神奈川フィルハーモニー第304回定期演奏会 金 聖響指揮
今年も、やってきました、冬のクリスマスに向けたイルミネーション。
みなとみらいホールへは、桜木町より歩いて向かいます。
ランドマークプラザには、11月の定期では、毎回、出来たてのツリーイルミが輝いていて、これより聴く神奈川フィルの演奏する音楽への期待と不安も、美しく飾り立てて迎えてくれます。
さて、11月は金聖響さんが定期に戻ってきました。
クセナキキス 「ピソプラクタ」
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番 ハ短調
Pf:ギューム・ヴァンサン※
ブーレーズ 「メモリアル」
Fl:江川 説子
ラヴェル バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲
金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
※アンコール
リスト ハンガリー狂詩曲第6番
ショパン ノクターン第1番 op9-1
(2014.11.15 @みなとみらいホール)
どうですか、このプログラム。
もう前衛とは呼べないけれど、現代音楽を、前半・後半のあたまに。
それに、王道コンチェルト(でも、3番とはまた渋いねよ)と、オーケストラの花形作品をエンディングにもってくるという、ひとひねりも、ふたひねりもあるプログラム。
こんな演目がのると、いつもと違うお客さんも聴きにいらっしゃる。
もちろん、わたくしのまわりには、いつもと同じお客様がいらっしゃって、きっと、一緒になって、ひぇ~、とか、えぇ~、とか、なんじゃそりゃ、的な思いで聴いていらしたと思います。
コンサートって、これだからおもしろい。
会場の空気を感じながら、音楽を聴くこと。
で、その空気が、張り詰めた緊張感と好奇心で満たされたのが、クセナキス。
わたくしは、クセナキスその人の存在を、大阪万博のとき以来、名前のみを脳裏に刻みつけてはおりますが、その音楽を、まともに聴くのは、実は初めて。
アバドがウィーン時代に録音した曲を持ってますが、それがなにか思いだせないくらい。
ですから、この作品も、ブーレーズ作品も、わたくしには語る資格がございません。
尊敬する音楽仲間、IANISさんに、神奈川フィルの応援ページに、クセナキスとブーレーズ作品について、紹介記事を投稿していただきました。→こちらをご参照
ピソプラクタ=確率的行為、というお題が、こうして生演奏で聴いてみて、なるほどと納得できる作品にございました。
弦・ウッドブロック・シロフォン・トローンボーン、合計49名。
弦のみなさんが、楽器を膝に立てたりで、一斉に、それもばらばらに、無秩序に、その胴を、コトコトと叩くところから曲は始まりました。
ウッドブロクが、カツンカツンと決めゼリフのように、合いの手を入れるなか、弦は、ちゃんと弾くかと思いきや、それぞれの奏者が、思い思いに、ちょいちょいと弾いたり休んだり。
お馴染みのメンバーの皆さんを、右に左に目で追いながら、あっ、ここで弾いた、あっやめた、あっ、ピチカートだ、おっ、トロンボーンもぶわーーっときたし、シロフォンもコキンコキンやるし、ともかく、どこもかしこも気が抜けないし、目も耳の離させない。
いったい、どんな風な譜面なんだろ。
ひとつの譜面を二人で見ながら、全然違うとことやってるし。
お家に帰って、聴けばきくほど、悩みが多くなる。
そして、オーケストラのみなさんも、たいへんだったご様子で、それが痛いほどわかりました。
そして、指揮者は、よく振れるもんだと感心。
同行の造詣深いIANISさんは、もっとはじけてもいい、おっかなびっくり弾いているとのご指摘でしたが、このようなチャレンジを重ねることで、オーケストラは成長するし、わたくしたち聴き手も、おおいなる刺激を与えられて、耳が豊かになっていくのだと思います。
その次は、ほっと一息ベートーヴェン。
でも、ウィーンの当時は、びんびんの現代音楽作曲家だったベートーヴェンさん。
配置換えで、久しぶりに出てきたバロック・ティンパニに、あっ、今日は聖響さんの指揮だった・・・・と、思い当たり、ちょっと不安が走る。
でも、クセナキスがあったし、対向配置はなくて、通常。
そして、弦も管も、みんな普通にヴィブラートかけてます。
クセナキスのあとですから、潤い不足を感じることなく、自宅に帰ったかのような、ほんわかムードを味わうことができましたよ。
ことに、第2楽章は、素晴らしく優しく、抒情的。
そう、この日のソロは、見た目はオジサンですが、91年生まれの若きフランスのピアニスト・ヴァンサン氏で、麗しくも優しいタッチの持ち主で、明快かつ透明感ある音色は魅力的なのでした。
オケもばっちりで、ことに、神戸さんの叩くティンパニが、スコンスコーンときれいにホールにこだまして、とても心地がよろしいこと、このうえありません。
クセナキスの緊張感が、ここでは薄れて、わたくしは、夢の中に、誘われそうな瞬間も何度かありました。あぶないあぶない。
大きな拍手に気をよくした、ヴァンサン氏。
いきなり、リストの大曲を弾き始めました!
繊細さとともに、驚きのバリバリの爽快超絶技巧を披歴してくれましたよ。
ベートーヴェンで見せた顔と、違う姿をわたくしたちに、見せたかったのでしょう。
ともかくすごかった。
割れんばかりの拍手に応えて、あれあれ、また1曲。
今度は、しんみりとショパン。
わたくしの周りでは、ため息すら聞こえましたよ。
若いということの可能性と、魅力をたっぷり味わえました。
もっとアンコールをしかねない雰囲気のヴァンサン君。
それを察したかのような、われわれ聴衆も、もうお腹いっぱい、と拍手の手を休めました(笑)
後半は、短いですよ。
初聴き、ブーレーズ作品。
こちらも、IANISさんの解説をどうぞ。→こちら
これはもう、フルート協奏曲かも。
ホルン2、ヴァイオリン3、ヴィオラ2、チェロ1の室内楽スケールの、透明感あふれる音楽で、ブーレーズが率いてきたアンサンブル・アンテルコンタンポランのフルート奏者追悼のオマージュとして作曲されたそうな。
こうした曲は、ともかく身をゆだねるしかありません。
聴いていて、わたくしは、ワーグナー(とくにトリスタン)→ベルク→ウェーベルン→ドビュッシー→武満・・・・というような音楽の流れを感じ、受け止めました。
江川さんのフルートソロが、まったくもって素晴らしかった。
音の艶と粒立ちが明快で、音楽が耳に次々に届いてきました。
次ぐ「ダフニスとクロエ」でも、江川さんは桃源郷のようなフルートの音色を聴かせてくれました。
ベートーヴェンで首席をはった山田さんとともに、神奈川フィルのダブルフルート首席は、頼もしい限りです。
そして、その「ダフニス」。
われわれ聴衆の溜飲を下げるかのような、大爆発。
文字通り、たっぷりぎっしりのフルオーケストラでもって、まさに「全員の踊り」は、やったぁーーと叫びたくなるような快感と五感の喜びをもたらせてくれました。
IANIS兄貴が言ってたとおり、ブーレーズの精緻な音楽から、そのまま、ラヴェルの「夜明け」につながるような、そんな連続演奏も望ましいと思いましたが、神奈川フィルの本領発揮と思われる、美しくも眩しい、その夜明けでした。
そして、先にふれた無言劇はステキすぎだし。
ラストは、打楽器陣が、8人で、ばりばり!
爽快すぎるラストは、聖響さんのひと振りも見事にきまった!
いやぁ、面白いコンサートでした。
クィーンズスクエアのツリーは、まだ点灯してません。
また来なくちゃ。
そして、野毛に進攻!
今回は、新潟からお越しの仲間に、さらにほんとうに久しぶりのお方や、若いお兄さん、そして、いつもお世話になってる楽団事務局の方にもご参加いただき、まいど楽しく、飲み食べ、そして、大いに盛り上がりました。
こちらは、湘南野菜の盛り合わせ。
カラフルざんしょ?
生でパリパリ食べちゃいました。
しらすピザに、たこ焼きも焼いちゃいましたよう~
みなさま、お世話になりました。
そして神奈川フィルのみなさま、いつもいい音楽を聴かせていただきありがとう。
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コメント
皆様、お世話になりました。騒がせてしまって申し訳ございません。でも楽しかったです。
また2月、「ミステリー・オブ・マカーブル」で参上します。
投稿: IANIS | 2014年11月17日 (月) 20時42分
遠征、おつかれさまでした、そして、今回も、なにかとありがとうございました。
メンバー各位、大いに楽しみましたよ。
ありがとうございました。
2月のご訪浜、お待ちしております!
投稿: yokochan | 2014年11月18日 (火) 00時18分