ベルリオーズ 幻想交響曲 スラトキン指揮
超、遅ればせながら、10月の小便小僧。
ハロウィンがテーマです。
迂闊にも忘れてましたが、ハロウィンだったので、ぎりぎり、当日に、しかも、魑魅魍魎のヴァルプルギスの宴、幻想交響曲こそ、相応しい、ということで
今回も、力のこもった、まさにコスプレ仮装は、ほんとに見事です。
前後左右、完璧ですね。
ベルリオーズ 幻想交響曲
レナード・スラトキン指揮 リヨン国立管弦楽団
(2011.8,9 @リヨン)
幻想交響曲の聴きどころは、幾多あれど、やはり衆目の多くは、最後の楽章の魔女たちを始めとする魑魅魍魎たちの宴の場面で、最後に激していって、爆発的に終焉を迎えるところかと。
わたくしも、最後にそれがあるから、それまでの、恋模様・夢・舞踏会・のどかな田園風景・処刑といった各場面が、それぞれに光彩を放って活きてくるのを楽しめるわけです。
ベートーヴェンの第9から6年後にあるベルリオーズの「幻想」は、多彩な楽器を、それこそ多彩な奏法を駆使しつつ、とうてい6年後とは思えない別次元の響きでもって存在します。
ベルリオーズの革新性に、その年月を思うと、いつも驚きです。
しかも、ライトモティーフの走りとも呼ぶべき、統一主題の巧みな使用と、繊細で、リリカルな歌心も併せ持ったオーケストレーション。
何度も聴いて、聴きあきないのが、ベルリオーズの、そして幻想の魅力であります。
もちろん、ロミオも、ファウストも、レクイエムも好きですが、長さ的に、そう何度も聴けるものではありません。
オペラ、トロイ人にチャレンジ中ですが、あれはまた長大すぎて、まだ全貌をつかめません。
いずれにせよ、おもろい作曲家ベルリオーズなんです。
スラトキンが、二世指揮者として、彗星のように登場したのは、70年代後半。
セントルイス響を鍛え上げて、アメリカのメジャー5大オケに次ぐとまで言われるようにしてしまった。
その後に、N響に客演して、鮮やかな日本デビュー。
ラフマニノフ2番、マーラー、ショスタコ、そして幻想と、メリハリと元気のいい爆発的な指揮でもって、わたくしは、テレビにくぎ付けになりましたね。
そのスラトキンが、N響の音楽監督候補のひとりに名があがり、最終的にはデュトワになったことも、よく覚えてます。
スラトキンは、どうも、大きなメジャー・ポストには、無欲(無縁)のようで、セントルイス後も、ニューヨークフィルで名があがりながらも、ワシントン・ナショナル響、BBC響、ナッシュビル響、デトロイト響、そして、リヨン管という就任歴を持ってます。
器用すぎるのと、厳しすぎるのがいけないのかしら?
そのスラトキンも、もう70歳。
かつての俊敏さに加えて、この録音では、じっくりとした語り口の味わい深さを、野の情景に感じますし、ちょっとしたフレーズでも、手を抜かず、ハッとするような切り口でもって新鮮さを聴き手に与えてくれます。
南仏のオケでありながら、ちょっと渋い幻想に仕上がった感もありますよ。
そして、もっと暴れてもよかったかも・・・
コルネット付きの、第2楽章が、別トラックに収録してありまして、そちらの華やかさが妙に浮き立っているのも、面白いものでした。
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