブルーとこの2曲ぐらいでガーシュウィンをジャズとクラシックを折衷させただけの二流作曲家と断定する人を見るといつもムカつきます。それに腹を立ててポーギーの世界初の全曲盤をクリーブランドで録音したマゼールの気持ち、わかります。ポーギーや、ガール・クレイジー、オーケイ!、ストライク・アップ・ザ・バンドといったオペラやミュージカルの傑作を聴かないと天才ガーシュウィンの本当の凄さは分らないと言わねばなりません。ミュージカルは、ジョン・モーセリのCDで私は聴いております。イシイさんはまだお若いですが、非常に才能のある方のようですね。レニーの曲のレコードが作曲者自演ばかりではなくなったのは素晴らしいことだというブログ主様の意見には全く同意です。MTT、ケント・ナガノ、ラトルなどがいい演奏をレニーの曲でしてますものね。ケネス・シャーマーホーンがナッシュヴィルのオケを指揮したナクソス盤のウェストサイド全曲が隠れた名CDです。レニー自演が出演歌手が豪華すぎて仰々しい感じがするという方にはこのCDがおすすめです。話題が変わりますがマリナーのフーガの技法を入手されたとのこと。おめでとうございます。フーガの技法のブログ主様の楽しくて勉強になる記事が早く読みたいところです!

投稿: 越後のオックス | 2014年9月20日 (土) 10時41分

越後のオックスさん、こんにちは。
土曜日に聴いてまいりました。
やはり、生で、オーケストラを眼前にして聴くことで、あらたな発見や、見直しなどが多々ありました。
聴き慣れたガーシュインが以外や渋い音楽であることも、そして、バーンスタインの作品が緻密な構成に溢れていることも、今回は感じ入りました。

バッハは、もう少し寒くなってからにしたいと思ってます。

投稿: yokochan | 2014年9月23日 (火) 14時28分

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