グリーグ ペール・ギュント組曲 レッパード指揮
ここ数年、お馴染みの東京中央郵便局、いまや、KITTEの冬の風物詩、大きな四季のツリーが今年も出現。
針葉樹は、いかにも北国を思わせる。
日本では、長野県以北。
音楽の授業で知り合う曲、「ペール・ギュント」。
全曲盤よりは、自分的には、組曲。
しかも、こちらは、室内オーケストラで綿密かつ、爽やかに演奏してる音盤。
わが大学生時代に発売されたレコード。
グリーグ 組曲「ペール・ギュント」
レイモンド・レッパード指揮 イギリス室内管弦楽団
(1975.11@ロンドン)
今持つCDは、2CD組のダブルシリーズで、味もそっけもないジャケットだけど、この初出レコードは、いかにもノルウェーの自然とグリーグの音楽を思わせるフィヨルドの写真で、ともかく好きだった。
ミドルサイズの室内オケで聴く「ペール・ギュント」は、ともかく新鮮で、清潔感と清涼感にあふれてる。
学究肌のレッパードは、バロックや古典派の指揮者とのイメージがあったが、70年代半ばに、グリーグの作品を集中して取上げていて、そのいずれもが、素晴らしい演奏だった。
イギリスには、指揮者もオーケストラも、元来より北欧の作曲家の演奏の伝統が確立されていて、レッパードもそんなひとりだ。
北欧情緒をにじませた演奏というよりは、抒情を大切に、しっかりと旋律線を浮かびあがらせ、大オーケストラでは埋没しがちな楽器が聴こえてきたり、暴力的なフォルテも威圧感なく、ともかく緻密で、かつ優しいタッチのグリーグ。
こんなしなやかで、美しいペール・ギュントを聴いちゃうと、この戯作のもつ荒唐無稽でダイナミックな物語の背景がウソのように感じられる。
そこがすなわち、このレッパードの演奏の特徴で、グリーグの音楽の抒情と純音楽性があふれ出てくるのでありました。
「朝」は、それこそ爽やかさの境地であり、日曜の明るい朝のムード。
「オーゼの死」のレクイエムのような静寂さと、続く「アニトラの踊り」の羽毛のような軽やかさ。
あと、なんといっても、じっくりと、しみいるような「ソルヴェーグの歌」は坦々としたなかに、巧みに緩急もつけて歌いあげた名品だと思う。
かつてレコーディングも多く、大活躍だったイギリス室内管は、最近、あまり名前を聴かなくなった気がするが、いまは、ツァハリスがその指揮台にしばしば立っている様子。
バレンボイム、レッパード、テイトあたりの時代が全盛期なのかな?
そう、レッパードとのブランデンブルク協奏曲が復活しないかしら。
ガルシア、マンロウ、ブラックなど、当時、ロンドンで活躍した錚々たるメンバーがソリストなんです。
とりとめのない記事になりましたが、この音盤、録音もなかなかに素晴らしい。
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