コルンゴルト 「死の都」~「マリエッタの歌」
ハロウィーンが終わって、街はクリスマスをピークとしたイルミネーションに徐々に染まりつつあります。
ことしは、なにかと気ぜわしく、そしてともかく絶不調ゆえに、あんまりウキウキもしないけれど・・・・・。
コルンゴルト 「死の都」から 「マリエッタの歌」
パウル:ルネ・コロ、トレステン・ケルル、クラウス・フローリアン・フォークト
もう何度も取り上げてきたけれど、最愛のコルンゴルトのオペラの一節。
亡くなった妻の面影を追い求め、そっくりの踊り子が歌う歌。
妄想と現実の狭間に落ち込みつつも、最後は、妻の思いでの詰まった古都をあとにする主人公パウル。
その彼が最後に歌う、踊り子マリエッタのあのときの歌。
この身にとどまるしあわせよ
永遠にさらば 愛しいひとよ
死から生が別たれる
憐れみなき避けられぬさだめ
光溢れる高みでこの身を待て
ここで死者がよみがえることはない
(広瀬大介訳)
コルンゴルトの、甘く切ないメロディは、この悔恨と永遠の別れを決する男の想いを美しく映しだしてやまない。
甘口のテノールにうってつけの役柄だけど、全編出ずっぱりのあげく、随所に狂気に満ちた力強い歌声も響かせなくてはならないヘルデンテノールの持ち役。
70年代、コルンゴルト蘇生のきっかけとなったラインスドルフの録音で歌ったルネ・コロ。
それから、いまもっともこの役柄を歌いこんでいるに違いないトレステン・ケルルは、日本の舞台にも同役で立ちました。
そして、いまもっとも新しいパウルは、フローリアン・フォークトのクリスタルな歌声。
いずれも甲乙つけがたく、そして素晴らしい。
聴きこみの度合いと、懐かしさの点で、ルネ・コロが、わたくしには一番かな。
雨、降りそぼるどんよりとした空を眺めながら、ひとり聴きました。
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