神奈川フィルハーモニー第308回定期演奏会 川瀬賢太郎指揮
今年は、横浜公園のチューリップをまだ見にいってませんでした。
みなとみらいでのコンサートを前に、ちょっと足をのばして、ベイスターズ開催試合で賑わうハマスタに気を取られつつ、最後のチューリップの見ごろを収めてきましたよ。
とりどりの鮮やかなチューリップたち。
これから聴く、華やかな音楽たちへの期待が、いやでも高まります
レスピーギの音楽は、ともかく艶やかで、音の輝きにあふれていて、いろんな側面が、抜群のオーケストレーションとともに楽しめます。
そして、まったく、爽快極まりない演奏に、この日、「ハマは、ローマになりました」
レスピーギ 交響詩「ローマの噴水」
交響詩「ローマの松」
交響詩「ローマの祭」
マスカーニ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
(アンコール)
川瀬 賢太郎 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(2015.4.25 @みなとみらいホール)
ローマ三部作を、一度に聴ける。
CD1枚分の演目で、時間的には、短めだけど、アンコールも入って、文字通り、イタリア尽くしのコンサートを思い切り楽しみ、そして、思いきり熱い拍手を送りました!
それにしても、神奈川フィル向きのこれらの曲。
以前に、神奈川フィルで聴きたい曲を、リストアップしたことがあります。
4年前に書いた、その聴きたい曲ランキング(→)ですが、10曲中、もう6曲も、実現してきております。
ほんとに、うれしい。
神奈川フィルに対する自分のイメージが、ひとつひとつ結実していくことも、応援の醍醐味です。
さて、前置き長いですね。
3曲を、作曲順に、噴水(1916)→松(1924)→祭(1928)。
こうして聴くことで、レスピーギの筆致が円熟してゆくこともわかるし、より、芸術的なエンターテイメント性を高めて行くこともわかります。
あらゆるジャンルに、まんべんなく、多くの作品を残したレスピーギですが、イタリアのR・シュトラウスと呼んでもいい。
56歳という、ちょっと短めの生涯に、後半は、オペラに心血を注いだ点でも、シュトラウスに近い。
さらに、古典主義への回帰と、当時イタリア・オペラ界における主流、ヴェリスモからの脱流という点でも。
こうして、パイプオルガンのあるホールで聴くと、3曲ともに、オルガンがいかに効果的に使われているかがよくわかりました。
なによりも、お家では楽しめない大音量と繊細なピアニシモを、誰はばかることなく楽しめるのもライブならでは。
・「ローマの噴水」
静かな朝から、ローマは始まりました。
1曲目から、神奈川フィルは精緻の限りをつくし、音の透明感が大切なこの曲の本質をしっかりとらえて聴かせてくれました。
そして、ぞくぞくするクレッシェンドを、川瀬さんは、巧みに導きだし、「昼のトレヴィの噴水」では、この曲に、こんなに胸が高まるのは初めてというくらいに、ドキドキしましたね。
キラキラした眩い音のシャワーを、思いきり浴びた感じ。
チェロトップの門脇さんのソロも艶やかで、斎藤さんのクラリネットも深みがありました。
夕暮れの、しじまが降りたつとき、思いきり、息をひそめて、神奈川フィルの美音に集中しました。
が、前のご年配の紳士が、こともあろうに、飴ちゃん攻撃を。
おいおい、やめてよ。。。。すかさず、お隣の方が制止をして、大事には至りませんでしたが・・・・。
・「ローマの松」
静かな宵闇から、いきなり、真っ昼間!
湧き立つ音たち、華やぐ子供たちの賑やかな声、そして声。
今日も、譜面台から、ちょこんと頭をのぞかせたホルンの実加ちゃん、先輩・同僚たちに囲まれて、若々しい弾むホルンを聴かせてましたよ。
うごめく低弦、金管の分厚い咆哮が聴けた「カタコンブ」
ついでm斎藤さんの抑えたクラリネットが素敵で、小山さんのオーボエも可愛いし、首席交代した山本さんの繊細なチェロ、涼やかなピアノ、そして舞台袖で吹くトランペット氏、完璧で聴き惚れました。
この、「ジャニコロ」の幻想感あふれるシーンなど、静かで、抒情的な音楽の素晴らしさも、レスピーギの本領。
ナイチンゲールの鳴き声は、ホール左右の上から、降り注いできまして、ステレオ効果も満点で、さながら夜の帳も降りた桃源郷に、ひとり佇み、思索する想いでした。
川瀬さんは、一音一音、とても丁寧に扱っていて、フォルテや激情場面との鮮やかな対比が実に見事です。
そして、それに応える神奈フィルの各奏者たちの、ソロも次々に決まりまくり、この「松」は、乗りまくりの、完璧なる激演となりました。
爆発的な大団円では、平尾さんの渾身のシンバルに、神戸さんの、ティンパニの思い切りの乱れ打ち。
左右客席上方から、トランペット、オルガン脇でトロンボーンも加わり、ビジュアル的にも大壮観。
川瀬&神奈フィルの繰り出す音の洪水と荘厳な大伽藍は、ホールの聴衆を熱い興奮でもってステージと一体化して、言葉に尽くせぬ大エンディングとなりました。
ホールが、地鳴りするほどに、音で埋め尽くされ、わたくしは、もう、眼前のまばゆいばかりの出来ごとに、拍手も忘れて、ぽかーんとしてました。
そしたら、真後ろから、超盛大なブラボーさんが登場。
この方、やたらと声がいいんだ(笑)
このオジサンにもブラボーだ。
・「ローマの祭」
ローマは、祭の季節。
わたくしは、3部作のなかで、「祭」が一番大好きだ、ワッショイ!
ホール正面、オルガンの左右に陣取ったトランペット舞台と、オーケストラの大咆哮で、にぎにぎしくも始まりまして、われわれ聴衆は、即座にテンションあがります。
ローマ時代を思わせる古風な和声に基づく弦にからみつく、金管たちの雄叫び。
このあたりを、音を濁らせることなく、明快に処理してまして、オケの力量とともに、川瀬さんの耳の良さもあるはず。
淡々した祈り、イングリッシュホルンとヴィオラの客演のソリストも素敵。
祭のなかの、ひとときの静けさ。
そんな中でも、音の高まりを見せるレスピーギの筆の冴えは、ほんと大したものです。
次いで時代は、ルネサンス期にいたり、この曲で一番うっとりとしてしまう、素敵な弦によるセレナーデが、神奈フィルの美しいストリングスで味わえる喜び。
もう、わたくしは、ほわーーっとなってしまって、とろけそうでしたよ。
マンドリンの登場で、ホールの空気は、暖かな春の宵のように(実際は収穫祭の喜びですが・・・)。
マーラー以来、お馴染みのマンドリンは、その第一人者の青山忠さん。
味のあるマンドリンは、さすがの一言に尽きます!
石田さん、山本さんの、フルートの江川さんのソロも、そこに華を添えました。
そして、いよいよ、三部作の大団円は、キリストの誕生を祝う、「主顕祭」で、巨大な大ピークを迎えることになりました。
さあさあ、寄ってらっしゃい、酔ってらっしゃい。
音のエネルギーは、高まるばかり。
難曲揃いのこのコンサートの最後にあって、指揮者もオーケストラも、熱の入れようはハンパない。
すっとんきょうな踊りや、サーカスワルツ、おどけたトロンボーン。
川瀬さん、お尻ふりふり、楽しそうだし、ときおり、跳躍も!
ここでも、その音楽の狂乱ぶりと興奮は、聴衆に熱く伝わり、息つく間もない音楽の展開に、そして、思いもしない川瀬さんの仕掛けた大アッチェランドに、ステージのみなさんとともに、大熱狂の渦へと、引き込まれ、巻き込まれてゆくのでした。
すかさず、後ろのブラボーさんに負けないように、ワタクシも、渾身のブラボーを一声献上いたしましたこと、ここにご報告いたします。
アンコールは、レスピーギより、一回り目の世代、その作品も、「噴水」より26年も前のマスカーニの名旋律を。
ゆったりと、思いを込めて演奏されるこの曲。
オペラの間奏曲として聴くと、あっさり終っちゃうけれど、こうして単品で、しかもオリジナルのオルガン付きで聴くと、いじらしいほどの美しい旋律と、その歌心に、涙が出るほどの感銘を覚えました。
そして、繰り返しですが、神奈フィルの弦は美しい。
ローマ三部作のような音楽は、若い感性を持った清新な指揮者によって導かれる演奏も、聴かせ上手のベテラン指揮者のものよりも、一層楽しく、スポーティで、かつ何が起きるかわからない反応を見るような楽しみがあること、オケと川瀬さんの幸せな結びつきで実感しました。
終演後は、シーズンスタートの乾杯式。
トランペット・ファンファーレ付き
黒岩神奈川県知事からも、てっぺん目指せ的な激励もあって、楽団理事さん、川瀬さん、副指揮者就任の阿部さん、新入団の楽員さんたちの、楽しいお話もあり、和気あいあいとしたひと時でした。
わたくしも、知事や川瀬さんと、一緒に写真を撮っていただき、有頂天です。
みなさま、お疲れさまでした。
アフターコンサートは、We Love 神奈川フィルのメンバーで、土曜のマチネのお楽しみ、「横浜地ビール 驛の食卓」へ行った(みたいです)。
わたくしは、今回も体調の関係で、お休みしましたが、そこでは、テノールのお歌も入り、イタリアの延長で、大いに盛り上がったみたいですよ
次回の定期は、うって変わって北欧です。
その前に、イタリアオペラもアリマス!行けるかな?
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コメント
昨日でしたねえ。これは行くべきでしたあ。
青山忠さんは、大学のクラブの大先輩で、コーチもしていただいてました。強面の風貌とは(🙇)繊細なトレモロが持ち味ですね。
投稿: garjyu | 2015年4月26日 (日) 18時27分
いいな=^^=
さまよえる様が以前紹介してくれた今年の神奈川フィルのプログラムの中でもレスピーギ3部作が一番です。噴水、松にローマの祭り!うらやましい。。。私はローマの松をN響で聴いたことがあるのみです。3部作を一気に聴けるとか。うらやましすぎでしょう。
ところで。例によって私はローマの祭りを最初に聴いたのは吹奏楽だったんです。しかも!自分の学校が演奏したんですよ。だから曲のすみずみまで知り尽くしている数少ない1曲です。コンサートで聴いてみたいなー。吹奏楽じゃなくてオケで聴きたいなー。と思いながら、晩年を迎えております。今夜はオーマンディにしようかデュトワにしようか、マゼールにしようか。色々考え中です。
投稿: モナコ命 | 2015年4月26日 (日) 21時53分
わたしのとなりのとなりのかたも、
噴水の途中でがさごそがそごげほげほ。
普段はとても温厚な私ですが(笑)、
終演後に説教たれましたよ。
投稿: | 2015年4月27日 (月) 10時49分
garjyuさん、やるようでやらない、ローマ三部作一気。
堪能しました。
青山さん、そうだったのですね。
毎度、ホールに行き渡る繊細なマンドリンを聴かせていただいておりました。
投稿: yokochan | 2015年4月29日 (水) 19時55分
モナコ命さん、土曜以来、頭のなかは、ローマ三部作でして、祭が一番好きなので、困ってます。
ほかの作曲家が聴けませんで。。。
吹奏楽でも、レスピーギの音楽は、実に映えますね。
実は、祭は、ライブ初体験でした。
まったくもって、前のめりになってしまうようなすんばらしい曲だし、演奏にございました!
いつか、生聴きできるといいですね!
投稿: yokochan | 2015年4月29日 (水) 19時59分
読み人知らずさま、こんにちは。
同じホールだったのですね。
松は、有名どころだし、刺激的ですから、眠りに誘われることは、集中力に欠くことは少ないですね。
噴水は、一曲目ということもあり、静的ですから、落ちる方々もそこそこでしたね。
ですが、がそごそは、いけません。
飴ちゃんも含め、チラシの膝のせとか、どんなに、ホール側がアナウンスしてもしたりないと思います。
もちろん、自分も注意しなくては!
投稿: yokochan | 2015年4月29日 (水) 20時05分