ベルリンフィル次期首席にペトレンコ
祝福も込めて、夏でもこんなステキなイルミネーションのプリンスホテルと東京タワー。
5月始めに決定打が出ずに、1年以内にと、先送りとなったベルリン・フィルの次期首席指揮者選考。
ところが、思いのほか早く、決着をみることとなりました。
じっくり検討してると、他の楽団に、有力者を持ってかれてしまうし、現ポストを延長してしまう指揮者も出るからでしょうか。
決定されたのは、キリル・ペトレンコ。
その報に、昨日接し、正直驚きましたね。
ティーレマンと、ネルソンスに絞られた感があり、この1年の客演指揮者も含めた中から選ぶものとばかり思ってました。
ペトレンコは、ここ数年、ベルリンフィルに客演が続いていて、その人柄も含め、音楽造りに賛同を得ていたようですが、5月の選考会の直近の演奏会をキャンセルしてしまい、レースから脱落かとも思われてました。
しかし、いまは、実にいい選択ではなかったかと納得してます。
①まず、42歳と若いこと。
ベルリンフィルは、若くて清新な血が常に必要に思うから。
フルトヴェングラー、カラヤンの伝統を持ちつつ、アバドとラトルによってもたらされた新風を引き継ぐのは、やはり若い力です。
②オペラの実力者であること。
西シベリアに生まれ、オーストリアに移住したあとは、オペラの下積みから叩きあげたカペルマイスター的な育ち方をしたペトレンコ。
マイニンゲンの劇場、ベルリン・コーミュシュ・オーパーから、バイエルン州立歌劇場の音楽監督へと、着実にステップアップして、ついには、バイロイト音楽祭で「リング」新演出を、一昨年から手掛けている。
ベルリンフィルは、オペラ指揮者であることも肝要。
③近現代ものに強み
マーラーを始めととする後期ロマン派以降の音楽が得意。
ベートーヴェンやブラームスは未知数
まだ、若いから、オーケストラと手を携えて、王道のプログラムを極めて欲しい。
④メジャーレーベルと未契約
DGかワーナーか、どこのレーベルが獲得するか。
わたくしは、どことも契約せずに、我が道を行く式になりそうな予感。
自主レーベルを運営する楽団としても、商業色のないシェフはありがたいかも。
バイロイトは、今年で降板してしまうけれど、このたびの祝報で、録画とライブ録音もされるのではないかと推察。
まだ就任まで3年ありますが、こうして、あれこれ妄想してますよ。
今日は、ペトレンコの音源をいくつかツマミ聴きしてみました。
スークの「人生の実り」「冬の夕べの物語」「夏の物語」。
コーミシュオーパーのオーケストラから、スークの緻密な世紀末サウンドを見事に引き出してます。
2013年と14年のバイロイト・リングから。
ネット放送を録音したもので。
音楽が浮き足立つことなく、実に堂々としてるし、歌手が歌いやすいと思われる間の創出。
そして、沸き立つオペラティックな感興。
躍動感と、颯爽とした音楽の進行に、全体を見通す構成力。
ちょっと硬いけど、初めてリングを指揮した人とは思えない初年度。
2年目の方が、もっといい。
しかし、大指揮者の時代は遠く去り、名指揮者も次々に世を去り、大物不足は否めない。
でも、こうして、若い指揮者たちが次々に台頭してきて、名門オーケストラが、それをしっかりすくいあげて、新陳代謝を繰り返してゆく。
さらに、かつての名門に加え、わが日本も含め、オーケストラとオペラ界は、世界中がつながり、実力がアップ。
オケも指揮者も、国籍関係なし。
そんな音楽界になりましたな
過去記事
「スーク 人生の実り」
「スーク 夏の物語」
「バイロイト ニーベルングの指環 2013」
「バイロイト ニーベルングの指環 2014」
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コメント
おはようございます(ブログを読んでいるのが6/24 8:20)。
キリルが選ばれたと、6/23の朝のNHKニュースで知り、「キャンセルがあったのに」と、少々驚きましたが、案外順当な選択と納得。個人的にはネルソンスを期待していましたが、年齢の若さとBSOのシェフに着任したばかりであることがネックになったものと思います。
まぁ、ベルリン・フィルとしては、ポスト・キリルに、ネルソンスやドゥダメルなど、キリルの次の世代の成長度も見越してのことなのでしょう。
近現代(「ゾルターデン」の指揮をちらっと見ましたが、あの名作を振れる実力は凄い!)の音楽やオペラに強いのが評価されたのでしょうか。その伝で言えば、NYPにおけるギルバートのような存在になるものと考えます。
華やかな話題を提供するような指揮者ではなく、若干タガが緩み始めた自らのオーケストラとしてのアンサンブルを鍛え直す期待も込められているかもしれませんね。
投稿: IANIS | 2015年6月25日 (木) 08時32分
5月に友人と二人でBPO次期首席指揮者予想をしました。友人はヤルヴィ、シャイー、ネゼ・セガンを予想。私は60歳以上は無いとみて50歳代のサロネン、ヤルヴィ、ティーレマンを予想しました。5月の選考では結論でず持ち越していましたね。突然のペトレンコの発表でびっくり!! 大きく外れました。さらに昨年3月にオスロフィルと来日したワシリー・ペトレンコだと勝手に思い込んでおりました。ワシリーではなくキリルの方なのですね。情けない!! あわててHMVやタワーレコードでCDを検索すると、ワシリーの方が多いではないですか!しかもキリルの少なさにびっくりです。2018年までしばらくあります。今後の変化が楽しみです。
投稿: ornellaia | 2015年6月25日 (木) 10時41分
IANISさん、まいどです。
わたしも、K・ペトレンコは候補とされながらも、キャンセルとバイロイト降板予告などがマイナスで、レース脱落かと思ってました。
でも、さすがは、ベルリンフィルですね。
歴代の指揮者を並べると、未知数ゆえに小粒感はありますが、わずらわしいオペラハウスの監督のきりもりで、実力を蓄積し、今後の客演も増やし、さらに他オケへも登場することで、磨きをかけての3年後、ということになるのでしょう。
投稿: yokochan | 2015年6月26日 (金) 23時51分
ornellaiaさん、こんにちは。
わたくしも、勝手に想像しまくり、SNSなどで、予想を書きちぎりましたが、完全にハズレ。
でも、本当は、サロネンがよかったのですが。。。
しかし、ヴァシリーの方のペトレンコは、おっしゃるように、日本のオケや、リヴァプール、オスロなどとも来日していて、CDも多くて馴染みがありますね。
キリルさんは、わたくしが、スークが好きなものですから、そこそこ前から気になる存在でしたし、ベルリンコーミッシュオーパーの過激演出などをネットでダイジェスト視聴してましたので、オペラの実力も期待していた指揮者でした。
まずは、バイロイトのライブがいきなり出るのではないかと予測してますが、いかに。。。。
いずれにしても、この3年間も楽しみですね!
投稿: yokochan | 2015年6月26日 (金) 23時57分
yokochanさん
職場の余計な雑用でてんやわんやだったので、このニュースはこのブログで今知りました。大変有難う御座いました。
そうでしたか!、実は私はこの人全く知りませんでした。どういう指揮者なのかな?。yokochanさんはスークの作品でご存知だったということで、私などが知ってるはずもなかったですね。まあ、ベルリンフィルもいろんな道をあちらこちら進んで行く必要はあるでしょうね。
投稿: 安倍禮爾 | 2015年6月28日 (日) 15時00分
安倍禮爾さん、こんにちは。
わたくしも、正直、びっくりの、K・ペトレンコの選出でした。
先物買いではなく、数少ない客演と、ドイツ国内での、おもに、ハウスでの実績を重んじたベルリン・フィルの眼識の鋭さを痛感いたしました。
きっと、いち早く、その指揮ぶりを、ご確認されるでありましょう安倍禮爾さんの、レポートも、いずれ楽しみにしております♪
投稿: yokochan | 2015年6月29日 (月) 00時10分