プロコフィエフ 「ピーターと狼」 ハイティンク指揮
呼べばやってくる、某公園のおなじみの、にゃんにゃん。
親しみもありつつ、ツンデレで、逞しい一面も。
いろんな人に可愛がられる公園のにゃんこでした。
プロコフィエフ 「ピーターと狼」
語り:ヘルマン・プライ
ベルナルト・ハイティンク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
(1969.9 @アムステルダム)
プロコフィエフ(1891~1953)の生没年を見ると、そんなに昔の人じゃないですね。
帝政ロシア時代に生まれ、26歳のときに、ロシア革命を経験し、一時亡命はするも、ソ連邦時代には、同邦を代表する作曲家としていろんな縛りの中に生きた人だし、一方で、世界各地を巡って、ソ連邦の作曲家としての顔を売り込むという、ある意味、自由な日々も送れた、そんなプロコフィエフさん。
ちなみに、日本の明治・大正・昭和をも全部、きっと知っていたはずのプロコフィエフさん。
日清戦争(1894)、日露戦争(1894)を経て、列強の仲間入りしてゆく日本との関係も深いですな。
日本滞在中に、和のリズムや旋律に感化されていることも、嬉しい出来事です。
そして、われわれ日本人が、学校の音楽の授業で、必ず聴いた音楽を書きました。
「ピーターと狼」。
いまは、どうかわかりませんが、わたくしは、習いましたよ。
日本語のナレーションは、坂本九。
演奏は、カラヤンのフィルハーモニア盤だったような記憶がありますよ。
なんたって、小学生だったから、もう半世紀くらい前ですよ。
作風が色々変化したプロコフィエフ、1936年、「ロメオとジュリエット」と同じ年の作品。
モダニズムや、激烈な音楽造りから脱して、メロディもしっかりあって、抒情と鋭さも兼ね備えたシャープな作風を取るようになりました。
親しみやすさと、平易さ、そして、たくみな描写でもって、ナレーションの語るその場面が目に浮かぶほどのリアリティさ。
子供のときは、狼が出てきて、ヒヤヒヤしたし、こずるいネコが憎らしく思い、そして、狼が捕まって、みんなで行進する場面では、晴れやかな気持ちになったものです。
でも、プチクラヲタ・チャイルドだった自分、廉価盤時代でも、こうした曲には手を出しませんでしたが、フォンタナから出てた、ハイティンク盤が、ハイティンク好きとしては、気になってましたね。
そして、CDを最近購入。
国内レコードでは、ナレーションは、樫山文江さん。
そして、外盤では、なんと、バリトンのヘルマン・プライなのでした。
この、深くて暖かみのあるバリトン声によるナレーションが、とても包容力と親しみに溢れていて、素敵なのですよ。
そして、それに、完璧なまでに符合しているのが、ハイティンク指揮するコンセルトヘボウの、いつものあの、あったかサウンドに、フィリップスの明晰ウォームトーン。
ことに、この手の曲は、分離がよくなくては話しにならないが、ここでは、ごく自然な、ソロ楽器の捉え方と、劇に合わせたステレオサンドが、とても素晴らしいのですよ。
こうした曲の場合、指揮者が素晴らしいとか、解釈がどうの、とははなはだそぐわないのですが、ここでは、ハイティンクとコンセルトヘボウならでは、ということと、プライの声が、いつものプライらしいですよ、ということにとどめておきましょうかね。
ねこさんも、ピーターの飼い猫として、登場しますが、楽器はクラリネットということで、そのイメージは、そろり、そろりとした動きが、いかにも、ですな。
カラヤン、バーンスタイン、ベーム、小澤、アバド・・・、幾多の大指揮者も録音してきた、「ピーターと狼」。
みなさまも、たまには、いかがですか?
その際は、ナレーターで演奏を選ぶのもひと手ですよ。
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コメント
ハイティンクにはこんな録音もありました。といいますか、ご指摘通り大指揮者がこの曲を取り上げておいででしたね。ハイティンク盤は残念ながら未聴なんですが、あのホールにあのオーケストラ、それにプライのナレーションとなれば、怖くないメルヘンなグリム童話みたいな暖かみのある世界でしょうか。私が持っていたのはメータ盤でナレーションが明石家さんま、抱腹絶倒のさすがプロでした。征爾さんのもありまして、征爾さん自身のナレーションは征爾さんの人柄も感じますし、面白いですね、そのあたりも。こういう曲、時代的に難しかったかもしれないし、頼んでも無理かもしれないですけど、命がけの遊びをするクナッパーツブッシュかメンゲルベルクあたりでも聴いてみたかったです。
投稿: yurikamome122 | 2015年6月 6日 (土) 06時24分
yurikamomeさん、こんにちは。
忘れていた、この曲と、ハイティンク盤に出会って、即購入しました。
予想通りの、暖かな世界に、満足です。
メータ&イスラエルもありましたね。
そして、さんまさんでしたか。
あと、小澤さんは、バーンスタイン譲りの、語り上手なのですね、サービス精神も満点、それと、プレヴィンもミア・ファーローと、自身とで2度の録音。
ほんと、大指揮者がよく取り上げてますね。
クナと、メンゲルベルク、思うだけで、笑みがこぼれてしまいます(笑)
あと、ショルティ閣下の語りとか、カルロスの、同じく語りとか、これらもきっと、命がけの演奏が出来上がったものといえよう。。。デス(笑)
投稿: yokochan | 2015年6月 6日 (土) 09時37分
ハイティンク盤の「ピーターと狼」、プライの語りだったのですね。きっと温かみのある低音でしょうね。改めて手持ち盤を探すと①レヴァイン/聖ルカO②ケーゲル/SKD③プレヴィン/LSOの3種もありびっくり!①は語りが映画「氷の微笑」のシャロン・ストーンです。子供向けだけでなく大人も耳を傾けられます。巧い!②は東独時代のSKDが聴けます。語りはドイツ語で独文出身の私には懐かしい!指揮者共々個性盤です。③は映画「ローズマリーの赤ちゃん」のミア・ファーローが語り、ストーンと異なり優しい語り口が魅力か? 3枚の中から1枚選ぶと①かな?この盤には他に映画「月の輝く夜に」のシェールがブリテン「青少年の為の管弦楽入門」の、「ダイ・ハード」のサミュエル・L.ジャクソンがコープランド「リンカーンの肖像」の語りをしているからです。そうそう確かドラティ盤ではショーン・コネリーが語りだったのではないでしょうか? 久しぶりに聴く機会を与えていただきありがとうございました。
投稿: ornellaia | 2015年6月 6日 (土) 11時15分
yokochanさん
遠い遠い昔、マゼール・フランス国立放送管の録音をレコード藝術で批評していたのを思い出します。動物の謝肉祭とカップルで、どちらのナレーションだったか忘れましたが、一方が黒柳徹子、もう一方が小山田宗徳でした。批評者は、黒柳徹子は聴き手の心を捉える流石のナレーション、ただし小山田宗徳の方は、聴き手に「そのうち何かが起こるぞ!」という不安感を与えるようなナレーションで、いただけない、と書いてありました。この後者の批評が面白くて、忘れられないものでした。なお、当時は「マーツェル」と呼ばれていましたっけ。
投稿: 安倍禮爾 | 2015年6月 7日 (日) 17時37分
ornellaiaさん、こんにちは。
プライの語り、おっしゃるとおりに、あたたかな低音でした。
水車屋の娘のイメージで、パパゲーノじゃないです(笑)
そして、たくさん、お聴きですね!
S・ストーンのレヴァイン盤は、そのカップリングも含めて魅力的ですね。
そして夫婦時代のM・ファーロウとプレヴィン盤も懐かしいです。
後年の自身の語りによるRPO盤は、そういえば持ってましたが、影が薄いですね。。
あと、世界各国で、いろんなナレーターで変えて録音した、アバド盤。
日本は、板東玉三郎でしたが、わたしの盤は、カレーラスによるスペイン語盤で、ペドロになってました(笑)
投稿: yokochan | 2015年6月 9日 (火) 00時13分
安倍禮爾さん、こんにちは。
マーツェル読み時代のお話、面白いですね。
DG録音でしょうか。
さきほど、HMVのサイトでサンプルをつまみ聴きしましたが、マゼールの指揮は、かなり雄弁ですね。
おっとりとしたハイティンクと大違いでした(笑)
そして黒柳さんの声が、ハイトーン。もう40年前の声なんですね。
しかし、マゼールは、面白い指揮者でした。
膨大な録音、聴いてないものも多く、楽しみが増えました。
ご案内、ありがとうございます。
投稿: yokochan | 2015年6月 9日 (火) 00時21分