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2015年4月15日 (水)

チャイコフスキー 交響曲第4番 セル指揮

Tokyo_tower_1

この青空、うららかな日差し、そして、もちろん桜の花。

桜はともかく、みんなどこへ行ってしまったの?

寒さと、雨模様。春の天気に三日の晴れなし、どころか、全然ないじゃんね。

そんな春を思いつつ、2月から、ずっと、心に引っかかってた曲を。

Szell

   チャイコフスキー  交響曲第4番 ヘ短調 op36

     ジョージ・セル指揮 ロンドン交響楽団

                 (1962.9 @ロンドン、ワルサムストウ)


そう、2月の神奈川フィルの定期演奏会のメイン、チャイコフスキーの交響曲第2番のあと、指揮者の川瀬さんが選んだアンコールが、同じチャイコフスキーの4番の第3楽章だったのでした。

ピチカートで、お洒落に3楽章を閉じたあと、こちらの耳は、おのずと、ダーンダッダ、じゃかじゃかじゃか・・・と豪勢なフィナーレを続けて求めていたのです。
そんな寸止めのような罪なことをなさる、川瀬さんには、いつかちゃんと4番も含めて、全交響曲をやっていただきたいものです(笑)

そして、なんだか、ようやく聴きましたよ、4番を全曲。
それもずいぶんと久しぶりに聴いたような気がします。
5番の月イチシリーズをやってるもんだから、とんとご無沙汰でしたよ。

いつか、ランキングをやりますが、チャイコフスキーの交響曲では、5番が一番好きで、それに次ぐのが、1番だったりで、賑々しいイメージの4番は、昨今、食傷ぎみ。
そんな今は、ジョージ・セルの割りきったような、スカッとした4番がいい。
もちろん、歌心にあふれた新旧アバドや、勢いのある小澤旧盤も好きですよ。

1970年春、万博の年に来日したセル&クリーヴランドは、当時、小学生でしたが、テレビで見て、その独特の正確な指揮ぶりと、なんといっても、初めて聴いたシベリウスの2番に大感激でした。
 帰国後まもなくして亡くなってしまったセル。
CBSソニーから大量で出ていた、セル&クリーヴランドのレコードは、その後の中学生の自分には、おいそれと買えるわけもなく、音のカタログと称するほんのさわりを集めたレコードでもって、そのセルの演奏や、ワルター、バーンスタイン、オーマンディといった指揮者と彼らの手兵の演奏を選んでは、何度も何度も聴いたものでした。
ここで養われた、それらの演奏のイメージは、いまに至るまで変わりません。

セルの死から間もない、73年に、ロンドンレーベルから、突然あらわれたのが、今日の音盤です。
62年の録音から、11年後の日本発売。
しかも、CBSじゃないし、ロンドンのオーケストラだしで、当時は、結構、話題になりました。
セルの遺産とか言って、レコ芸の裏表紙のカラー広告も打たれてましたね。

FMでもさんざん放送されて、録音して楽しんでましたが、本格的に聴いたのは、CD化以降。
当時は、とても録音がいいと思ってましたが、鮮明ながらも、音に若干の濁りがあって年代を感じさせます。
ちゃんとしたマスタリングをもう一度施せば、また一皮むけるかも。

 しかし、演奏は、そんなことしなくても鮮度はバッチリですよ。

終始、早めのテンポ運びで、まだ65歳だったセルは、気合充分。
ときおり、指揮台の上で、ドタドタと足を踏みならす音もしっかり聴こえる。
ズバッと切り捨てるような感覚も受けますが、よく聴くと、各フレーズを、主旋律以外も、じつによく大切に扱っていて、一音たりとも、無駄な音がなく感じる。
こうして、誠実でありながら、超・熱のこもった演奏は、1楽章のコーダと、終楽章のフィナーレの熱狂も聴き手を興奮させずにはおきません。

1楽章の歌うような第2主題や、2楽章のメランコリーな雰囲気、3楽章の克明さ、などなど、聴きどころ満載です。

オーケストラ、ことに金管がうまくて、ブリリアント。
まさにLSO。
当時は、モントゥーの時代で、ケルテスが次期指揮者としても活躍中だったLSO。
そのケルテスは、セルのあと、ブーレーズが補佐し、次の音楽監督として、クリーヴランドに就く予定だった。
イスラエルで、遊泳中、亡くなってしまう悲劇が起きたことも、忘れえぬ出来事でした。
いろんな符合がありますね。
ケルテスもハンガリー系だし、のちのドホナーニもハンガリー。
いまの長期政権W=メストはオーストリアですが、かつてのハンガリーも含んだハプスブルク系・・・。

そんなこんなを、妄想しつつ、チャイコフスキーの4番を3度聴き、いま、華々しく終楽章が散りました!

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コメント

チャイコフスキーでは私も5番が好きです。4番は作曲家の感情表現がむき出し気味でほとんど聴きません。今に至るまでにCDが3枚です。生で聴いたら別の印象を得られるかもと思い、昨年テルミカーノフ・サンクトペテルブルクPの実演に足を運ぶも評価は変わりませんでした。うるさい!? その点セルの演奏は大変整理され、この曲が持つ灰汁が控えめになり格調高く聴きやすいです。セルの来日時、私は高校生でした。フェスティバルホールで両国の国歌吹奏を耳にしました。あんな透明な君が代!今でも忘れられません。

投稿: ornellaia | 2015年4月16日 (木) 15時35分

ornellaiaさん、こんにちは。
聴けば聴いたで、4番には興奮もし、引き込まれもしますが、終われば、どこか虚しい感じが残るのは、あのド派手なエンディングなのでしょうか・・・・。
そうです、このセル盤は、整ってますね。
ロンドン響もいいのですが、クリーヴランドではどうだったか、気になるところです。
 そして、セルの実演に接したのですね!
すごい!モーツァルトの40番とシベリウスでしょうか!
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2015年4月17日 (金) 08時35分

1970年5月にセル/クリ―ヴランドOは初来日しました。大阪伊丹空港が悪天候で急遽愛知小牧空港へ到着しバスで来阪したそうです。そして大阪は中之島にあったグランドホテル(階下に旧フェスティバルホール)に宿泊しました。15日金曜日、夜のコンサートに向けてリハーサルを行いました。おそらくその冒頭を録音した特典ミニCDがあります。セルの指示、日米両国歌演奏を聴くことができます。米国歌は暗譜で演奏したこともわかります。夜のコンサートの休憩時間、大勢の方がチケット売り場に並んでいました。翌日の「英雄」のチケットを求めてです。私も加わりたかったですが何しろ高校生の身、持ち合わせがありませんでした。凄く後悔をしました。終演後、団員が去ったステージに長身のマエストロがもどり、ステージ下の数人と握手をしたり、鳴り止まぬ私たちの拍手に笑顔で応えていました。

投稿: ornellaia | 2015年4月17日 (金) 11時50分

ornellaia さん、こんにちは。
これは、ご丁寧にありがとうございました。
なかなか強硬なツアーだったようですね。
かつての来日組のスケジュールなどを、今もって見ますと、全国津々浦々回っている場合もあり、交通機関も今ほどではないことを思うと、かなりハードツアーだったことが忍ばれます。
いまでは考えられないことです。
オケ側のユニオンも強くなったこともあるのでしょうね。

そして、当時の様子はよくわかるコメント、まことにありがとうございます。
あの「英雄」は語り草となってますね。
それを思い、音のカタログのセルの英雄の30秒間を何度も聴いたものです。

投稿: yokochan | 2015年4月18日 (土) 08時44分

はいはい^^セルのチャイコ4番ですよね。私も愛聴しているレコードです。理由は!そうです。廉価盤だったんです。あのソビエトのエライ先生が指揮したレニングラードやカラヤンのド派手なベルリンフィルや、え?ベームが?チャイコの4番を?も楽しく聴いています。でもね、なんか、こー、違うなー。。。って感じるんです。私にはセル&ロンドンが一番です。ご指摘の金管も結構ですね。ロンドンのトロンボーンにはデニスウィックもいたはずです。
こちらの書き込みをみて、ひさびさに聴きたくなりました。

投稿: モナコ命 | 2015年4月20日 (月) 18時15分

モナコ命さん、こんにちは。
さすがですね、このオケの奏者を言い当てるとは!
当時から、21世紀になるまで、ロンドンの各オケの金管は名手揃い。
ブラスアンサンブルも、いつくもありましたね。
で、セルの端正で、ほどよく熱い指揮、いいですね。
カラヤンのばか騒ぎも、好きですけど(笑)

投稿: yokochan | 2015年4月21日 (火) 10時59分

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