バックス 伝説 コレッティ(ヴィオラ)
2019年11月9日の晩、翌日に、ご即位の奉祝パレードを控えた東京タワーも、記念のライトアップ。
自分と同期生の東京タワーも、ご覧のように美しく輝き、東にスカイツリーができても、まだまだ東京の顔として現役。
この日も、世界各国の方々も多くいらっしゃいました。
天皇陛下とは1歳違い、皇太子さまの時代より、ずっと親しく感じていたお方です。
昭和天皇は遠くの存在、平成天皇は父のような存在、そしてご即位された令和の時代の新天皇は、より親しみを持てる身近な存在。
陛下は、オックスフォード大学ご修学のご経歴と、そして自らヴィオラを弾かれます。
本日は、英国のヴィオラ作品を聴いて、あらためまして御奉祝の祝意を捧げたいと存じます。
アーノルド・バックス Legend ~伝説
ヴィオラ:ポール・コレッティ
ピアノ :レスリー・ハワード
(1993.09.23 @ピーターズハム、ロンドン)
こちらのCDは、英国作曲家のヴィオラ室内楽作品を集めたもので、ブリテン、V・ウィリアムス、グレインジャー、ブリッジ、レベッカ・クラーク、そしてバックスの曲が収められてます。
これらの中では、女流のクラークさん(1886~1979)の3楽章形式のソナタという大作もあって、これがなかなかに抒情的かつモダーンな一品なのですが、それはまたいずれの機会に。
本日は、日ごろ、その作風や音色が耳になじんだ作曲家、バックスの10分あまりの幻想的な作品に絞りました。
バックスは大好きな英国作曲家で、もういくつも記事にしてますが、その素敵な、ワンパターンともいえる3楽章形式の7つの交響曲を中心に、オペラ以外に残した多彩なジャンルの作品たちを、愛してやみません。
ロンドンっ子でありながら、ケルト文化に感化され、その音楽をたどり、収集し、自らの音楽に反映させました。
この「Legend」も、そうした雰囲気が満載の作品で、交響曲でいえば、3番とあのケルト臭満載の4番とのあいだに書かれました。
1928年、バックス45歳の作品です。
ためらいがちなヴィオラの音色に、感覚的なピアノが寄り添い、ミステリアスでありつつも、抒情と幻想の入り混じる、わたくしには、えもい合わぬ、バックス・ワールドを堪能できる佳品です。
それにしても、ヴァイオリンのように、突き抜けたサウンドもなく、チェロのように、人を包み込むような深い音空間を築きあげるでもない。
縁の下の力持ちのような、普段は、言葉少ないヴィオラの音色。
それこそ、多弁でなく、静かな物言いは、どんなに言葉や音を尽くすよりも、人の耳や心に緩やかに入ってきて、安心感をもたらします。
ヴィオラを嗜む天皇陛下の、その人となり、その御声、そのもののような気がいたします。
こんな風ないい方は不遜かもしれませんが、それこそ、国民や日本のことを、いつも祈っておられる皇室の存在が、わたくしたちに与えてくださる、安堵と安寧の安心感なのかもしれません。
ちなみに、ほかの収録曲、クラークのソナタ以外も、V・ウィリアムズ節が堪能できる「ロマンス」、グレインジャーの「サセックスの母のクリスマス・キャロル」など、べらぼうに美しく、そしてハートウォームな曲が聴けて、秋の夜にもぴったりです。
スコットランド出身、メニューイン門下のコレッティの艶のあるヴィオラは気持ちいい音色をふんだんに奏でてます。
彼も、期せずして、天皇陛下と同じ年でした。
きれいなものは、きれい。
尊いものは、尊い。
それでいいじゃないですか。
2000年も続いた、日本国の皇統と、われわれ日本人の想いは、これからも弥栄にあれと心より思います。
パレードを体感しようと出かけましたが、思いもしなかった手荷物検査の長蛇の列は、一向に進まず長時間並んで終了でした。
上空のヘリコプターと、はるか遠くに見える、観覧できた方々の振る日の丸を眺めつつ、その雰囲気を堪能いたしました。
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