ロマンティックチェロ 迫本章子チェロリサイタル2014
色づく秋も、もうじきおしまい。
こんな彫像がある公園を抜けて、去りゆく秋に相応しいチェロの調べを聴いてまいりました。
神奈川フィルのチェロ奏者であります、迫本章子さんの、今回で11回目となります、ロマンティック・チェロと題されたコンサートです。
茗荷谷の駅を降りて、さきの写真のとおりの場所を抜けて、閑静な場所にある親密感あふれる素敵なホールへは、これで3度目。
響きもよくて、奥の中庭に四季おりおりの光景を臨めます。
リスト 忘れられたロマンス
〃 ニンネヴェルスの部屋
ショパン ノクターン ハ短調 op48-1 (ピアノ)
メンデルスゾーン 無言歌 op109
シューマン 幻想小曲集 op73
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パラディス シシリアーノ
サン=サーンス アレグロ・アパッショナート
ルービンシュタイン ヘ調のメロディ
ラフマニノフ ヴォカリーズ
ショパン 序奏と華麗なるポロネーズ
〃 子犬のワルツ(ピアノ)~アンコール
サティ ジュ・トゥ・ヴ ~アンコール
チェロ:迫本 章子
ピアノ:西畑 久美子
(2014.11.16 @ラリール)
今回のプログラムのテーマは、作曲家であり、ピアニストであった人たちの作品。
おぉ、なるほどです。
しかも、チェロ作品なのですから、珍しさも手伝って、興味深々
いつも静かに、そして、おおらかに、神奈川フィルのチェロセクションで弾いていらっしゃる迫本さん。
ソロでは、そうした面とともに、もっと強い音と、思わぬ大胆さも弾き出してまして、前回も感じたバリバリ系。
ですが、今回は、女性ならではのしっとり感も随所に感じました。
曲ごとに、丁寧な解説をいただきました。
珍しいリスト作品。いずれも、歌曲から、自身で編み出した作品ですが、やはりピアノが、まともにリスト。
超絶じゃなくて、抒情の人、リストの方です。
そんな素敵なピアノにのって、チェロはロマンティックなフレーズが満載。
ワーグナーの義親だったリストが、夢見ごこちに、ローエングリンを指揮してるような、そんな光景を思ったのですよ。
リストは、リスト、そんな感じ。
迫本さん、最初だから、ちょっと緊張してたかな。
ついで、長くペアを組んでらっしゃる西畑さんのソロで、ショパン。
これは、深かった。
そして、心動かされました。
音楽の容を借りて、表出する、自身の心情の大いなる吐露。
これを聴いて、涙する方も何人もいらっしゃいました。
わたくしも、だめでした・・・。
入魂の演奏。
迫本さんと、西畑さんの、暖かな結びつきも、ここに感じて、涙腺やぶけちゃいましたよ。
さて、音楽は、一転ムードを替えて、明るいメンデルスゾーンで、歌心を満喫。
そして、たしかに、シューマン。
シューマンのロマンティシズムと、メンデルスゾーンやリストとも違った歌を聴きとり、楽しめました。
緊張からも解放され、このあたりから、聴き手も、演奏者もリラックスムードでした。
お外で、空気を吸って、さて、後半。
パラディスのシシリアーノ、知らない人かと思ったら、帰宅してCDみたら、迫本さんのソロCDに収録されてました。
失礼をばいたしました。
モーツァルト時代の、盲目の女流音楽家とのお話でしたが、シンプルで、優しいメロディが麗しかったです。
でも、作曲の真偽も、いまでは不確かともいわれているそうで・・・
快活さと、奔放さを併せ持つサン=サーンス作品は、もっと爆発してもよかったかもしれませんが、フランスの作曲家を意識させる展開もあり、おもしろかったです。
そして、お話を聴いて、いろんなルービンシュテインの名前が、ぐるぐる頭をこだましましたが、その音楽を聴いて、懐かしさを覚えたのは、わたくしばかりではないでしょう。
ノスタルジー誘う、優しいメロディを、迫本さんと、西畑さんは、実に美しく演奏してくれました。
そして、これは、NHKFMの、音楽番組のテーマ曲でした。
いいなぁ~
そして、「ロマンティック・チェロ」の名が、まさに相応しい、ラフマニノフのヴォカリーズ。
ソプラノの冷凛たるアカペラで聴くのもクールでいいですが、こうして、むしろ、より人の声に近いチェロの調べで聴くのも、暖かくて、柔らかくていいものでした。
艶のある響きもいいですね。
まぎれもなく、彼女のチェロから、神奈川フィルの音色が流れだしてます。
オケの一員の方の演奏を聴いて、昨日聴いた、そのオケの音色を思うという、この贅沢な喜び。
神奈川フィルの応援団として、とってもうれしかったです。
これまで、何人もの、ソロや室内演奏を聴いてきましたが、その点は、どなたも、まぎれもない共通の音色をもってらっしゃるように思います。
ただ、女性は、より男前で、男性は、より繊細で・・・(怒られちゃうかな)
最後は、チェロもピアノも、まさにショパンを感じさせる曲。
大人しめのチェロパートを、世紀末チェリスト兼作曲のポッパーが補筆して、ゴージャスに仕上げたバージョンとのこと。
いはやは、華やかかつ、見応え、聴き応えがありましたね。
譜面台を横にどけて、迫本さんは、曲に夢中になって、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
おふたりの、息のあった競演ぶりも、実に楽しかったです。
おっきな拍手が巻き起こりました!
おしゃれな、ふたつのアンコールも、とっても洒落ていて、巧みな2曲の選択ではなかってでしょうか。
サティの曲には、思わず、鼻歌が出そうに・・・・
欲を言えば、あのサティの曲を聴きながら、終演後、みなさまに振る舞われた白ワインを(ジュースとお茶も)嗜みたかったものです(笑)。
今回も、いつもの神奈川フィル応援の仲間と、席を並べて、とても楽しく拝聴することができました、
おふたり、ありがとうございました。
それと、ご主人の巧みなサポートにも拍手を!
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