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2014年10月23日 (木)

東京都交響楽団演奏会 ブラビンス指揮

Suntry

アーク・カラヤン広場を見渡してみました。

いまさらながらの光景ですが、調和のとれた景色ですな。

サントリーホールには、こちら側から。アプローチすることが多いですが、コンサートへのワクワク感が、ほんの少しの距離ですが、増す、そんな広場の空間であります。

Metorso_2

  ヴォーン・ウィリアムズ ノフォーク・ラプソディ第1番

  ブリテン          ピアノ協奏曲 op13

            ピアノ:ステーヴン・オズボーン(※)

  ウォルトン         交響曲第2番

    マーティン・ブラビンズ指揮 東京都交響楽団

                    (2014.10.20@サントリーホール)

  ※アンコール  ドビュッシー 前奏曲集第2巻 第10番「カノープ」


都響の会員ではございません。

神奈川フィル一途の昨今。

ただし、演目によって各オケに登場するわたくし。

そして、ご覧ください、このプログラム。

しかも、指揮には、英国のブラビンズ氏。
トムソン、ハンドレー、ヒコックス亡きあと、英国音楽の指揮者の伝統を受け継いでゆくべき人と、思っております。
その氏が、名古屋フィルの指揮者になったと聞いたときは、びっくりしました。
CDも、そこそこ所有してまして、それらは、いずれも珍しい曲目ばかりなところも、実に気に入ってました。
なかでも、コルンゴルトのオペラ「カトリーン」は、わたくしの大フェイバリットのひと組です。

 そんなこんなで、あるブログ仲間の方からは、○○さんのためにあるような・・・的なコメントも頂戴しまして、ウキウキほいほいで、サントリーホールにまいりました。

まずは、RVWのステキな一品、ヴィオラソロもいかにもVWな音楽。
かつて、現田さんの指揮で、聴いたことがあります。
懐かしくも、牧歌的な音楽は、民謡採取に情熱を注いだVWらしく、古風な佇まいさえも感じさせ、聴くわたくしたちを遠く目線にさせてしまう。
中間部の元気な場面との対比も明確で、ブラビンズの明快な音楽造りが際立ちました。

1曲目から、いい気分にさせていただきました。

そして、ブリテンの若書きの大作、ピアノ協奏曲。
ブリテン大好きのわたくしですが、この曲は、もっとも苦手で、唯一所有するCDを聴いて、何度か記事にしようと思ったけれど、どうにも書けなかった。
 そう、ブリテンらしさが感じなくて、さっぱり捉えどころがないのでした。
ラヴェルっぽくて、ショスタコみたいだし、プロコフィエフでもあり・・・。

今回、実演に接し、この曲が、近くに感じ、見えてきた感じで、帰宅後、CDを聴き返したとき、あそこはこんな風に弾いてたとか、オケはこんなだった、とか思い返すこともできて、曲への親しみを持つことにつながりました。

ですが、後年の厳しさと、クールさ、優しさが、それぞれ相混じったブリテンの音楽スタイルからすると、やはり弱いと思ったりもしてます。

ラヴェル風の元気のいい1楽章では、この日のソロ、オズボーンさんの、目にも鮮やかな超絶技巧に魅惑されました。
楽章の終わりの方の木管の動きに、ブリテンらしさを感じます。
 2楽章は、お洒落なワルツ。ここでもヴィオラソロが決め手で、さすがに店村さん、素晴らしい。
オケの全奏を伴いつつ奏でる中間部のワルツは、実に心地よく、体が動きそうになりました。
 一転、晦渋な雰囲気の3楽章は、沈鬱な気分にしてくれましたが、終わりの方に、ブリテンらしいヒンヤリムードが醸し出されて、いい感じになれました。
さらにまた転じて陽気な旋律が忘れられなくなる終楽章では、ブラスも打楽器も大活躍、ピアノもバリバリ。

 しかし見事なお手前だったスコットランド出身のオズボーンさんのピアノ。
完全に、この難解至極な曲を手のうちに入れてる。
表現の幅が極めて大きく、かつ繊細さも。
そんな彼の個性がさらに発揮されたのは、アンコールのドビュッシー。
このガラスのように繊細な曲を、さらに透き通るような音色で、絶妙なタッチで演奏して、満場のホールを、シーンとさせてしまった。
調べたら、ブリテンも、フランスものも、お得意なようですね。
気にいりました、オズボーンさん。

 さて、後半は、タイム的には30分と、ちょっとものたりないけれど、ゴージャスで、オケががんがん鳴るウォルトンの2番。
1番は有名ですが、2番は、めったに演奏されない。
セルの演奏がかつては有名でしたが、わたくしは、入手しやすいプレヴィン盤のみ。

今宵のブラビンズさんは、1番とカップリングした録音を残しているので、今度手にいれましょう。

さて、コンパクトな外観に関わらず、この1960年の作品は、保守的でありながら、その豪放でかつ、ゴージャスサウンドは、かつてはともかく、いまでこそ受ける類の音楽だと思います。
事実、ほとんどの方が初聴きだったかもしれない、この日。
演奏終了後、ブラボーの大歓声で、ブラビンズ氏は、何度もステージに呼び返され、最後には、ウォルトンのスコアを高く掲げ、自分の胸に抱きしめるという、ナイスなパフォーマンスまで見せてくれるというありさまになりました。

そう、ほんとに、すごいかっこいい曲であり、完全無比の演奏でした。
さすが都響の緻密さと、そのパワーは素晴らしい。
それを縦横に引き出したブラビンズさんの、的確かつ熱い指揮ぶりにも感嘆。

緊張感と切迫感あふれる第1楽章は、ウォルトンならではの疾走感がたまらない魅力。
 そして、一番ステキなのが2楽章。
この日のコンサートで、一番楽しみにしていた楽章です。
抒情と情熱が、入り混じった、クール・ビューティなブルー系のサウンドは、ウォルトンが得意とした銀幕の音楽にも通じるものがあります。
陶然とした気分で、この楽章に酔いしれてしまったワタクシです。
 転じて、これまた豪快かつ緻密・繊細で、多彩な音色や響きが楽しめる終楽章。
12音によるパッサカリア形式といいますが、そんなことは、あまり気にせず、音楽が変転しまくるさまを楽しみました。
エンディングも、チョーかっこエエ

名古屋フィルが羨ましく思えたブラビンズさんの、都響客演です。

あと、ウォルトン1番をメインに据えた、もう一夜のブリティッシュプログラムもまいります
  

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