ディーリアス 「むかしむかし」 グローヴズ指揮
このお盆休み、いつものように、神奈川の実家に帰り、親戚巡りをして、その途中、懐かしい場所に寄りました。
いつもは気ぜわしくて寄れなかった場所。
江戸時代からある弁天様。
子供のころ、近くに住む従兄と、休みになると行きました。
ちょっと田舎なここ、かつてはかなり保守的な場所で、よそ者を警戒する風情があって、この美しい場所に行くと、地場の子供たち、出て行けと言わんばかりに、よく追いかけられたものでした。
子供心に、従兄に迷惑がかかっちゃならぬと思い、自粛したものでした。
でも、ここの美しさは犯しがたく、神聖な雰囲気も漂い、ずっと心のどこかに引っかかり続けた憧れと懐かしさの相まった場所となったのです。。。。
お互いに歳を経た従兄に聴くと、町がきれいに整備しているけれど、最近は、清らかだった水の流れも、淀んできて、アオコが発生したりもしてるとか・・・・
なんとかしたいものです。
ディーリアス 「エヴェンテュール~むかしむかし・・・」
サー・チャールズ・グローヴズ指揮
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
(1974.12 @リヴァプール)
この懐かしい場所に訪れたのは、小学生低学年以来だから、もうほぼ50年・・・。
夏の日の、こんな懐かしの場所こそ、ディーリアスの音楽が相応しい。
そして、ちょっと怪しい系の怖い思い出も加味したらば、これ、「エヴェンテュール」であります。
曲の途中で、作曲者指定による20名の男声による、「ヘイ!」とか「ワッ!」(?)というシャウトが2度あって、初めて聴いたときには、マジでびっくりしたぞ。
地下に棲む怪物、それは、夜になると出てくるけれど、なかには、気のいい小物もいるんだ・・・、ディーリアスが語ってます。
そう、この15分あまりの作品は、ディーリアスが愛した北欧ノールウェー、そのアースビョルンセンの採集した民話に基づくオーケストラ作品なのです。
1917年、55歳のときのもの。
伝説を思わせる神秘的な様相を思わせつつも、いつものディーリアスらしい、抒情と懐かしのムードもそこここに、感じさせます。
しかし、この曲は、そればかりに終始せずに、思いのほかに、ワイルドな進行もあって、そんな中で、あの「雄たけび」もシャウトされます。
木琴の激しい音がつんざくクライマックスが、ディーリアスの音楽の持つ異教徒的な雰囲気に拍車をかけます・・・・。
でも、最後は、静かに、優しく、郷愁を誘いつつ消えるようにして曲を閉じるんです。
子供の頃の思い出をなぞりつつ、懐かしい場所を再訪できた喜びとともに、ディーリアスのミステリアスな「むかしむかし・・・」を聴きました。
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