マーラー 交響曲第8番「千人の交響曲」 アバド指揮
今年のお正月の吾妻山。
本日、日本列島は寒波が襲来し、雪と低温にみまわれておりますが、お正月はともかく暖かかった。
菜の花もほぼ満開。
そして、1月も残すところ、あと一週間。
碌なことがなく、八方ふさがりに陥って久しいが、ブログも頂戴したコメントも放置プレー状態。
いけないいけないと、一念発起して、曲を聴き、更新することとしました。
そして、はたと気が付いた。
こともあろうに、アバドの命日を失念してしまうとは・・・・・・・。
ふがいない自分に、情けなくて、心が張り裂けそうだ・・・。
マーラーが聴きたかった。
ひとつには、先だって、ロイヤル・コンセルトヘボウが主役の映画を試写会で観た。
そのことは、次のブログにしたためようと思うが、そこでは、上質のマーラー演奏の模様が映像化されていて、8番の神秘の合唱が、感動的に流れていたのだった。
そして、マーラーの音楽をとことん愛したクラウディオ・アバド。
マーラー 交響曲第8番 「千人の交響曲」
S:チェリル・ステューダー、シルヴィア・マクネアー、アンドレア・ロスト
A:アンネ・ゾフィー・オッター、ロセマリー・ラング
T:ペーター・ザイフェルト
Br:ブリン・ターフェル Bs:ヤン・ヘンドリク・ロータリング
クラウディオ・アバド指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルリン放送合唱団
プラハ・フィルハーモニー合唱団
テルツ少年合唱団
(1994.2 @ベルリン)
シカゴとウィーン、ベルリン、そして、ルツェルンで、3つのマーラー録音を残したアバド。
しかし、8番は、ベルリンでのライブ録音を1種残したのみ。
ルツェルンでのシリーズの大トリに取り上げると予告されながら、結局は演奏されなかった。
それほどに、この大作を取り上げるには、体力と気力、そしてなによりも、オペラも歌える優秀な8人の歌手と、フル編成のオーケストラと大人数の合唱と、それを収納するホールといった具合にクリアすべき難題がたくさんある。
ロンドン響の時代から、シーズンには大きな命題を掲げて、練り上げられた知的なプログラミングを行ったアバド。
1994年のベルリンフィルのプログラムは、「ファウスト」にまつわる曲目が取り上げられました。
シューマンの「ファウストの情景」もここで取り上げられましたし、なんといっても、アバド初の「千人の交響曲」に注目が集まったものです。
95年に発売されたこのCD。
いまでは、わたくしの、アバドのCDのなかでも、宝物のような1枚です。
アバドらしく、明るくしなやかで、そして緻密な響き。
透明感あふれるサウンドは、どんなに音が大音量で重なっても美しく溶け合っていて、ベルリンフィルのスーパーぶりもそれに拍車をかける。
さながらオペラを指揮する時のアバドのように、全体に見通しがすっきりしている。
歌手も、合唱も、きっと歌いやすいのでしょう。
8人のソロの真摯な歌い口もとても素晴らしい。
ルツェルンでも、千人の交響曲をやって欲しかったけれど、数年後には病に冒されてしまうアバドが、ベルリンとウィーンで大活躍していた時期の覇気にあふれるこの名演が残されて、ほんとうに感謝しなくてはなりません。
病後のアバドは、その音楽に別の魂が宿るようになり、鬼気迫るものがあり、ある種の高みに達したわけで、ベルリンフィルと、そしてその後のルツェルンのメンバーとも、その関係は完全同質化してしまったと思うのですが、その前のベルリン時代のひとつの絶頂期が94年ではなかったかと、これまた思ってます。
曲は、いま、「神秘の合唱」に差し掛かり、ほろほろと落涙。
数日遅れの、アバドの命日に。
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