コルンゴルト 「ヘリアーネの奇蹟」から間奏曲
丸の内、中通りの恒例のイルミネーション。
今年は、枝ぶりがよくないのか、少しさびしい感じなのと、大規模なビル建て替え工事が、通りの中ほどで行われているので、そこでイルミネーションも途切れたりしてましたね。
毎年、この時期には、ワクワクしながら、イルミネーション巡りをしていますが、この冬は、ちょっと気分が乗らない。
いろんな意味で不調が重なっていて、気持ちも虚ろになりがち。
でもキレイなものには癒されますな。
音楽も同じで、音楽を聴く時間が極度に減ってきているし、オペラも聴いたり観劇したりする時間や集中力も不足しがちながら、いざ、少しの間に聴いたら聴いたで、ワタクシの心はすぐさま復調するのです。
ともかく美しいものは好き。
それと、最近はかつての映画好きの熱が再来してまして、このところ良く観てますよ。
音楽の時間が、そっちへ移動してる、ともいえよう。
コルンゴルト 歌劇「ヘリアーネの奇蹟」~間奏曲
カスパール・リヒター指揮 リンツ・ブルックナー管弦楽団
(1999.3 @リンツ、ブルックナーハウス)
今回も、コルンゴルト。
いまだ取り上げてないあと1作品の、オペラ「ヘリアーネの奇蹟」。
全曲は、CD3枚の大作で、ドラマの内容もややこしい。
けれども、その音楽は、超がつくほどに美しく、そしてカッコよく、オーケストラの鳴りっぷりも、歌も全部立派なもの。
年内には、記事をあげようかと思ってましたが、無理っぽいので、この大作のなかから、魅惑的なまでに美しい間奏曲を。
「喜ぶことを禁じた国の暴君。そこへ、喜びや愛を説く異邦人がやってくるが、お縄になってしまい、さらに絶世の美女、王妃のヘリアーネとの不義を疑われ自決。
その異邦人を清純の潔白として、甦えさせろと無理難題の暴君。
本当は愛していたことを告白し、異邦人の亡きがらに立ちあがることを念じるが、反応せず、怒れる民衆は彼女を襲おうとする・・・・、そのとき、奇蹟が起こり、異邦人が立ちあがり、暴君を追放し、民衆に喜びや希望を与え、愛する二人は昇天する。。。。」
全曲の記事で、もう少し上手く書ければと思いますが、なかなかに面倒なドラマ内容です。
このオペラで一番有名なアリアが、第2幕のヘリアーネの「Ich ging zu ihm」という歌で、これがともかくふるい付きたくなるほどに素晴らしい。
フレミングが、この曲をよく歌っているので、お聴きになられた方も多いと思います。
それと、その旋律を一部使いながら、全曲を暗示するような流れを持つ間奏曲も絶品なんです。
8分半の長い間奏ですが、緊迫したオペラの中ほど、すなわち第3幕の幕開けにあって、曲のイメージとしては、「カヴァレリア・ルスティカーナ」や、「パリアッチ」の間奏曲のように、甘く、切なく、そして歌心に満ち、さらに清らかさも備えております。
思えば、このオペラ、ヴェリスモ的です。
このオペラのエッセンスを味わうには、この8分半を、時間のない時には聴くことにしてます。
コンサート・ピースとしても、劇的であり、静謐でもありますので、充分に取り上げられてよい作品かと思いますね。
リンツにあるブルックナーオケの、とびきり美しい演奏で。
モウチェリーの全曲盤における演奏は、全体の流れのなかで存在しているような演奏の在り方ですが、こちらは、これ1曲に全霊を尽したかのような充実の演奏となっております。
1927年、コルンゴルト、30歳のときのオペラ。
同年、ウィーン国立歌劇場でシャルクの指揮により初演されるものの、芳しい評価は得られず、どちらかというと、失敗作との判断を受けることとなってしまった。。。。
ドイツ・オーストリアは、もうすでにきな臭い状況になってきていて、コルンゴルトのヨーロッパでの活動も、あと少しとなっていくのでした。
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