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2020年12月12日 (土)

アーン 「クロリスに」 スーザン・グラハム、ヒル、プティボン

Gaien-01

晩秋から初冬。

関東の南は、いまどきが秋が急速に終わりを告げ、冬の足音が聞こえたと思った瞬間に人々は寒さを実感し、秋は彼方へ追いやられる。

Hahn-graham

  レイナルド・アーン 「クロリスに」

      Ms:スーザン・グラハム

    ピアノ:ロジャー・ヴィニョールズ

      (1998.1.16~19 @NY)

あまりに有名な、そしてあまりに美しいこの歌。

落葉の季節に、その写真とともに、ずっと記事に残そうと思ってもう何年も経ってしまった。

2008年のパトリシア・プティボンのリサイタルで聴いてから、私の脳裏に刻まれた歌、そしてアーンという名前。

アーンの歌曲集はいくつかあるけれど、選曲もよく、たくさん聴けるのがスーザン・グラハム盤。
アメリカ生まれのメゾ、スーザンは、フランスものが得意で、そのニュートラルでくせのない声は、清潔でストレート、とてもクリアーです。
力強さも持ち合わせていて、ベルリオーズの「トロイ人」では圧倒的なディドーを歌っておりました。

レイナルド・アーン(1875~1947)は、ドイツ系ユダヤ人の父と、バスク人の母を両親にベネズエラのカラカスに生まれました。
父親が外交官だったためですが、3歳のときにパリに移住してますので、ベネズエラは生を受けた地という以上のものはなく、ユダヤとバスクの血を引くフランス人といってよいでしょう。
交響曲を除く、広範なジャンルに作品を残し、歌曲は一番多く、オペラもいくつかあるようで、これから聴いてみたいと思ってます。
管弦楽作品を集めた1枚も持ってますので、いつか取り上げたいとも思います。
まさに、フランスのベル・エポック(よき時代)を体現したような世代であり、その素敵な音楽なのであります。

16~17世紀に活躍した詩人・劇作家、テオフィル・ド・ヴィヨーの詩による作品で、20のメロディーのなかからの1曲。
愛する恋人に語りかける優しい、夢見るような曲。
詩の内容は、ネットにたくさん出てますのでご覧ください。

Hahn-hill

     T:マーティン・ヒル

  ピアノ:グラハム・ジョンソン

     (1981.11.27  @ロンドン)

テノールで、しかも繊細な英国テノールが歌うアーン歌曲集。
こちらの「クロリスに」も誠実で、折り目正しいフランス語の発声も美しい。

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    S:パトリシア・プティボン

  ピアノ:スーザン・マノフ

     (2013.9 @ベルリン)

英米の歌手たちによるアーンのあと、フランス語を母国語とする歌手プティボンの歌で聴くと、その美しい語感と、言葉への感情移入の違いを感じ取れます。
前2者から聴いてくると、濃厚な歌ともとれますが、そこは蠱惑のプティボン。
頭脳的な歌唱も感じられ、やはりワタクシには魅力的なのでありました。

Image-1_20201212100201

12年前のリサイタルでは、この曲をコンサートの冒頭に歌いまして、一挙にホールをフランスの香りで満たしてしまったものでした。

Gaien-03

早朝の外苑前を散策。

Gaien-02

このあと、神宮球場、新国立競技場を横切って、明治神宮まで歩きました。

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コメント

ちょうど半世紀前の今頃の季節、絵画館前の銀杏並木を正面から撮り、級友のポートレートをコラージュしてアーティスティックに仕上げ翌年の学園祭に展示したら好評を得たことが。他愛もない想い出ですが。

アーン「クロリスに」。プティボンのアルバムにあるのに半ばスルーしていました。改めて複数の歌唱で聴き、今更ながら魅了されました。ありがとうございます。スーザン・グラハム(グレアム)は’94年に小澤さんの指揮でベルリオーズ「ロミオ〜」のソロを聴いたのみですが、取り寄せ検討します。

10月初めに退院したのですが半月後に外来で別の疾病が見つかり再入院の羽目に。少々不自由な身体で退院しましたが、当然ながら禁酒減塩は継続で。拠り所はいよいよ音楽のみかと…。

投稿: Edipo Re | 2020年12月12日 (土) 16時58分

しばらくのご無沙汰でしたが、そうでしたか、くれぐれもお大事にお願いいたします。
癒しは音楽ですね。

プティボンはわたくしには、言うことなしですが、グラハムさんも、すっきりとした素敵な歌唱です。
K・ナガノのファウストの劫罰もなかなかよくて、彼女はベルリオーズがお似合いです。

外苑前は、どの季節も絵になる場所でありますが、光の加減が難しい場所とも思います。

投稿: yokochan | 2020年12月16日 (水) 08時15分

グラハムのこのCD、実は7月頃に某古本屋の(笑)中古CDコーナーで偶然見つけて、音溝部分に少し傷ありでしたが、買って楽しみました。誠に至福の時をもたらして呉れる曲と演奏です。このアーンなる方、1928年5~6月にシャンゼリゼ劇場でB・ワルターが、モーツァルトの五大オペラ振った際に、体調悪化で降りたので代役で『フィガロ』受け持ったらしいです。指揮者としての手腕も凄いものだったのですね。

投稿: 覆面吾郎 | 2020年12月16日 (水) 08時49分

スザン・グラハムの素顔は、METライブでの案内役の常連で、その飾らない性格と笑顔がお気に入りです。
モーツァルトなども聴いてみたいと思います。
 ハーンは、多彩な音楽家でしたね。
そしてフランスのエスプリも満載です!

投稿: yokochan | 2020年12月22日 (火) 08時21分

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