ヘンデル 「メサイア」 オーマンディ指揮
東京駅丸の内口の商業施設KITTE。
毎冬恒例のWHITE KITTE。
色が変化して、四季を演出。
きれいなものです。
春夏秋冬を想って並べてみました。
ヘンデル オラトリオ「メサイア」
S:アイリーン・ファーレル A:マーサ・リプトン
T:デイヴィス・カニングハイム B:ウィリアム・ワーフィールド
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団
モルモン・タバナクル合唱団
合唱指揮:リチャード・P・コンディ
トランペット:ギルバート・ジョンソン
(1958,59 @フィラデルフィア)
ヘンデルの「メサイア」は、なにも、クリスマス・シーズンだけの音楽じゃない。
日本では、この時期に演奏され、聴かれることが多いけれど。
しかし、メサイア・救世主・イエス・キリストの生誕と、その栄光と、死と、その復活を描いた、このヘンデル作品は、思えば、聖書の物語をこと急ぎ過ぎ。
でも、2時間半ぐらいの物語に、イエスの生涯を凝縮しようとしたら、こんな感じになるのでしょうね。
オラトリオというカテゴリーにおいては、オペラと声楽曲の間に位置する、宗教的な作品ということになるのですから、宗教的に疎い日本人には、本来、なかなか取りつきにくいジャンルなのですね。
しかし、そこは、ヘンデル。
しかも、英語の原曲だし、高名なる「ハレルヤ」があるのですから、晴れの日好き、クリスマスのキラキラ好きな日本人には、大いに受けるわけです。
英語圏の国々には、等しく浸透していますね。
英国とアメリカ。そして、クリスマス好きの日本。
ドイツ語圏では、独語バージョンや、モーツァルト編があるにしても、どうでしょうかね。
まして、フランス、イタリア、ラテン系の国々では、この作品、あんまり聴かれないのではないでしょうか。
アメリカの文化にあこがれた子供時代。
テレビでは、奥さまは魔女とか、ディズニーランド、ルーシーショーなどが土日に放映され、子供心に、アメリカの先進性に、すっかり心を奪われたものでした。
その思いは、いまも基本で引きずっていると思います。
クリスマス時期における振る舞いとか、アメリカ発の風物への妄信などなどね・・・
それと音楽では、クラシック音楽に目覚めた時期に、当時、二分してた流れが、カラヤンとバーンスタイン。
すなわち、ヨーロッパ本流と、アメリカ勢力との対抗軸。
DG・EMIとCBS・RCAですよ。
湯水のように毎月、発売される、ヨーロッパ発とアメリカ発のレコードは、いまでは信じがたいほどに勢いがありました。
そんななかの思いでの「メサイア」といえば、オーマンディ盤。
中学1年のことでしたか。
クリスマスも近い頃に、FMで聴いた「メサイア」は、もしかしたらリヒターの旧盤、すなわち独語バージョンによるものだったと思います。
ハイドンより前の、バロック音楽をほとんど聴いていなかったワタクシには、実に新鮮に響いたヘンデルのこの曲。
すぐさま、レコードが欲しくなり、調べましたが、ほとんどが3枚組で高額なものばかり。
ところが、CBSソニーが出していた、ダブルシリーズというものがあって、主に、オーマンディの指揮による演奏が、2枚組で、2500円という破格値で、そのシリーズに、この「メサイア」があったのです。
クリスマスプレゼントとして、父親に銀座のヤマハで買ってきてもらって、それこそ毎日、すり減るほどに聴きまくったのでした。
安い装置でも、実によく鳴るし、子供心にも、豪華な演奏であることがわかりました。
あと、合唱も歌手も、アメリカっぽくて、ドイツ系の歌唱とはかなり異なることも。
でも、ともかく、この演奏がとても気に入りました。
そして、お気に入りの番号を抜き出しながら聴くようにも。
①前奏曲→Comfort me 、Every valley テノール→And the glory 合唱→And he shall purify 合唱→Behold a virjin アルト・合唱→For unto us a Child is born 合唱→パストラル→He shall feed his flock アルト→His yoke is easy 合唱→②He was despised アルト→And with his stripes 合唱→All we like sheep 合唱→Thou Shalt break テノール→Halleuja 合唱→③I know that mey redeemer ソプラノ→The trumpet shall sound バス→Worthy is the Lamb 合唱
こんな感じの流れで自分なりの抜粋で。
そして、今年、CD化された当盤を米アマゾンにて見つけて購入。
数十年ぶりに聴く、オーメンディの「メサイア」。
大昔のあの感覚がよみがえった。
ゴージャスなフィラデルフィア・サウンドはそのままに、一方で、大らかでありながらも、オーソドックスな解釈で、意外なまでの落ち着きを感じました。
CD化されて、少しキンキンしてた響きが抑制されたからでしょうか。
とても美しいオーケストラです。
それと、レコードでは、耳に突き刺さるように突出していた、トランペットソロが、実はとんでもなく名人芸で、とても音楽的なこともわかった。さすがに名の知れた名手。
あと、合唱がちょっと荒っぽいのと、怪しいのとが紛れ込んでる感があります。
レコード時代には気にならなかった、声の揺れや、ヴィブラートが独唱陣に感じるのも、時代の流れのなかで、自分の受け止めや、耳が変化してきたからなのでしょう。
それでも、二人の女声陣は、とても聴き応えのある歌いぶりです。
懐かしさとともに、年齢の積み重ねを、しみじみと感じることとなった、オーマンディの「メサイア」でした。
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コメント
おお、CBSソニーのダブルシリーズに
オーマンディのメサイアありましたか・・・
ダブルシリーズ
オーマンデイのエロイカ・パストラーレ
おーマンディの第7とブラ1
セル・フライシャーのベートーベン4番とエンペラー
よく聞きましたねぇ
まだLPは手元にございます
もう聞けませんが・・・・・・・
メサイアといえば神奈川県立音楽堂で12月に無料演奏してましたね
山田一雄指揮の神奈川フィル
一雄さんの小さな体が指揮台を一杯に軽やかに指揮してましたねぇ
最後は会場の照明を暗くして、指揮台の両側に女の方が蝋燭をともして
きよしこの夜
やりましたね 一雄さんは聴衆に向けてタクトをふってらしたという思い出があります
2.3回行きましたが・・・・だんだん舞台の音は聞きずらくなってそれっきり・・・
どうも、神奈川フィルのメサイアは音楽堂で今も続いてようですね 但し木戸賃1000円ですけど
いずれスコアでアナリーゼ???するつもりです
なんせ、こうなれば楽譜は音の情報源ですからね
楽典とにらめっこしてますよ
投稿: 真坊 | 2015年12月26日 (土) 17時23分
真坊さん、こんにちは。
ダブルシリーズの恩恵は、コロンビアのダイアモンド1000シリーズとともに、当時、計りしれませんでした。
懐かしいですねぇ。
神奈フィルのメサイアは、いつも発売と同時に売り切れてしまって、かつて一度も行ったことがありません。
ヤマカズさんの、メサイア、拝読するに、実にいい雰囲気ですね。
押し迫ってまいりました、どうぞ、よいお年をお迎えください。
投稿: yokochan | 2015年12月31日 (木) 14時02分
オーマンディさん、バロックの声楽作品にブルックナーの交響曲、いずれも妙な癖のない楽譜に忠実なアプローチを、聴かせて貰える名指揮者であります。入門者やビギナーの方々に安心してお薦めできますね。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年11月23日 (土) 18時59分
オーマンディの膨大なレコーディング、まだ知られてないものも多いですね。
ご指摘のブルックナーなど、実は未聴ですが、フィラ管とともに、とても興味があります。
クセのないところが良い点でもあり、ある意味欠点でもあるような気がしますが、たくさん聴いてきた耳には新鮮ではあります。
投稿: yokochan | 2019年11月27日 (水) 08時38分