シューベルト 交響曲第9番「ザ・グレート」 ベーム指揮
黄色い彼岸花。
白い彼岸花。
今年の彼岸花は、赤ばかりでなく、白と黄色も各所で見ることができました。
1週間ぐらいで枯れちゃう、儚い花でもあります。
秋は短し。
シューベルト 交響曲第9番 ハ長調 「ザ・グレート」
カール・ベーム指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(1975.3.19 @NHKホール)
伝説のベーム&ウィーンフィルのNHKホールでの名演を、もしかしたら40年ぶりくらいに聴く。
少しまえに入手したCD。
高校生だったあの頃、NHKが生放送でFM中継をしてくれたので、そのずべてを必死にカセットテープに収めました。
驚くほどの生々しい高音質で、エアチェックの喜悦に浸る日々でした。
プログラムは4つ。
①ベートーヴェン 4番・7番 (両国国歌演奏あり)
②ベートーヴェン レオノーレ3番 火の鳥 ブラームス1番
③シューベルト 未完成・グレート
④モーツァルト ジュピター / ウィンナワルツ
大切にしてきたカセットを、自家用CD化にしようとしたが、驚くべきことに②と④が紛失。
でもどこかにあるはずなんだけど・・・・
この公演は、NHK招聘ということもあり、大人気で、チケットは往復はがきで申し込む抽選スタイル。
ワタクシは、全部はずれ、でも当然に(?)ムーテイ様だけ当選。
若獅子ムーティの新世界を聴くことができました(アンコールの運命の力が絶品だった)。
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ライブで燃えるベームは、バイロイトの録音で多くのファンが知っていたけど、このときの来日ほど、聴衆を熱狂させた公演は日本でもあまりないのでは。
体をちょっと上下して、ぴょんぴょんしつつ、目を引んむくようにしてオーケストラに迫るベーム。
お馴染みのベテランも、若い奏者も、みんな必死に指揮にくらいつくウィーンフィル。
ともに、手抜きなしの、火花散る真剣勝負。
テレビに大写しにされたベームの形相を今でも忘れられない。
ベームとウィーンフィルは、このあと77年と80年にも来日しているが、身体・気力ともに充実していたのは、やはり75年の来日公演。
ベームは、63年のベルリン・ドイツ・オペラとの来日以来。
そして、ウィーンフィルは、いまなら毎年来てて、当たり前になったけど、この75年の日本への来日はまだ5度目。
そんなことで、大人気を呼び、先に書いた通り抽選に当たるなんて、とんでもなくラッキーなことだった。
いまでも、悔しい!!(笑)
ほんと久しぶりに聴いたNHKホールでの演奏。
さすがに手持ちのカセット音源とは大違いで、あの時の実況放送に近いし、もう少し柔らかくなっている気がするし、とうてい45年前の録音とは思えない生々しさもあのときのまま。
演奏はもちろん素晴らしい。
巨大な歩みの第1楽章。
以外にテンポよく、歌にのめりこむことなく進む第2楽章は、いかにもべーム博士だ。
推進力豊かに、意外なほどにリズム感あふれる3楽章と終楽章。
特にジワジワと高まる終楽章の流れは、やはり興奮誘うもの。
ウィーンフィルの柔らかな音色、木管やホルンの特徴豊かな響きもこの時代ならではで、いまでは少しばかり遠のいてしまったウィーンの音がここに聴かれるのも、あらためてうれしく感じます。
あのとき、自分も若かったなぁ・・・
少し前にオイルショックはあったけれど、レコード業界は大盛況で、歌手以外で俯瞰すると、DGからは、ベームとウィーンフィル、カラヤンとベルリンフィルがしのぎを削っていたし、小澤&ボストン、アバド、バレンボイム、クーベリック、ポリーニ、アルゲリッチ、リヒター、エッシェンバッハ、などなど。
そこに登場したクライバーがやたらと新鮮だった。
デッカはショルテイ&シカゴ、メータ&ロスフィル、マゼール&クリーヴランドア、シュケナージ。
EMIは、プレヴィン&LSOのフレッシュコンビに、ケンペ、ヨッフム、サヴァリッシュ、マルティノンのいぶし銀ラインナップ。
フィリップスでは、ハイティンク&コンセルトヘボウ、デイヴィス&ロンドンのオケ+ボストン、コンセルトヘボウ、マリナー&アカデミー、シェリング、アラウ、ブレンデル。
CBSは、バーンスタン、ブーレーズ、スターンで、ビクターは、旧メロディア系のソ連の演奏者に強かった。
ともかくレーベルはたくさんあって、みんなそれぞれに、特徴があって、競争も激しかった。
繰り返しますが、なんていい時代だったんだろ。
毎月、こうしたアーティストたちの新譜が、続々と発売される
こんな時代へのノスタルジーが、もしかしたら、自分の音楽ライフの根源の一部かと思ったりしてます。
その最たるモニュメントが、75年のウィーンフィルだったのかもしれません。
ベームをFMとテレビで視聴しつくし、俊敏な若きムーティの実演にも接した経験が、いまでも自分の音楽ライフに大きな影響を与えたものだと確信してます。
いつ、ぽっくり逝ってもいいように、こうした音源や記録は、秩序だって整理しておこうと思います。
でも誰がそれを受け継ぐんだろ。
なんの得にもならないけれど、この先の短い人生、悩みは尽きないのであります。
最後に、赤いの。
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