ベルリオーズ 幻想交響曲 ロンバール指揮
小便も元気いいです。
しかし、梅雨はどこへ行った?暑いよ。
前も、後ろも、見事なひまわり。
毎度、コスプレ担当のボランティアのみなさまに、感謝。
ベルリオーズ 幻想交響曲 op14
アラン・ロンバール指揮 ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団
(1973 @ストラスブール)
ロンバール?、お若い方々には、ご存知ないかも知れませぬね。
70年代半ばに、彗星のようにあらわれた、フランスは、パリ出身のダンディー指揮者なんざぁますよ。
1940年生まれ、フランス国内での活動から、1966年のミトロプーロス指揮者コンクール優勝(ちなみに、我らが飯守先生は、このとき4位。わがアバドは、63年優勝)。
その後、バーンスタインの助手をつとめ、アメリカでメトなどで活躍し、オペラ指揮者としての才覚もあらわす。
71年からは、母国ストラスブール・フィルの音楽監督となり、エラートとの契約も成立し、当時、オーケストラ録音にこぎ出したエラートの看板コンビとして、大量の録音を残しました。
その後は、ボルドー・アキテーヌ管弦楽団、そして、いまは、スイス・イタリア語放送管弦楽団の指揮者として活躍してます。
メジャーに躍り出ることは、いまに至るまでなかったけれど、エラート時代に残した演奏の数々は、当時も今も、フランスのエスプリと、ストラスブールという多面的な顔を持つ街のオーケストラの特色を引き出した点で、大いに評価されていい指揮者だと思います。
ストラスブールは、地政学的な文化面で言うと、ドイツであり、そして、政治的な存在としてはフランスなのです。
ライン川を隔てて、ドイツのケールという街と一体化してます。
さらに、地図で地名を見てみると、フランス内のストラスブール周辺は、ドイツ的な地名ばっかり。
シュトラスブルク、ドイツ語では、そうなるんですね。
EUの街、そして交通の要衝となってます。
ロンバールとストラスブールフィルのコンビは、確か70年代に、日本にも来たと記憶しますし、ロンバールも読響あたりに来演してたと思います。
いまは、太っちょになってしまったロンバールですが、エラート時代の録音の数々は、クライバーや、デビュー当初のレヴァインもかくやと思わせる、新鮮で、イキのいい、ピッチピチの演奏を造り上げる指揮者でした。
しかも、エラートの録音が、また鮮明で実によかった。
ラヴェルやドビュッシーのレコード、FMでエアチェックした幻想や、カルメンなどなど、そのイメージは脳裏に刷り込まれてます。
レコ芸で、誰かが、ロンバールの指揮に対して、小股の切れあがったナイスな演奏と評しておりましたが、当時は、まさにそんなイメージだったんですよ。
今回、久方ぶりにCDで聴くロンバールの幻想。
快速です。
47分ぐらい(繰り返しなし)。
そして、速さと同時に、勢いと若さがありまして、これはまた意気軒昂とした超前向き演奏と感じましたよ。
爆演系じゃありません。
スピーディで、スマート。細部にこだわらないようでいて、意外や緻密。
指揮者の強い意志も感じる、この疾走感あふれる幻想は、いくつもある幻想のなかでも、ユニークな存在だと思います。
それは、古豪レーベル復活をかけたエラートの熱意と、ほぼ録音などなかった指揮者とオーケストラの前向きさ。それらが融合した結果のものかと。
ドイツ的なきっちり感と、オペラのオーケストラでもあるストラスブールフィルに、ラテン系だけれども、スマートな側面も持ってるロンバールの、ステキな名コンビの結実です。
彼らの「幻想」は、掛け値なしに、かっちょよくって、大好きですよ。
CD化されてないものも多いですが、このコンビの音盤は、ラフマニノフのピアノ協奏曲、フランク、R・シュトラウス、新世界、ヴェルレク、カルメン(クレスパン)、ペリコール、ファウスト、コシ、トゥーランドットなどなど、かなりあります。
そこそこ聴いてますので、それらはまたいずれここで。
台風が近づいてます、日本全国、広く用心、そして安心安全でありますよう、お祈り申し上げます。
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コメント
懐かしいロンバールの近況、ありがとうございます。LPのケフェレックのラヴェルの協奏曲で名前を知った指揮者とオーケストラでした。カッコいい風貌が心に残っております。アモイヤルのプロコフィエフの協奏曲でも、クレスパンのオッフェンバックのオペレッタでも登場し馴染の指揮者の一人となりました。近年になって耳にしたテ・カナワ、フォン・シュターデ、バスタン他の「コシ」も、カバリエ、カレーラス、フレーニ他の「トゥーランドット」も、豪華歌手陣のそろった秀演ですね。「幻想」は未聴なのでぜひ耳にしたいと思いました。
投稿: ornellaia | 2015年7月16日 (木) 10時05分
お初にお目にかかります。いつも愛読させていただいております。ロンバールの「コジ」は小生の愛聴盤でございまして、テ・カナワとシュターデの姉妹がとにかく絶品で、その昔、三谷礼二氏が著書で「完全に、美しい(とレコードから実感させる)姉妹」と絶賛されたとおりです。いずれ取り上げていただければと思います。
投稿: Rocky | 2015年7月16日 (木) 20時38分
ornellaia さん、こんにちは。
ロンバールはオペラ指揮者でもあり、しかも残された音盤は、いずれも歌手が豪華ですね。
「魔笛」が聴いてみたいのですが、廃盤のままです。
P・ホフマンのタミーノということもあって、なおさらに渇望です。
あと、カルメンもボルドーとの新盤とともに、旧盤も。
どうも、新しい録音より、わたくしは、昔の音源の方にばかり興味がわきます。
こちらの幻想、なかなか手に入らないかもしれませんが、是非ともお聴きください。
カッコいい演奏です。
投稿: yokochan | 2015年7月17日 (金) 21時47分
Rockyさん、こんにちは。
そしてはじめまして、いつもありがとうございます。
ロンバールのコシは、おっしゃるとおり、女声陣が魅力的ですね。
おなじく、ショルティの旧盤も、姉妹の方ばかりに耳がゆくものでした。
いつか記事にできたらと存じます。
それと違う方へのコメントにも書いたのですが、魔笛がなんとしても聴いてみたいです。
エラートとEMIは、同じワーナー傘下になったのですから、廃盤の憂き目にある大量の音盤を復活させてほしいものですね。
投稿: yokochan | 2015年7月17日 (金) 21時52分
yokochanさん
この指揮者はサンサーンスの交響曲で初めて知ったんじゃなかったかな?
結構安直に、フランスの作曲家だからフランス人の演奏家はそこそこ演奏するだろうと思って聴いたら、やっぱりなかなか聴けて納得したのを覚えています。ただ、日本では結果としてあまり広まらなかった記憶がありますね。
23日にクラヲタ呑み会で、お会いするのを楽しみにしていたのですが、いらっしゃらないということで、残念でした。いつかお会いしてお話ししましょう。
投稿: 安倍禮爾 | 2015年7月19日 (日) 14時03分
安倍禮爾 さん、こんにちは。
ロンバールには、サンサーンスもあるんですね、聴いてみたいです。
エラートが専属だったことも、メジャーになれなかった要因かもしれませんね。
23日は、お誘いがありましたが、残念ながら断念いたしました。
是非、次の機会にお願いいたします。
投稿: yokochan | 2015年7月21日 (火) 21時26分
ERATOレーベルがRVC㈱から発売されていた頃、かなりの新譜がリリースされていた人ですね。フランス-バークレーに録音した『魔笛』、通の人には話題の的でした。愚生は入手出来ず仕舞いでしたけれども。同時期Pyeレーベルに録音していた❗オランダのユベール-スダーンの方が、日本のオケへの客演などで、より活発に現在は目立っている感も致しますが‥。クレスパン、ファン-ダムの出ていた、大部分がフランスの歌手による『カルメン』、カバリエとアラガルにプリシュカ共演の、グノー/『ファウスト』両全曲も、出ていました。この場で話題にするような事ではないですが、音楽業界を取り仕切っている、大手マネージメント社との折り合いが、良くないのでしょうかね。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年5月19日 (日) 11時38分
ロンバールはEMIにオペラ録音をしつつ、エラートにかなりの録音を残しましたね。
当時は買えなかったですが、ストラスブールフィルという、仏独の境にあるオーケストラの魅力と、録音のよさは、ずっとイメージとして惹かれてまして、いまに至ってます。
その後は、ボルドーのオケで活躍中ですが、たしかに、花道に出ずにフランスの地方オケの指揮に徹する様子は、マネージメント筋との関係もあるのでしょうか?
このコンビの「ツァラトゥストラ」いずれ取り上げようと思ってます。
投稿: yokochan | 2019年5月21日 (火) 08時25分