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2014年11月17日 (月)

ロマンティックチェロ 迫本章子チェロリサイタル2014

Myougadani

色づく秋も、もうじきおしまい。

こんな彫像がある公園を抜けて、去りゆく秋に相応しいチェロの調べを聴いてまいりました。

Sakomoto

 神奈川フィルのチェロ奏者であります、迫本章子さんの、今回で11回目となります、ロマンティック・チェロと題されたコンサートです。

茗荷谷の駅を降りて、さきの写真のとおりの場所を抜けて、閑静な場所にある親密感あふれる素敵なホールへは、これで3度目。

響きもよくて、奥の中庭に四季おりおりの光景を臨めます。

  リスト                 忘れられたロマンス

   〃                   ニンネヴェルスの部屋

  ショパン                ノクターン ハ短調 op48-1 (ピアノ)

  メンデルスゾーン     無言歌 op109

  シューマン         幻想小曲集 op73

  -----------------

  パラディス         シシリアーノ

  サン=サーンス      アレグロ・アパッショナート

  ルービンシュタイン  ヘ調のメロディ

  ラフマニノフ       ヴォカリーズ

  ショパン         序奏と華麗なるポロネーズ

    〃           子犬のワルツ(ピアノ)~アンコール

  サティ           ジュ・トゥ・ヴ       ~アンコール

          チェロ:迫本 章子

          ピアノ:西畑 久美子

                (2014.11.16 @ラリール)


今回のプログラムのテーマは、作曲家であり、ピアニストであった人たちの作品。

おぉ、なるほどです。

しかも、チェロ作品なのですから、珍しさも手伝って、興味深々

いつも静かに、そして、おおらかに、神奈川フィルのチェロセクションで弾いていらっしゃる迫本さん。
ソロでは、そうした面とともに、もっと強い音と、思わぬ大胆さも弾き出してまして、前回も感じたバリバリ系。
ですが、今回は、女性ならではのしっとり感も随所に感じました。

曲ごとに、丁寧な解説をいただきました。

 珍しいリスト作品。いずれも、歌曲から、自身で編み出した作品ですが、やはりピアノが、まともにリスト。
超絶じゃなくて、抒情の人、リストの方です。
そんな素敵なピアノにのって、チェロはロマンティックなフレーズが満載。
ワーグナーの義親だったリストが、夢見ごこちに、ローエングリンを指揮してるような、そんな光景を思ったのですよ。
リストは、リスト、そんな感じ。
 迫本さん、最初だから、ちょっと緊張してたかな。

ついで、長くペアを組んでらっしゃる西畑さんのソロで、ショパン。

これは、深かった。
そして、心動かされました。
音楽の容を借りて、表出する、自身の心情の大いなる吐露。
これを聴いて、涙する方も何人もいらっしゃいました。
わたくしも、だめでした・・・。
入魂の演奏。

迫本さんと、西畑さんの、暖かな結びつきも、ここに感じて、涙腺やぶけちゃいましたよ。

 さて、音楽は、一転ムードを替えて、明るいメンデルスゾーンで、歌心を満喫。
そして、たしかに、シューマン。
シューマンのロマンティシズムと、メンデルスゾーンやリストとも違った歌を聴きとり、楽しめました。
 緊張からも解放され、このあたりから、聴き手も、演奏者もリラックスムードでした。

お外で、空気を吸って、さて、後半。

パラディスのシシリアーノ、知らない人かと思ったら、帰宅してCDみたら、迫本さんのソロCDに収録されてました。
失礼をばいたしました。
モーツァルト時代の、盲目の女流音楽家とのお話でしたが、シンプルで、優しいメロディが麗しかったです。
でも、作曲の真偽も、いまでは不確かともいわれているそうで・・・

快活さと、奔放さを併せ持つサン=サーンス作品は、もっと爆発してもよかったかもしれませんが、フランスの作曲家を意識させる展開もあり、おもしろかったです。

そして、お話を聴いて、いろんなルービンシュテインの名前が、ぐるぐる頭をこだましましたが、その音楽を聴いて、懐かしさを覚えたのは、わたくしばかりではないでしょう。
ノスタルジー誘う、優しいメロディを、迫本さんと、西畑さんは、実に美しく演奏してくれました。
そして、これは、NHKFMの、音楽番組のテーマ曲でした。
いいなぁ~

そして、「ロマンティック・チェロ」の名が、まさに相応しい、ラフマニノフのヴォカリーズ。
ソプラノの冷凛たるアカペラで聴くのもクールでいいですが、こうして、むしろ、より人の声に近いチェロの調べで聴くのも、暖かくて、柔らかくていいものでした。
艶のある響きもいいですね。
まぎれもなく、彼女のチェロから、神奈川フィルの音色が流れだしてます。
オケの一員の方の演奏を聴いて、昨日聴いた、そのオケの音色を思うという、この贅沢な喜び。
 神奈川フィルの応援団として、とってもうれしかったです。
これまで、何人もの、ソロや室内演奏を聴いてきましたが、その点は、どなたも、まぎれもない共通の音色をもってらっしゃるように思います。
 ただ、女性は、より男前で、男性は、より繊細で・・・(怒られちゃうかな)

最後は、チェロもピアノも、まさにショパンを感じさせる曲。
大人しめのチェロパートを、世紀末チェリスト兼作曲のポッパーが補筆して、ゴージャスに仕上げたバージョンとのこと。
いはやは、華やかかつ、見応え、聴き応えがありましたね。
譜面台を横にどけて、迫本さんは、曲に夢中になって、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
おふたりの、息のあった競演ぶりも、実に楽しかったです。

おっきな拍手が巻き起こりました!

おしゃれな、ふたつのアンコールも、とっても洒落ていて、巧みな2曲の選択ではなかってでしょうか。
サティの曲には、思わず、鼻歌が出そうに・・・・

欲を言えば、あのサティの曲を聴きながら、終演後、みなさまに振る舞われた白ワインを(ジュースとお茶も)嗜みたかったものです(笑)。

Lalyre

 今回も、いつもの神奈川フィル応援の仲間と、席を並べて、とても楽しく拝聴することができました、

おふたり、ありがとうございました。
それと、ご主人の巧みなサポートにも拍手を!

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