プッチーニ オーケストラ作品集 ヴェネツィ指揮
人の少ない街を散策。
普段は見逃していた小さな公園にもこんな綺麗なチューリップが咲いてました。
普段から、こうしたお庭の作業をしてくださる方がおられることに感謝です。
今回の、不自由な日々にあたって、いろいろ気づかされる、何気ない毎日で当たり前にあったことの大切さと、それを支えていた方が常にいらっしゃった、という現実。
ともかく、文句を言わず、自分にも確実に降りかかってくる災をいかに最小化するか、お国が数々用意しつつある対策もにらみながら対応していきたいと思う。
プッチーニ オーケストラ作品集
1.「スケルツォとトリオ」
2.「修道女アンジェリカ」間奏曲
3.「交響的奇想曲」
4.「マノン・レスコー」間奏曲
5.「蝶々夫人」間奏曲
6.「エドガー」前奏曲
7.「交響的前奏曲」
8.「菊の花」
9.「ラ・ヴィッリ」より夜の宴
ベアトリーチェ・ヴェネツィ指揮 トスカーナ管弦楽団
(2018.12.7 @ジリオ劇場、ルッカ)
どんなときでも、プッチーニの甘く切ない旋律は美しい。
そして美しい女性指揮者のプッチーニ作品集が出ましたのでさっそく聴いてみた。
ヴェネツィさんは、プッチーニの故郷、ルッカの生まれで、まさにプッチーニを聴いて育った、根っからのプッチーニっ子。
自らもそう述べてます。
人口85,000人のルッカがあるのは、イタリア中西部のトスカーナ地方で、この州には州都フィレンツェがあります。
山脈に囲まれ、西はアドリア海、丘陵や盆地も多く、よってワインの一大産地であります。
きっとルッカも、美味しい食べ物がたくさんあることでしょう。
グーグルマップで、ルッカの街をちょっとバーチャル探検してみました。
旧市街、街の中心部にはプッチーニの生家があり、そこはプッチーニ・ミュージアムになっていて、足を組んだおしゃれだったプッチーニ像がありました。
近くには、piccolo Hotel Pucciniなんて素敵なホテルもあるし、オペラにちなんだ名前のレストランもたくさん!
あ~、行ってみたい、でももう一生無理なんだろうな世界は。
そして、ルッカのオペラハウスが、Teatiro del Gilio~ジリオ劇場。
とても雰囲気のあるハウスで、やはりここでプッチーニを聴いて、観てみたいものです。
この劇場で録音されたのが今回のCD。
ヴェネツィさん、日本にも何度か客演しているようですが、現在のところ、トスカーナ管弦楽団の首席客演と若者オケとか、いくつかのポストも持っているようです。
ちなみに、昨夏、新日に来演したときは、ニノ・ロータや三角帽子などを指揮していた様子。
まだ若い彼女ですから、レパートリーも無理せず、当面は身体に染み付いた、プッチーニの専門指揮者になっちゃえばいいと思ったりもします。
そう、美人が災いするかもしれませんので。
そんな風に思えるほどに、このCDは素敵なものです。
プッチーニを愛し、そしてイタリアのために、自らその文化を広めたいと、解説書のなかで書いてある彼女の言葉のとおり、各曲の隅々に、感情がこもっており、ときに泣かせ、ときにクスッと微笑ませたりと、聴き手の気持ちにも優しく訴えます。
指揮もオーケストラも、プッチーニの音楽を体のなかに持っている、そんな感じです。
機能的に書かれたプッチーニの見事なオーケストレーションを併せて堪能できるのは、長らくの愛聴盤である、シャイーとベルリン放送響とのものですが、彼女の指揮には、そうした和声の巧みな筆致などはあまり感じません。
でも、旋律線を滔々と美しく、横へ横へと流していく、そんな天性ともいえる才を感じさせ、繰り返しますが、プッチーニの美しい旋律を浴びるように聴けるという喜びがあります。
収められたオペラの間奏曲などは、まさに、オペラの幕間に相応しい雰囲気で、そのあとの幕が開くのが瞼に浮かぶようです。
シンフォニックな作品ふたつも、数々聴いてきたけれど、生き生きとした音楽作りにおいて、シャイーやシモーネ、ムーティなどの手持ち盤とは違った、フレッシュなレモンのような爽やかさです。
スケルツォは初聴きで、最近の研究でトリオと合わせてオーケストレーションされたそうで、短いながらも粋な曲でありました。
トスカーナ管弦楽団は、フィレンツェのヴェルディ劇場に拠点を置く、1980年創設の若いオケで、以前は、注目の指揮者ダニエーレ・ルスティオーニもその指揮者を務めてました。
ちなみにルスティオーニは現在、リヨンオペラとアルスター管の音楽監督です。
若いけど味のあるオケ、きっといま、大変なことになってるかもしれませんが、自分的は注目して行きたいオケがまたひとつ増えました。
次のヴェネツィさんの音盤がこのままではいつになるかわかりませんが、鶴首して待ちます。
それにしても、欧米ともに、女性指揮者の活躍が目立ってきました!
緊急事態宣言も延長。
辛い日々に、音楽はともかく癒しになります。
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コメント
プッチーニは例えば偉大なる御先達ヴェルディのようには、プレリューディオやシンフォニアには力点を置かず、すぐさまオペラ本編に入る手法を好んだようで、コンサートやオペラ名曲集に独立し組み込まれるのは、『マノン・レスコー』第3幕へのインテルメッゾくらいですよね。
それでもCDアルバムなら、これ程迄の珍曲・秘曲を集められるんですね。以前にもEratoのシモーネ、Deccaのシャイー等の前例が在る訳ですけれども、全く驚嘆に値します。
投稿: 覆面吾郎 | 2020年5月 6日 (水) 10時51分
ワーグナー後のシュトラウスも前奏曲はほとんどつけませんでしたが、最後の最後に、カプリッチョで美的な前奏曲を残しました。
そのシュトラウスのオペラ関連オーケストラ曲集は、管弦楽曲の延長で、その録音も多くありますが、プッチーニは、そうはいかないところが、プッチーニならではで、へたに編曲などしてしまうと、ムード音楽になってしまいます。
この1枚のCDが、そのすべてかと思い、自分にとって貴重なお気に入りとなりました。
投稿: yokochan | 2020年5月 7日 (木) 08時01分