アンサンブル・ラディアント演奏会 広上淳一指揮
ほころびだした河津桜。
悲しい音楽家たちの訃報、不安な感染の蔓延、国策への大いなる不満・・・・いろんな出来事が継続します。
しかし、季節は確実に進んでます。
春はやってきます。
これを聴きに、実家のある神奈川県の二宮町へ。
家と目と鼻の先にある町の生涯学習センター「ラディアン」の大ホールでの演奏会。
このホール開設時に創設された、湘南・西湘地区のアマチュアとプロの奏者たちの皆さんによるアンサンブルがラディアントです。
今年で、ラディアンも20周年、このアンサンブルも20周年です。
年1回のコンサート、ずっと気になっていたけれど、なかなか帰ってくるタイミングに合わず、今回が初の鑑賞となりました。
ヴィヴァルディ 「調和の霊感」より第11曲
バッハ ヴァイオリン協奏曲第2番
Vn:白井 英治 長岡 秀子
Vc:安田 謙一郎
バルトーク 弦楽のためのディヴェルティメント
武満 徹 3つの映画音楽
「ホゼー・ドレス」~訓練と休憩の音楽
「黒い雨」~葬送の音楽
「他人の顔」~ワルツ
アンコール~「ダニー・ボーイ」
広上 淳一 指揮 (後半)
アンサンブル・ラディアント
コンサート・マスター:白井 英治
賛助出演:長岡 秀子 安田 謙一郎
Vla 百武 由紀
(2020.2.15 @二宮町 ラディアンホール)
地元や周辺の方々で満席。
町長もいらっしゃいました。
広上さんの登場は後半。
のびやかなヴィヴァルディ。
次のバッハよりは、このアンサンブル向きかも。
おだやかな二宮町の風土には、バッハよりはヴィヴァルディだな、とほっこりしながら聴いてました。
各パートが、プロの皆さんがトップで引き締まります。
ただ、チェロパートが厚く、ヴィオラパートが薄い、これはアマチュアアンサンブルでは付き物の悩みかもです。
それが、広上さんの指揮が入ると、まったく関係なくなるのが、やはり指揮者という存在の大きさと、広上さんの実力。
リーダー白井さんのかくしゃくたるヴァイオリンソロ。
艶もあってなかなかのもの。
そのお名前と、お顔、聴きながら、わたくしの遥か昔の遠い記憶をたどってました。
高校生のとき、小田原フィルハーモニーのお手伝いをしたことがありました。
打楽器をやらせてもらって、定期演奏会のステージにのりましたが、そのときの、ヴァイオリンのソリストが、当時、読響に在籍されていた白井先生でした。
曲目は、ラロのスペイン交響曲だった・・・・
そんな風に思いながら、自分の育った町の、自分の育った家の真ん前のホールで聴いた、前半のヴィヴァルディとバッハなのでした。
後半は、広上さんが登場して、そんなノスタルジーに浸っている暇はなくなりました。
そう、緊張感のたぎる、集中力の高い演奏に、わたくしも、おそらくバルトークや武満なんて、日頃は聞いたことがない多くの聴き手も、ステージの演奏に釘付けになってしまったのでした。
バルトークでは、協奏交響曲のように、各首席のソロが腕達者な皆様の見事さもあって、その構成が浮き彫りにされます。
同時に新古典的な簡潔さと、バルトークならではの土臭さ、というかマジャール的な音のウネリが1楽章から湧き上がるのを感じました。
そう、前半と大違いの雰囲気に、ホールの空気もガラリと変わってしまったのです。
2楽章のミステリアスな美しさはこの日の演奏のなかでも白眉のものです。
3楽章も、ハンガリーを感じさせる民族色もよく出ていまして、気合の入った広上さんの指揮のもと、奏者のみなさんは、食らいつくようにして熱の入った演奏を聴かせてくれました。
とてもいいバルトークが聴けました。
最後は、組曲のように編まれた武満の映画作品。
これもステキな音楽。
ピチカートが楽しかった第1曲。
深刻なレクイエムのような「黒い雨」。
小説で読みました、スーちゃんの演技も映画では素晴らしかった。
そんなことも去来しつつ聴いた、音楽に、そして繊細な演奏でした。
最後は、聴衆を乗せてしまう魅惑の禁断のワルツ。
これも本で読んだ安部公房作品。
デカダンなその音楽、ハチャトゥリアンのあの曲も感じさせながら、でも日本人の気持ちのツボを押さえたようなワルツの音楽。
シンプルだけど、いろいろ意味深な武満シネマサウンドを、広上さんは、わかりやすく、ひも解くように指揮。
会場も大いに沸きました!
最後に、白井さんと、マエストロ広上さんのトーク。
茅ヶ崎ゆかりの出自などを、楽しくお話しされ、会場も大いに親近感がわいたマエストロ。
コバケンさんの、という前触れ付きで、アンコールは、「ダニー・ボーイ」
郷愁とともに、盛り上がりましたね!
来年はなにを聴かせてくれるのかな、いまから楽しみです。
最愛の地元で聴く音楽。
ありがとうございました。
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